【本紹介】『百年の孤独』 あの名作を下世話に紹介
こんにちは。
最近話題のやばい名作をご紹介します。
1.どんな本
『百年の孤独』
作:ガブリエル・ガルシア=マルケス
訳:鼓 直
最近文庫化され、手に取りやすくなりました。
といっても、結構なお値段しますよね…
舞台は南米コロンビアにある架空の町、マコンド。町の開祖であるブエンディア家の、七世代百年にわたる興亡を描いた大作。
作者のマルケスは1982年にノーベル文学賞を受賞しています。
全体を通して見ると神秘的で壮大な物語なのですが、個々のエピソードはけっこうトンデモです。
なにしろ、一族のほぼ全員が、何かしらやらかすのです。
ブエンディア家の歴史は、やらかしの歴史でもあります。
これが、ひと昔の昼メロめいたドロドロ展開もあって面白い。
評価の高さ故に、却って手を出しにくいと感じている方たちも、そういった下世話な部分に注目すればハードルも下がるのではないでしょうか?
というわけで、物語の一部分を下世話に紹介してみました。
ほらほら、みんなドロドロ好きでしょ?(ゲス顔)
この先ネタバレがあります。
先入観なしに読書したい方は、ここでお帰りください。
本を読み終わった後に、また来てもらえたら嬉しいです。
2.マダオの錬金術師
舞台となるマコンドは、ホセ・アルカディオ・ブエンディアとウルスラ夫婦が作った町である。
その経緯はこうだ。
若い頃に、ホセ・アルカディオとウルスラは結婚を反対されていた。
二人が従兄妹同士であり、二人の親族が過去に従兄妹同士で結婚した結果、尻尾のある子供が生まれたことがあったからだ。
結局、二人は反対を押し切り結婚することになったのだが、新婦のウルスラは、母親に言いくるめられて子作りを断固拒否する。
母親お手製の貞操帯を身につけて寝て、絶対に脱がなかった。
そんな状態が続くと、やがて近所の人間も、夫婦の不自然な様子に気づき始める。
妻との関係をからかわれたホセ・アルカディオ・ブエンディアは、キレて相手を殺してしまった。
殺人はお咎めなしになったものの、その後から夫婦の前に被害者の幽霊が現れるようになってしまった。
あまりに頻繁に現れるので、二人は故郷を出て新天地を目指すことになった。
こうして、新たに作ったのがマコンドの町である。
マコンドに定住し、しばらくすると旅のジプシーたちが現れるようになった。
たぶん手品師やサーカス一座のようなものだと思うが、その中に「本物」が混ざっていた。
それがメルキアデス。
古今東西の知識に通じた錬金術師というか、ほぼ魔法使いのような老人だ。
夫のホセ・アルカディオ・ブエンディアは、すっかりメルキアデスに傾倒してしまい、仕事や家庭そっちのけで錬金術の研究にうつつを抜かすようになった。
マダオである。
マダオの錬金術師の誕生である。
妻のウルスラは、マダオと化した夫とやらかし続ける親族を支え、時には鞭でしばき倒し(物理)一族を守り続けた。
おそらく作中最強人物は彼女である。
3.やらかし兄弟
マダオの錬金術師ことホセ・アルカディオ・ブエンディアとウルスラの間には、男の子が2人いた。
それが、エドワードとアルフォンス…ではなく、ホセ・アルカディオ(長男)とアウレリャノ(次男)である。
元々大柄だった長男は、パワー系マッチョに成長した。
そして、早々に女遊びを覚え、家政婦や占い師をしているピラル・テルネラという女のところに入り浸るようになった。
そのうちに女は妊娠し、ホセ・アルカディオは動揺して引きこもる。
久しぶりに外出したある日、彼はジプシー一座の少女と出会う。
そして、そのまま一座について家出して行方不明になってしまう。
え?
次男のアウレリャノは、兄に比べると奥手で細身でインドア系、金細工に精を出す大人しい青年だった。
そんな彼が恋をした。
相手はレメディオスという名の美少女(9歳)。
娘くらいの年齢と書いてあるので、この時アウレリャノは20代後半くらいだろうか。
さすがに9歳はドン引きだよ!!
思い悩んだ彼は、ピラル・テルネラの元へ行き、言った。
「あんたと寝にきたんだ」
?!
せめて他の女にしとけよ!
で、この結果、また子供ができてしまうのである。
ああ、家系図がややこしいことに…
数年後、アウレリャノの恋は成就し、レメディオスと結婚することになるのだが、数年後といっても、現代日本の感覚だと中学生くらいだろうか?
幼妻ってレベルじゃねーぞ!
意外にも夫婦仲は良好で幸せいっぱいだったのだが、レメディオスは若くして急死してしまう。
彼女の死後、戦争が始まる。
インドア系だったはずのアウレリャノは従軍し、やがて英雄になった。
そして、戦争の期間に、彼は17人の女性と17人の息子を作るのであった。
?!
ちなみに、息子たちの名前は17人全員アウレリャノである。
いや、雑!!
