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ペルソナっているの?ビジネスの大変化。
Voicy No.0079 2021年11月24日放送
おれはペルソナ使わない。
企業のアドバイスに入っていくと、マーケティングの部署がある規模の会社ではペルソナ設定をした上でドメイン(生存領域)を決めて、ポジショニングを決める手順を踏んでやっていたります。
ナショナルブランドのような大手だと、それがある種、新しいブランドとかサービスづくりの標準手順になっているところもありますが、俺はペルソナというものを全然使わないのです。
ペルソナは顧客対象者を詳細に洗い出して、チームで議論してそろえていくことですが、ペルソナとかターゲット設定の前提になっているものは年齢と年収です。
あとは保険会社や自動車会社でも多いのが、世帯年収とか世帯の構成。
例えばお父さん、お母さん、子ども2人で、子どもの年齢差が2歳から5歳。初めてのお子さんがこれぐらいの年齢で生まれたという標準家庭と、「休みの日は家族でこういう所に行って」みたいな方たちの行動を設定するのですが、今のビジネスの出だしにそれをやるのは合わないから、あとでやればいい。
ペルソナとかターゲット設定で、年齢設定をなぜやっているかというと、そもそも昔は年齢によって情報に差があったから。
消費者というか、自分たちが生きていく上で小学生がミシュランのおいしい店の存在を知ることはもちろんありませんし、中学高校ぐらいで、バーという場所の存在を聞いたことがあるかないかだったと思います。
もっと俺よりも年齢をさかのぼると、喫茶店自体が不良の行くところで、「中高生は喫茶店に行ってはいけません」みたいな状態です。
でも、そのときはドトールコーヒーとかスターバックスというライトカフェみたいなものがない、純喫茶の時代だったりします。
つまり、年齢によって行くところが違い、聞いている情報が違っているので、年齢で区切られた情報に基づいて人は行動するから、行動特性に差があったからなのです。
ライフスタイルと憧れ
今はチャイルドロックみたいなものが掛かっていたりもしますが、大人が見ているものは、ほぼ子どもも見ていますよね。
例えば高校生とか大学生が、大好きな彼女との記念日デートにいいお店に行きたいと思ったら食べログやネットで探しています。昔だったら20代後半の人しか行かなかった「まあまあいい」レストランや、自分で稼げるようになってからしか行かなかったレストランの存在を知っていたりします。
もちろんブランドや物も世界中から買えるので、新しいブランドを親のカードを使って海外から取り寄せています。
年齢で情報格差がほぼ減ってきたのは、スマホとタブレット、パソコンのおかげですよね。
年収に関しても、昔は必ずスケールアップする消費が当たり前だったのです。収入が増えると車も家もだんだん大きくなり、旅行はだんだん遠くまで行くようになった。
ただ、今はそれが全く違うことがあるので、年収だけを見てもダメなのです。
人生の尺度をどこに置いているかによって、年収が同じでも、稼いで何に使っているかが全然違う消費行動になっていて、捉えるべきはライフスタイルや憧れです。
ペルソナ的な感じで「何々区に住んでいて」というのはあっていい。
けれども、住んでいるエリア+ライフスタイルを把握して、そこに届くようなブランドづくりやマーケティングをするというのが、とても大事だったりします。
この商品、このブランド、自分自身がブランドであれば、どういうライフスタイルを持っていて、どういう憧れを持っている層に届けるのかをしっかり考えたほうがいい。
ライフスタイルと憧れと今言いましたが、人の価値観というのは何なのでしょうか。
価値観の違いとか価値観が合う人がいいとよく言いますが、1つ掘っていって1つ皮をはがせば、価値観は美意識なのです。
かっこいいと思うかダサいと思うか。
それは見た目の話ではありません。
価値基準を「正しい」「間違っている」で人は決めていなくて、その人にとって、かっこいいかダサいかです。
お金の使い方の価値観では、こういうお金の使い方はかっこいい、こういう使い方はダサいというのが、その人のライフスタイルを決める1つのポイントだったりするのです。
ブランド品をいっぱい身につけている人を見たときに、見ている側が「かっこいいな。あんなふうになりたいな。全身ハイブランドじゃん」と感じる人。ハイブランドを持たないとオシャレになれないと思っているなんて、その考えがダサいわ」と感じる人。
めちゃくちゃ稼いでいるという話をする人を目の前にして、「かっこいい。そうなりたい」という人と、「稼いでいる話をしている人は小金持ちで、全然大金持ちでも資産家でもないんだよな」という人からすると「ダサっ」となります。それぞれが真逆の価値観と美意識を持っています。
価値観は1つ深く解釈すると美意識で、その美意識がなぜつくられたかというと、それぞれの方の憧れだからです。こういう人がかっこいいと思う憧れが違う。それが美意識の違いを生み、美意識の違いが価値観の違いを生んでいるのです。
商売、ビジネス、ブランド、マーケティングをやっていくときに、どういう美意識で何をかっこいいと思い、何をダサいと思っている人に届けるか、価値観を考えるのがとても大事です。ペルソナで年齢だ、年収だ、行動特性だ何だと言うよりも、そっちを掘っていったほうがブランドははまりやすい。
