溶けにくい化合物の親和性評価
ハンセン溶解度パラメータ(HSP)は化合物の性質を表す値で、化学的な相性の指標として活用されています。
HSPを実験的に取得する方法として、様々な溶媒に対する親和性を評価する方法が知られており、溶解度測定はその一例です。
溶解度を求める方法として、例えば、UV-Vis分光光度計を使用するケースがあります。これは、濃度既知の溶液のピーク強度から作成した検量線をもとに、濃度未知の溶液の濃度を求める、という方法です。HSP取得の観点で考えるならば、複数の溶媒で溶解度を測定することでに化合物のHSPが求められる、ということになります。
しかし、この方法には困難な点があります。溶けにくい化合物だった場合、検量線が作成しにくくなります。また、多種溶媒での測定のため、溶媒ごとに検量線を作成する必要があり、かなりの時間と手間がかかるでしょう。
次の論文では、良溶媒に対する不溶分の定量という形でこの課題を回避しています。大まかな手順も示します。
① 一定量の化合物を溶媒に添加する。
② 一定時間経過した後、不溶分を回収する。
③ 回収した不溶分を、良く溶ける溶媒 (良溶媒) に加えて溶かす。
④ ③の良溶媒で検量線を作成する。
⑤ ③の吸光度と④から、不溶分の濃度を求める。
⑥ ①と④の差から、溶解度を求める。
⑦ ⑥の結果をもとにHSPを解析する。
この方法は溶媒に対する親和性が連続値として求まるため、溶媒間の序列をより詳細に評価することも可能でしょう。