25年間の疑問 〜なら、正解おしえてくださいよ〜
こんにちは、ぷるるです。風が冷たくなりましたね。
食欲の秋に突入だ〜!ということで、食事会に行ってきました。
かつての職場仲間、計13人で構成される「クック・クルック会(仮名)」は、今年で15年目。
気付けば6時間も食べて、飲んで、しゃべりっぱなし!たくさん元気をもらいました。
そんな楽しいクック・クルック会(仮名)ですが、私には毎回モヤつくことがあるのです。
今日はそんな『長年正解を追い求めているのに、一向に答えが得られない』案件を、ぜひ聞いてください。
この会社に勤めていた頃、私にはF主任という上司がいた。
故郷の豆味噌を語るときだけ熱くなる彼は、有能で頼りになる好人物。
だが、一つだけ気になるところがあった。
それは、よく何かを出し忘れ&閉め忘れていること。
私がF主任の難点に初遭遇したのは、コンビを組んで1年目の夏である。
ある朝、彼の鼻から黒い線が出ていたのだ。
そう、HANAGE。
その鼻から、長すぎず短すぎない毛が、ぴょろんと飛び出ていた。
F主任は、じゃりン子チエのヒラメちゃんに瓜二つ。
だが中身はダンディ系で、この日もパリッとしたサックスブルーのシャツに身を包んでいた。
なのにHANAGEとは・・・
私はすぐ、この悲報を彼に伝えたかった。
だがダンディさを考えるに、女子(当時はね)からの指摘は喜ぶまい。
そこで「どうかトイレットなどで、早く気づきますように・・・」と、天へ祈るに留めた。私なりの気遣いである。
ところが。
お昼を過ぎても、F主任は一向に気づかなかった。
動くたびに、ふよんふよんと揺れるHANAGE。
小さいくせに、なんと大きな存在感だろう。
これは一刻も早く撤去したほうがいい。
だが、誰一人それを伝えないのだ!
隣の課の主任(男)は、HANAGEを前に長々と談笑をしていた。
直属の課長(男)も、HANAGEを前に淡々と業務指示を・・・。
世界はどうなっているのだろう。なぜ平気でいられるのか。
私は軽い苛立ちを感じたが、グッと我慢をした。
だが午後3時過ぎ、事が動く。
F主任が立ち上がり、こう言ったのだ。
「今日はX社に行って、そのまま直帰するね」
なんと!!重要取引先に、出しっぱなしで行く気??
X社の女子社員に「はなげん」とあだ名をつけられる未来が、はっきりと見える。
その瞬間、私は、
無言で手鏡を差し出した。
恥をかかしてはならぬとの、正義感ゆえの行動である。
だがF主任は鏡を使った後、無言で片手を上げて去っていくではないか。
うーん、なんだろうこの反応。
今ひとつよくわからんな。照れ?怒り?それとも恥じらい?
モヤッとしたが、幸いすぐに忘れた。だって私のHANAGEじゃないし。
そして友達と飲みに行き、カラオケで歌い、夜はぐっすりと眠った。
この問題が、25年も尾を引くとは知りもせずに。
さて翌朝。
出社すると隣席のF主任が、「昨日ありがとね」と言ってきた。
見れば奴の姿はどこにもない。良かった、勇気を出した甲斐があった。
ところが彼はニヤニヤ笑いながら、
「さすが、ぷるるさんだよ」
と続けるではないか。
私は困惑した。何が「さすが」なのか。でもこれだけはわかる。
ほめ言葉じゃない、絶対に。
私は、どういう意味ですか?と聞いた。
するとF主任はこう言った。
「いやあ、普通は言わないからさ」
とたんに困惑から混乱へ。
え、伝えないのが常識だっけ・・・
言った私が、おかしいの??
だから、また聞いた。
私「じゃあ言わない方が良かったですか?」
F「いやいや・・・」
私「私だって嫌でしたよ。でも困ると思って・・・」
F「ははは・・・まあねえ?」
私「じゃあ正解、教えてくださいよ」
F「ところで! 例のK社の資料だけど・・・」
なんとF主任は、正解を言わないまま仕事の話へ強引に切り替えたのだ!!
そりゃどうでもいい話だけど、モヤつくじゃないか!
だがK社は緊急案件、仕方なく私は引き下がった。
しかしF主任はそれからも某ジッパーを閉め忘れたり、歯に青のりをくっつけたりして、私を悩ませた。言うべきか、言わざるべきか、正解は??
結局我慢できない私は毎回指摘をし、その度に同じ会話が交わされ、正解を一度も教えてもらえないまま、私は転職したのであった。
そしてあんなにモヤっていた割に、すぐ忘れた。
元上司のHANAGEやジッパーなど、どうだっていいからだ。
だが、事態は長い潜伏期間に入っただけであった・・・。
さて退職から10年後。
初クック・クルック会(仮名)が催され、私は久しぶりにF主任と会った。
お互い懐かしさにあれこれ語り、笑い合う。
だが話もひと段落した頃、F主任がニヤッと笑った。
F「ところで、今も指摘するわけ?」
私「なんのことですか?」
F「ほら、HANAGEとかジッパーとか・・・あったじゃん」
そう、F主任はあの件を蒸し返してきたのだ!
一気によみがえる当時の記憶と疑問。正解聞いてないよ〜。
すると隣にいた同期女子Sが、この話に食いついた。
一連の流れを面白おかしく話す、F主任の声は珍しく大きい。
そして気づけば、全員がこの話に参加しているではないか!
私はちょっぴり期待をした。今夜こそ正解がわかるだろうと。
そしてF主任の間違いが、はっきりするに違いないと。
ところがF主任が話し終わると、全員が大笑いするではないか。
同期女子Sなど「もうやだ〜、ぷるるちゃん!!」と言いながら、私の肩をバンバン叩く。
え、どういう反応?でもこれだけはわかる。
共感じゃない、絶対に。
だとしたら、一体何が「やだ〜」なのか。私の行動?それとも存在?
あるいは指摘しないのが「常識」ってこと??
混乱したから、聞いた。
「じゃあどうしたら良かったの? 正解を教えてよ」
だがこれはツッコミと判断され、さらなる笑いが起こった。
まずい。こうなっては正解を聞くことなど、無理である。
結果、私は10年ぶりにモヤつく羽目になった。
まあ、家に帰ったらすぐ忘れたけど。だってどうでもいいことだから。
ところが。
F主任は、クック・クルック会(仮名)の度に、この話をするようになった。
きっと笑いを取れて嬉しかったんだろう。
で、お酒入ってるから、みんな毎回このネタを忘れてるんだ。
沸点低くなってるから、これがしっかりウケるんだ。
もちろん私も毎回正解を問う。けれど、答えはない。
つまり25年、ずーっとモヤモヤしっぱなし!!
クック・クルック会(仮名)は、来年の開催がすでに決まっている。
つまり来年も私は、この件でモヤらなくてはならないのだ。
そして正解を知ることも、多分できないのだろう・・・。
以上が、私の『長年正解を追い求めているのに、一向に得られない』案件です。
こうして改めて書いてみても、やっぱり正解がわかりません。
私の行動、おかしかったですか?
ただ、時々ふっと思うのです。
もしかしてF主任は、あの時男心を傷づけられたのかも、と。
これは彼による遠回しの復讐なのかも、と。
しかしこれもまた、正解を得られないだろう案件であります。
せめて皆さまとこのモヤりを共有できたら、私としては満足です。
ご精読ありがとうございました。