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「日本赤ちゃん学会第24回学術大会  レポート第3弾」 子どもとAIのデータギャップを埋める、とは。

2024年8月25日(日)東京大学において「日本赤ちゃん学会第24回学術大会」が行われました。
レポート第一弾では全体の概要を、レポート第二弾では一日目の内容を、そしてこのレポート第三弾では二日目の内容をご報告したいと思います。


レポートでは参加した「ワークショップ」「特別セッション」「シンポジウム」を簡潔にご紹介したいと思います。
資料が手元に残らなかった分もありますので、理解が行き届かないままご紹介したり、場合によっては逆の解釈をしてしまいご紹介してしまうかもしれませんが、お気づきの点があればご指摘ください。

東京大学伊藤国際学術研究センター

時系列でレポートを書いていますが、ボクとしては2日目の特別セッション「Bridging The Data Gap Between Children and AI(子どもとAIのデータギャップを埋める)」が一番今日的で興味深ったです。

学会提供スナップ写真:特別セッション

スタンフォード大学Michael C. Frank教授の

「Bridging The Data Gap Between Children and AI(子どもとAIのデータギャップを埋める)」

の特別セッションはオンラインで行われました。

この講演では、人工知能(AI)モデルと人間の子どもの学習プロセスの間に存在する大きな「データギャップ」に焦点を当てます。Frank教授は、最新のAIモデルが人間の子どもが生涯で受け取るデータ量の5-6桁も多いデータで訓練されているという驚くべき事実を指摘します。このギャップの存在理由を探るため、Frank教授は生得的知識、能動的・社会的学習、マルチモーダル情報の重要性など、様々な観点から検討を行います。これらの要素が、人間の子どもがより少ないデータでも効率的に学習できる理由を説明する可能性があります。さらに、Frank教授は自身の研究室での取り組みについて紹介します。彼らは子どものデータセットを用いてAIモデルを訓練し、そのモデルを子どものデータで評価することで、このデータギャップを測定し説明しようとしています。この講演は、AIと子どもの学習プロセスの違いについて深い洞察を提供し、両者の間のギャップを埋めるための新たな研究方向を示唆することが期待されます。これは、より効率的なAI学習アルゴリズムの開発や、人間の認知発達のより深い理解につながる可能性があります。

Geminiによる要約

AIが学習して得る情報量と子どもの生得的に得る知識量では異なることの意味とはどういうことなのでしょうか。
AIの進化が近年認められ実際人工知能などの発達の進化の激しさに目を奪われますが、子どもとAIでは学習プロセスにおいて知識量が異なってしまいます。
子どもが成長の中で得ていく情報は「生得的知識、能動的・社会的学習、マルチモーダル情報」などまだまだ言語化されていない部分も含めて多くあるに違いありません。AIが今後発展するにおいてその部分を明確にし、同様な発達の過程を経るようにしなければギャップの差は埋まらないだろう、と感じました。

学会提供スナップ写真:シンポジウム

また逆を言えば、現場の人間としてこれを強みとして生かすことがしばらくはできるだろうとも感じました。
つまり、子ども(人が)が、本来学習する過程において「学ぶ」ということは、「読書」や「指導を受ける」のような知識の積み重ねだけでいいわけはなく、「体験」を積み重ね「経験」とし、自らの五感で、他者と共にどう感じたかを学び取ることが大事なのではないでしょうか
保育現場では乳児などを中心に「感触あそび」をしますが、肌感覚から学ぶ知識、喜び、快不快感覚、そこから起こる感情などを体験します。
AIにそれらを「知識」として「情報」をぶち込むことはできても、感情を湧きあがらせることはできないでしょう。
保育士や現場の人間にとって大事なことは、今この現実を知っておくことにこそ重要性があるのだとボクは思います。
「昔からやっていたからただ単に感触あそびをする」という発想では、いずれAIが追い付く時代がやってくる際にはもはや対応できないでしょう。

学会提供スナップ写真:シンポジウム

「発達科学と最新AI・ロボティクス」

というシンポジウムでも最新技術の動向の発表と問題点、疑問点が会場からも質疑応答があり盛んなやり取りが行われました。
ロボットを赤ちゃんから作って育ててみる、という発想自体驚きです。また、進化著しい大規模言語モデル(LLM)の話も踏み込んでしていただきたかったです。

学会提供スナップ写真:ポスターセッション

ポスターセッションも発表が盛んにおこなわれていました。近年、保育の現場に関する発表が少なくなっている印象がありますが、赤ちゃん学会はどちらかというと数字的根拠を明確に示す傾向があるので、現場の人には向いていないのかもしれません。
ナラティブな研究に対しても発表しやすいものであったり、本来の学会の役割ではないでしょうが、発表のフォローをしてくれるような役割を持つ機能があってもいいかもしれません。

保育現場は発表の宝箱ですよ!

ポスターセッション

でオモシロいモノも何件かありましたが、またの機会に譲りましょう。

最後に言いたいこと一言。
どの学会もそうですが、ポスターセッション以外は最近は資料の配布があまりなくなり、現場での写真撮影も禁止というところも多くなってきました。ボクらのような「一般」のモノが折角参加し振り返ろうとしても膨大な情報量の中で与えて頂く資料がないと振り返る余裕がなく、特に「講演」や「特別セッション」「シンポジウム」などの大きいモノになると、「園」に帰って報告しみんなで情報を共有したくても大雑把なモノになってしまいます。
是非学会企画関係者に声が届き検討していただきたいところです。



番外編として今最新のAIロボットの進化系についての研究成果についてYoutubeを貼っておきます。
これが指し示すことは、上記に述べたことは「いずれすぐの未来に」AIが追い付き追い越す可能性があることを示唆していると思われます。
仮想空間での経験を積んで現実のAIに落とし込む」ことをすれば、何億年かけて我々が進化した歴史を数時間で成し遂げることができる世界が「いまここに」あることを知っておく必要があると思います。




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