4.ホラーな姉とツンデレ拗らせ妹
ブエンディア夫妻には娘もいた。
レベーカ(姉)とアマランタ(妹)である。
アマランタは夫妻の実子で、上の2人とはだいぶ歳が離れている。
レベーカは養女で血のつながりは無い。
姉妹はそれぞれタイプの違う美人に成長した。
そして、彼女たちは同じ男に、ほぼ同時に恋をした。
相手は仕事でブエンディア家に出入りしていたイタリア人の優男、ピエトロ・クレスピである。
仲の良い姉妹から一転、恋敵となってしまった二人。
勝利したのは姉レベーカだった。
レベーカとピエトロは婚約する。
だが、アマランタも黙ってはいない。
「絶対に邪魔してやる」「殺してやる」とレベーカを脅迫したり、婚礼の衣装をボロボロにしたり、ついには毒を準備するところまでいった。
完全にやべー女である。
結婚式が間近に迫ったある日、ピエトロの母が危篤だという知らせが届いた。
当然、結婚式は延期になった。
だが、これは誤報だった。
何者かがデマを流したのだ。
いったい誰がこんなことを?!
見当もつかないな(棒)
その後もいろいろあって、結婚式は延び延びになってしまう。
そんな中、あの男が帰ってきた。
行方不明の長男、ホセ・アルカディオである。
船員をしながら海外を放浪していたらしく、元々良かったガタイがさらムキムキになって、全身に刺青まで入れている。
ここで、予想外の出来事が起きる。
レベーカがピエトロからホセ・アルカディオに心変わりしてしまったのだ。
アーティスト系優男とDQN系マッチョじゃタイプ真逆では?
結局、二人は駆け落ち同然に結婚する。
ちなみに、血のつながりはないものの、一応彼らは義兄妹になるのだが、レベーカが養女になったのは、ホセ・アルカディオが家出した後なので兄妹として過ごした期間はない。
ついでにもう一つ。
レベーカは、ホセ・アルカディオの息子のアルカディオとは姉弟として育っている。
ああ、もうややこしい!
さて、当然の成り行きで、傷心のピエトロとアマランタは急接近する。
レベーカの件で心を痛めていた母ウルスラも全力でバックアップ。
めでたく、ピエトロとアマランタは婚約する。
だが、ここでまた事件が起こる。
アマランタが手のひらを返したのである。
「あんたなんかと結婚するわけないじゃないwww」
突然のツンデレ発動である。
本人的には、ちょっと焦らしてみただけのつもりだった。
しかし、タイミングが最悪だった。
姉と妹両方に弄ばれた形になってしまったピエトロは、ショックで命を絶ってしまった。
事態を知ったアマランタは悲しみ、激しく動揺した。
自分の手を燃え盛る竈に突っ込んでしまうくらい動揺した。
彼女はひどい火傷を負った片手に黒い包帯を巻き、生涯外すことはなかった。
結婚式の妨害工作の件もあるし、アマランタはツンデレだけでなく、ヤンデレやメンヘラの気もあるのかもしれない。
属性が渋滞している。
一方、姉のレベーカは設定が渋滞していた。
レベーカの出自には謎がある。
彼女は両親の遺骨を携え、ブエンディア家にやってきた。
曰く「両親が亡くなって、親戚はあなたたちだけなので面倒を見てほしい」
だが、身内の誰にも心当たりはなかった。
この時点でだいぶホラーだが、一家は行き場のない彼女を家族に迎え入れることにした。
いや、心広いな!
他にもブエンディア家に来たばかりの頃のレベーカは問題を抱えていた。
食事を摂らず土ばかり食べ続けたり、謎の病気を持ち込んで危うく町を壊滅させかけたり…
この設定だけで、ホラー小説一本できそうである。
実際、この辺りの描写はけっこう怖い。
大した説明もなしに使い捨てるには惜しい設定である。
妹が属性盛り盛りなら、姉は設定盛り盛りなのであった。
5.終わりに
いかがだったでしょうか?
とっつき難い名作に、少しでも興味を持っていただければ幸いです。
最後に、これから読まれる方へのアドバイスをひとつ。
この『百年の孤独』は、なるべく一気に読むことをお勧めします。
というのも、うかつに本を閉じると、次に読む時に話を見失って迷子になってしまうからです。
なにしろこの一族は、婚外子を作りまくるので人間関係が複雑です。
しかも、同名の人物が何人も出てくるので、ややこしいのです。
「アウレリャノ」なんか、サッカーチームを作れるくらい出てきます。
野球なら2チームできます。
アウレリャノだけで試合できます。
さらに、死者はうろうろするし、普通に150歳以上長生きする登場人物がいたりするので余計に混乱します。
「アウレリャノって、どのアウレリャノだよ?!」
「またアルカディオか…」
「あれ?この人まだ生きてたっけ?」
という感じで、ページを行ったり来たりするハメになります。
というわけで、この夏休みに大作の一気読みに挑戦してみてはいかがでしょうか?
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