最近の記事

〜絶対売らない100枚〜 No.11

Computer World / Kraftwerk 例えば、10年前と今とで、自分の音楽観みたいなものは俯瞰的に見ればさほど変わったとは思ってないが、圧倒的に聴かなくなったのはやはりダンスミュージック系統のテクノ系の音である、エレクトロニカも最近のものに関してはやや興味が薄い。 そこら辺何故なのかと考えると、まぁ端的に言って「飽きた」の3文字に尽きるのかな、と思う。直感的に楽しめて踊れるものの何が悪いかと言われればそれは別にそれで問題ないのだが、そのインスタントな感

    • 〜絶対売らない100枚〜 No.10

      Blank Generation / Richard Hell & the Voidois 正直に告白すると、洋楽のバンドで最初に洗礼を受けたのはセックス・ピストルズの「勝手にしやがれ!!」である。おそらくは高校1年ぐらいの頃か、今となってはきっかけは忘れてしまったが、素直に「めちゃくちゃカッコいい!!」と思って夢中になった。Youtubeで見られる危険な香りに満ちたヤバそうなライブ映像、目を剥いて痙攣するように歌うジョニー・ロットン、そして血だらけのシド・ヴィシャス、

      • 〜絶対売らない100枚〜 No.9

        Zoo / Peter Astor 別に音楽というジャンルに限った話ではないが、大体において芸術の分野にはその表現力や才能に比してアンダーレイテッドな人というのは必ずいる、お笑いとかそういうものにしても同じかもしれない。誰しも自分を客観的に評価するのは難しい、それは表現する側だけの話ではない、私みたいに見たり聴いたり、読んだりするだけの人間も同様である。つまり、自分が素晴らしいと思うものが、じゃあ本当に素晴らしいのかと自問するとやはり本当のところは自信はない。10年近く

        • 〜絶対売らない100枚〜 No.8

          まずは色を無くそうか!!  / 灰野敬二 真打ち登場というか、ことアングラな世界の音楽を語ろうとするならば灰野敬二はやはり取り上げなければならない。灰野さんに関してはその長いキャリアや様々なバンドでの活動もあって、絶対売らないものが何枚かあり、本音を言えばなにか一枚に限定したくはない。そして、今回私が取り上げる一作、この「まずは色を無くそうか!!」という2002年発表のソロアルバムは、灰野敬二というミュージシャンのパブリックイメージを考えると入り口としての最初の一手とし

        〜絶対売らない100枚〜 No.11

          〜絶対売らない100枚〜 No.7

          Today / Galaxie 500 「絶対売らない」と銘打ってこのシリーズをダラダラとやっているが、売るだの売らないだのという部分を通り越した、大袈裟にいえば自分の分身というか、身体の一部でもあり、心の奥の一番大事なところに根を張ってしまっているような、何故かそんな風に感じてならない音楽がある。今回取り上げることにしたギャラクシー500は、自分にとってはそんな音楽のひとつ、かもしれない。 とにかく何度聴いても奇跡的な音である、バンドマジックと言うほかない。彼らが残

          〜絶対売らない100枚〜 No.7

          〜絶対売らない100枚〜 No.6

          Stimmung / Karlheinz Stockhausen カールハインツ・シュトックハウゼンと言えば、現代音楽における泣く子も黙る巨匠であるが、バッサリ切ってしまうと何がそこまで凄かったのか未だによく分からないままである。もちろん彼が残した作曲作品をひとつひとつ丁寧に聴いた訳でも無いし、ヘリコプター弦楽四重奏、初期の電子音楽、超絶技巧過ぎてマトモに弾けないピアノ曲などなどの、そういった大まかな印象でしか作風を知らない。まぁとにかくその生涯を徹頭徹尾、「実験」に捧

          〜絶対売らない100枚〜 No.6

          〜絶対売らない100枚〜 No.5

          side guitar / 中村としまる 2003年発表の本作は現時点で、私の最も好きなギターソロアルバムである。とは言っても内容としてはギターのフィードバックによるドローン演奏3曲が収録されているだけで、超絶技巧的な何かを期待する人には若干肩透かしな内容にはなってしまうかもしれない。 ノーインプットミキシングボードを駆使したユニークな演奏で知られる中村としまるは、かつて代々木オフサイトで杉本拓や秋山徹次らと「Meeting at Off Site」なる即興演奏のコン

          〜絶対売らない100枚〜 No.5

          〜絶対売らない100枚〜 No.4

          Sound On Sound / Bill Nelson's Red Noise 元ビ・バップ・デラックスという肩書などもはや不要な程に現在までソロキャリアを重ねたビル・ネルソンは驚くほどの多作家である、年に2〜3枚のソロアルバムのリリースと並行しつつ、6枚組の未発表音源集を平然と投下してくる辺り、一体何がどうなっているのやらという感じだ、凄いというよりもはや病的、おまけにそのペースは2020年現在も維持されているのだからいやはや驚異的である。 ソロアルバムに関しては

          〜絶対売らない100枚〜 No.4

          〜絶対売らない100枚〜 No.3

          Null & Void / Ground Zero 若かりし頃の大友良英のバンド、グラウンドゼロに関しては大小様々な思い入れがあり、とても端的に語り切れるものでもないが、声を大にして言いたいこととしてはこのNull & Voidも含めた一連の作品群は過去の遺物みたいなものとして片付けてはならない、ということに尽きる。容易に入手できるCDではないが、末長く、それこそ永遠に、私も含めて聴くべき誰かが聴き続け語り継いでいかなければならないと思っている。 そしてまた確かな事は

          〜絶対売らない100枚〜 No.3

          〜絶対売らない100枚〜 No.2

          Dreamweapon / Spacemen 3 スペースメン3の総合的な観点からする最高傑作は「回帰」に違いはないとは思うが、最も「らしさ」というやつが出たのはこの「ドリームウェポン」なのではないかと昔から思っている。もちろん、手放しに誰もが聴くべき名盤などとは口が裂けても言えないし、おそらくこれを一回聴いて手放す人もいるであろうことは重々承知はしているつもりである。 肝心の内容からは少し話が逸れてしまうが、とりわけ重要なのはこんな代物をロックバンドが作品として世に

          〜絶対売らない100枚〜 No.2

          〜絶対売らない100枚〜 No.1

          Tell God I'm Here / Hurrah! 個人的に昔から暑苦しいマッチョな感じの音楽がどうも苦手である。体育会系みたい手合いが好かないからなのか、そういう男らしさ全開な何かには昔から惹かれない。まぁとは言っても例外は常にあるもので、ボストン、モーターヘッド、ポール・ウェスターバーグ辺りは暑苦しいが聴く、一部ではあるがハードコアも。表面的なだけの激しさは空回りする勇ましさなようで何か虚しく聴こえてしまう。つまり、ただ単にシャウトすることやギターを歪ませること

          〜絶対売らない100枚〜 No.1

          よく分からんけど好きなモノシリーズその1

          Two4 / John Cage 普段音楽を聴いていると、音楽にはウンザリだけど音楽が聴きたいという訳の分からない状態へと落ち入る時がある。そういう時は大抵ヘンな音楽に落ち着くというのが自分のパターンで、このケージ晩年のナンバーピースであるTwo4はなかなかにヘンな音楽で、大変落ち着く。 このナンバーピースのシリーズは作曲のバリエーションが色々とあり、演奏盤もそこそこリリースされており、私が持っている上記mode盤による一連のシリーズはユニオンの現代音楽のコーナーとか

          よく分からんけど好きなモノシリーズその1