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『儲かる仕事』と『好きを仕事に』のはざまで。


「小哲津トーク飯」参加者募集中

(募集は終了しました)



コテツと一緒に食事を楽しみながら、皆さんの質問にお答する会です。

2月27日(月)18時半から2時間前後
場所 恵比寿駅から徒歩2分
参加費 5,650円(コースと飲み放題付き)


参加料だけで相談料は不要。
少人数制で、事前にいただいた皆さんの質問に答えていきます。

半年に1回募集しているコテツゼミは、外に情報を出していません。
ですから実際に話してみないと、コテツとの相性もわかりませんよね。

コンサルやゼミに興味のある方が
お互いにトライを続けられる関係になれるか。
食事会が、そこを確かめる時間になればと願っています。

参加希望の方は、こちらからどうぞ ↓↓↓


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Voicy No.0114 2022年2月2日放送

起業やビジネスは、人によってまったく違う。


起業や経営、ビジネスという言葉は、いろいろな解釈を内包している、とても範囲の広い言葉です。

起業といっても、ビジネスモデルと組織を所有して規模を上げていこうという起業と、会社で働いていた人が同じ仕事のままフリーランスになるのも起業と言われていて、同じプールを使う競技でも競泳と水球ぐらい違います。

起業や経営それぞれが持っている解釈も全く別なものです。自動車といえば軽自動車を思いつく人もいれば、F1カーや軽トラ、トラクターも4輪の自動車ですから全く違います。

起業や経営の話をすると、「これから何が儲かりますか」とか「儲けている人は実は〇〇をやっている」という興味からスタートする人と、今すごくはやっている「好きを仕事にする」「自分らしい商売は」から考える人がいます。

これは、それまで自分が触れてきた仕事観・人生観における解釈だと思いますが、オレは優劣の話をする気もないし、捉え方は全く違うという前提です。

商売や仕事の話には両面があって、その両端の人は全くかみ合いません。「これから何が儲かるんだろう。やっぱりNFTですかね」みたいなタイプと、「昔からお菓子づくりが好きで、今インスタにこつこつアップしているんです。友達にクッキーをつくってあげるのが好きで」という人は、全く別の競技ですよね。

「これから何の時代ですか」とか「今儲けている人は秘密の儲け方があるはずだ」という視点。
「自分はこれが好きでたまらないので、それが世の中から需要があろうがなかろうが、ただそれをやっている」。

この両端は、一周うまくいったとしても、どちらも長く続かないと思います。

「儲かりますか」サイドの人の考え方は、「今イケてる業界は」「これから伸びる業界は」「今の集客方法で何がいいですか」みたいに話します。「今有名な人の意見が正しい」という人が、「何が儲かりますか」サイドの考え方の象徴的なところです。

「自分の好きを仕事に」サイドの考え方というのは趣味が仕事になると思っていて、「何々の話を仲間としているのが一番幸せです」とか、「子どもの頃から憧れていたので」という話をします。

両端の人を表現するために、わざとどぎつく言っていますが、皆さんにもあるでしょう。オレにも両面があります。

しかしながら、二項対立で善か悪か二元論にしたがる人は、商売に向いていないなと思っているわけ。

大人になるというのは、グレーな状況が存在すると知って、グレーの領域が限りなく広くなっていくことです。割り切れることなんてほとんどありません。大人になるというのは、そういう面があります。

会社を経営していると、本当に割り切れないことが出てきます。オレの経験でお話ししますと、横領や肩を押すようなことが起きたりするし、上司が部下に行き過ぎた指導をすることがあるわけです。それを暴力事件として警察に突き出すかという問題がある。

本人が泣いて謝っている。けれども横領していたことは間違いない。これが一度か二度ではない。会社を20年以上やって、多いときは100~200名の従業員を10年以上にわたり雇用していると、こういうことがあるわけです。

これに正解はありません。その度合いにもよるし、本人の反省にもよるし、その人が過去にそういうことをやっていたとか、何回もその部下の胸を押すとか机をたたくのが繰り返し行われていたら、やられたほうが「これは暴力事件じゃないですか」というのに対して、どう対応するかです。

弁護士に聞いても警察に行っても、白か黒か付かないことがある。よく兄弟げんか家族げんかで警察が登場するケースがあります。兄弟げんかで弟が兄貴を殴った場合、それを傷害事件にするのかというのは、グレーな話ですよね。

グレーというのは、抜け道がいいと言っているわけではないので、ここは誤解のないようにお願いしたい。自分は法律違反することは良くないと思っていますから。


割り切れないことばかり。


今はソフトな感じにしようと自分を練習してきていますが、そもそもコテツはバカで熱血漢です。だから会社し始めのときは理想に燃えているわけ。

ただ、熱血漢でバカだから、白黒付けたがっている時代があったのです。なぜ白黒付けたほうがいいかというと、今思い返せば、白黒付けたら自分がすっきりするからです。

でも、世の中組織運営や商売では、白黒が付かないことが山ほどあるとわかってきました。二項対立では膨大にグレーゾーンが広くて、割り切れることなんてほとんどありません。