では、この自分がやっている商品とかブランドを、どのライフスタイルで、どういう憧れを持っている層に届けるかを考えたときに、最大の壁になるのは、自分以外のライフスタイルや憧れを考えたこともない人が多いということです。
これをお聴きになっている方は商売をやっていたり、ブランドになりたいと思ったり、ご自身をブランド化していきたいと思っているでしょう。
けれども自分以外の人のライススタイル、憧れ、ほかの人が持っている美意識が自分とどれほど違うのか。かっこいいと思うのとダサいと思うものの基準の違いを、自分以外の人のことは意外と知らないですよね。
SNSの時点で、そのSNSを好んで使っているくくりが入っているから、多くの人の多様な価値観を知るのは無理です。
もっと言うと、多様な価値観を知る必要はなくて、自分の持っている美意識とか価値観に合っている人を対象にするのがブランド化していく上で最も早いのです。
価値観=美意識
Twitterでつぶやいている人は、その時点ではTwitterでいっぱいフォロワーがいる人がカッコいいという価値観の元で動いている人です。
またTwitterの外にいる人たち、あるいはTwitterでビジネス自慢とかマウンティングとかをしていない層もいます。そこに触れてみないとわからないけれども、目にする機会もない感じですよね。
では、何をしたらいいのでしょうか。
自分のビジネスとかブランドとか、自分自身のブランド化に当たってペルソナが要らないとしたら、対象となるお客様やファンの方ライススタイルや憧れを把握して、そこに刺さるようにやっていくとしても「それってどういうもの?」となる。
ですから最初にやるのは自分自身のライフスタイルを研究することなのです。
自分自身のライフスタイルは価値観でつくられています。価値観は美意識――何がかっこいいと思って何がダサいと思っているかでつくられていて、なぜかっこいいとダサいの基準がつくられたかというと、ある人に対して、ある生き方に対して憧れがあるからです。
価値観が変わるときは憧れが変わるときですから、それまでかっこいいと思っていた憧れと違う憧れ対象が出てきます。
これは今日の本題ではないから深くは触れませんが、自分自身を大きく変えて成長させたい場合は、その憧れの対象をチェンジすると一気に変わります。
俺は会社を始めたときは26歳だったので、価値観や美意識がめちゃ狭かった。ほかの人が考えていることが本当にわからないので、とにかく年商がでかい、社員が多いという会社の社長がカッコいいと思っているから、ものすごく短絡的でした。
会社をでかくして、社員も増えて、なかなかになったけれども、途中でそれもダサいかなと思った。年収もある程度まで増えていくと、増えたという実感と、増えたことが周りにわかる。つまり「稼いでますね」ということをわかってくれることがのですが、途中からそれも超ダサいかなと思っていました。
今は年収自慢がダサいのです。これは俺の美意識が変わったからですが、結局、資産だからね。資産50億とか100億ある人は年収がなかったりしますから。
年収で言うと1つの基準がまず億かなと思うから、そこまでならそんなに何ということもない感じなので本当に言わないですからね。ある程度のレベルから上の人は、稼いでいる自慢をしないので価値観とか美意識が変わってきた。それは憧れの対象が変わってきたからです。
まず自分自身の価値観、美意識、憧れが、どこから来ているのか確認したほうがいい。
いくつか例を挙げたいのだけど、すごく話しにくい例だな。
これはやるかやらないかわからないですが、一部を優良コンテンツにしたら、お金を払った人に踏み込んだ話はしやすいかなと思ったりはする。
ビジネスで計算してみたら、こっちのほうが儲かるかどうかを全く抜きにして、無料のコンテンツだと、すごく希望して聞きたいと思っている方よりも、もっとライトに聞いている方がいると思うので、最近コテツの周りで自分が取り組んでいるビジネスの話でも、やっぱりうまく話せなくてお伝えしないほうがいいかなと思うことがあるので。
本線に戻します。
自分のブランド、ビジネス、自分のブランディングの対象者を考えるときに、どういうライフスタイルの人をキャッチして届けていくのかを考える。ということは自分自身のライフスタイルを研究する。自分が何をかっこいいと思い、何をダサいと思っているのかです。
これも水槽の中にいるとき金魚は水槽の中にある水に気付いていないのと一緒です。
水のない水槽の外にいるから水の入っている水槽に気付くのだけど、コテツラジオを聞いてもらって、こういうことを話したい相手に、お互いの価値観、美意識とか憧れを確認する作業をやったほうがいいです。
ただの友達とやってもダメなんですが、学習している方とやると自分のライススタイルも明らかになるのかなと思います。
ご自身のライフスタイルを研究しつつ、自分が持っているライフスタイルとか価値観の外にいる人と接して勉強する。そうすると自分のブランドとか自分自身のブランディングを、自分と似た人にしなくてもいいという気もしてくるのです。
意外と知らないのです、本当に。
以上、久々野智小哲津でした。
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このコラムは、
コテツがVoicyの「ブランディングと商売の話」で語った
内容を文章化し加筆したものです。
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