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ちょっぴり読書感想vol.11

堕落論
坂口安吾

皆さんこんにちは。大型の台風が接近しているということで、仕事は休みになり、家を出ることができず暇している今日です。

今回は、斜に構える私には、堕落論という言葉の響きが何故か良くて手に取った1冊。
坂口安吾の作品を読むと感じる圧倒的な陰キャ感と捻くれ感。でも、本質は?ということを問いかけてくれる。私がそう感じる坂口安吾の代表作のエッセイ、堕落論。

堕落論という題名だけだと、なんとしょうもないんだと感じてしまうかもしれません。
武士道を掲げるような日本の美徳な精神的には。
だが、このエッセイは、大事なのは表面的な美徳なのか?見栄なのか?そうじゃない本質だろうと問いかける。本質はどうなんだ?綺麗事だけで本質は見えるのか?
ということ問いかけてくれる。そんなエッセイ。

このエッセイは、戦後の暗い日本のこれからの道筋を示してくれるようなエッセイだと思います。
堕落論では、戦争が幻想としての美しさを見せると言いますが、空虚なんですよね。戦争というものが日常からかけ離れ過ぎていて実体もなく、もはや実感も持てないから。だから、戦後っていきなり言われてもみんなどうしたらいいかわからないんです。空虚な日本なんです。だから、新しく人間を始めるために、堕ちきるところまで堕落しようというのが堕落論。
戦争の最中、上層部が押し付ける武士道などの様々な美徳なんかどうでも良くて、喜怒哀楽、人間の醜いところに人間味があるんです。中身のない美徳じゃなくて、戦後を契機に人間になろうと言っているはずです。堕落しきって、人間味ある人間になってから見つめ直そうこれからを。
そんな戦後を無理に明るくするのではなく、自分たちがありのままになって、もう一度人間らしく生きようと問いかけてくれる素敵なエッセイです。

日本人の本質をもう一度見つめ直そうと言ってくれる、本当は愛国心の詰まったエッセイでした。

また次回。

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