バカで熱血漢なコテツ青年が経営を始めたとき、「会社を一緒にやりましょう」と言ってくれた当時65歳の方がいました。最初の起業のときはお金も出してくださったんですが、その方とおすし屋さんに食べに行った26か27のコテツ青年は、「コテツ少年」ぐらいバカだったんです。

多分、会社でいろいろとゴタゴタがあったのでしょう。その40以上年上の人が俺に経営を任せているので、はしの裏にきれいな字で「清濁併せのむ」と書いてくれたんです。でも、そのときは全く納得いかなかった。

「清濁併せのむ」って何なんだ。白か黒か徹底的に議論したら答えが出るんじゃないか、という思いがあったわけ。

でも、白黒付けたいことは、決して関係者にとって全ていいことではありません。自分がすっきりしたいから、ということが結構ある。横領とか、ちょっとした人間関係上における悪事があったら、それを社長としてどう判断するのか。裁くといっても裁判官ではないのですから。

ちょっとしたもめ事で、双方の言い分を聞かなければいけないことがあります。でも、これって完全にグレーですよね。白黒はっきり判断つかない、全員が納得することはあり得ないという問題が起こるものです。

二項対立とか二元論にしたがる人が商売に向いてないと思うのは、そういう組織的な問題とか、お客様の間でそういうことが起こるからではなくて、商売が、そもそも割り切れない矛盾をいっぱい抱えて走っているからです。

お客様の利益と会社の利益。

お客様は原価のまま利益なしで売ってくれたら、それが一番お求めやすい価格です。でも、会社は利益を乗せないわけにいかない。どこまで行っても、どれぐらいが適正かというのはありません。

あとは経営者の取り分と従業員の取り分。

どんなに社長がいい人ぶったとしても、オレの取り分がゼロで、みんなに会社の株も全部あげるよみたいな経営者はいません。経営者は自分が儲けるために会社を始めていますからね。どんなきれい事を言ったところで。

「全員で頭割りしよう」みたいな社会主義みたいなことを言う人はいないので、どこかで取り分に関しては割り切れない問題が出てきます。


経営者の方針と従業員の意見。


チームでやっていれば、リーダーの意見とリーダーを支える側の意見が食い違う。競合と競争しているわけですから、お客様が比較している中で勝負しているので、競合をたたきつぶすのか、組むのか、どちらかになる。

ゼロサムゲームのように、どこかが総取りするわけではないと言いつつも、消費で競い合って奪い合っている時間とお金は有限ですから、どこかで競合からお客様を取らなければなりません。

あとは、お客様のために、仕事のために、プライベートを犠牲にして働くことがいいのか。それとも従業員に無理をさせないために、お客様に多少の理解とか我慢を強いるような状況がいいのか。これは絶対に割り切れないでしょう?

子どものときは、正義の味方は正義の味方でした。

何とかレンジャーと悪の軍団がいたときは明確に白か黒かになると思っていた。子どもの頃に見ていた刑事ドラマは、悪人はただ悪いことをした人だと思ったけれど、大人になってみたら違ってくる。

よくあるのが介護に疲れて親に暴力をふるってしまう問題です。「そういうは本当に割り切れないよね」みたいなことがいっぱいある。

結局、商売とか経営は、儲かるかどうかと、好きなことかどうか。入れ込めるかどうかということと、さらに社会性、世の中との関係をどうするのという3つの綱引きをやらないといけないというか、これをやり続けることが商売をやり続けることで、ここに結論はありません。

しかし、結論が出ないことは、もやもやするわけ。もやもやをなくすために答えを出してくれる人にすがったり、自己啓発にはまったり、変な思想にはまって「答えはあったんだ」というのをやりたくなる。

経営や商売をやっていきたいのであれば、「儲かること」と「好きなこと」と「世の中の関わり合い」、この3つの綱引きを、終わりなきマラソンでやり続けなければいけないという心持ちになれるかどうか。

どこか1つだけに執着している人が結論を出したくなったら、「世の中とは」「嫌われたくない」とか、さまざまなことの中で、どっちか寄りのまま遅かれ早かれうまく動かなくなる。

オレも今もって結論はありません。

儲かるということと、自分の気持ちが乗るか乗らないかと、世の中の関わり合いの中で果たしていく責任的なところ。今だったら、循環型とかSDGs的な部分、環境を毒さないということ。でも「とは言っても」というところもある。

なので、どこかだけに極端に寄っている人は難しいと思っているという話です。

商売とかビジネスとか、自分を商品としてやっている人は、その辺の相反する要素の中で、行ったり来たりしながらやろうという気持ちでいましょう。

相反する要素にも順番があります。

最初は儲からないとつぶれてしまうから、歌手の世界では最初、売れ筋の曲で出てくるのです。売れてから好きなことをやる。売れてヒット曲が出てから、ギター1本でライブをやったりするわけ。

出だしから好きなことだけやっているけれども全く需要がないというのであれば、プロとして成立しないので、趣味や好きなことだけやりたい人はアマチュアでやったほうがいいと思っています。

最初は「売れることから」です。

以上、久々野智小哲津でした。


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