意を決して潜るは焼肉店の暖簾
俺にはずっと、ずっと気になっている物があった。
それは、近所の焼肉屋の前にある一つの立て看板。
これを見てワクワクしないものはいないであろう(多分)、特に無類の酒好きとあらば。何を隠そう俺もこの店の前を通るたび、この青き看板に魅了された人間の1人である。
いざ、人生初の一人焼肉へ
しかしこの店、焼肉屋なのである。足がすくんでしまう。
何を隠そう俺は人生24年間一人焼肉に一度も行ったことがない。居酒屋やバーならまだしも、何となく焼肉屋という場所は多人数で行く場所という認識が色濃く、なかなか入店の意思が湧かなかった。(苦節12か月程)
そんな俺に転機が訪れたのは、数週間前のことである。
ふとnoteの「#挑戦してよかった」というタグを見たとき、この焼肉屋の看板が想起した。そうして俺は、この店の暖簾をくぐることを意に決したのである。
決戦の日
10/4(金)の夜、この日は久々の平日休みであった。
時は18時45分ごろ、意を決して店前に現着した。予約は取っていない。
店前に到着。ドキドキである。
果たして一人で店に入れてもらえるのだろうか?変な目で見られないだろうか?
色々と考えが巡ってくる。
あぁ、もうめんどくさい。入ってしまえ。俺は思考を停止させ店の暖簾をくぐる。
いざ店内に入ると、まさかの店員さんが来ない。
少し待っていると奥から店員らしきお兄さんが出てきて、いらっしゃいませと声を掛けてきた。
咄嗟に俺は
「1名なんですけど外のビール飲み放題って行けます?」と予め準備しておいたセリフを呪文のように発した。
広い席で良ければどうぞ、という返答に俺は声もなく頷き安堵のため息を漏らした。
しかしここで次なるピンチに出くわす。
よく見ると店の入口が玄関のたたきのようになっているのだ。
あれ、もしかして土禁?でも1足も靴置いてないし、、、仮に土禁だったらこのまま上がるのマズイし、なんか靴脱ぐかどうか聞くのもはばかられるしなぁ
と思考がグルグル回り始める。
しかしもう後戻りは出来ない、ええいままよと靴のまま店員さんの背中を追う。
どうやら賭けに勝ったようだ。特に注意もされることなく俺はサーバ付き4人席へと通され、注文方法等の説明を受けた。
広いなぁ。
俺が一番に感じた感想だった。
一人焼肉には持て余す程のテーブルに何だか愉悦を感じてしまった。
ふと壁際に目をやるとお待ちかねのヤツがいた。
ついに謁見するは、生ビールサーバくん。
肉の注文も程々に早速ビールを注ぐ。
うまぁぁい。素晴らしい、ちゃんとした生ビールである。これが500円/60分というのだからここまでの苦労も報われるものだ。
そんなこんなしていたら最初に注文したネギ塩牛タンが登場。
焼肉は初手牛タンや(⌒,_ゝ⌒)
ここで俺に10分ぶりの緊張が走る。
牛タンが凍っているのだ、それもカチカチに。
混んでいる訳でもないのに冷凍とはまさか質が良くないのでは?
なんて考えが頭をよぎる。なんせ安くない金と時間と度胸を使っているのだ、邪推するのも致し方ない。
結論から言うとちゃんと美味しかった。気になる方は焼肉商店 浦島屋で調べてもらうと良いが値段相応の味である。
なんやかんや食事を楽しんでいたが、ここで一つ失敗に気づく。それはライスを頼んだことである。過去にも何度かやらかした事があるが、やはりライスとビールは相性が悪い。
米で肉を食えばビールのお供が、逆をすれば米のおかずがそれぞれ消失するのだ。
「でもついついライス頼んじゃうんだよなぁ」
なんて1人で呟きながら箸を進めた。
その後も飲み放題の時間いっぱいまで肉とビールを楽しんだのであった。
まぁなんだかんだ来てよかったなぁ、なんか頑張った日にでもまた一人焼肉こよっかなぁ。
この日注文したものを以下に纏める。
ギアラという肉は初めて食べたが、ホルモンを少しあっさりさせて大きくした感じだった。
1番印象に残っているのは山形牛ステーキである。筋がなく柔らかくて食べやすかった。その上肉の風味がしっかり残っており、マトン好きの俺にはぶっ刺さりであった。
最後に
焼肉って結構忙しい。うかうかしているとすぐに肉が焦げるし、同時に注文とビール注ぐのと食べるのとと予想外のマルチタスクに驚き。
普段いかに友人に焼いてもらっていたのかを痛感、これからは俺もマメに焼くようにしよう。
初一人焼肉に挑戦して、何だか特別な思い出が出来た1日でした。 おわり