下手だから、愉しめる
パンやお菓子を作り始めて、25年以上になる。
子育てや仕事で忙しく、あまり作れない時期もあった。それでも、月に何度かは作っていた。最近は週に3〜4回は作っている。
パンやお菓子を作るときの工程が楽しい。粉や卵がまるで違うものに変わっていく様子がたまらない。
パンを作る時
粉と塩、酵母、水分などを混ぜるとひとかたまりになる。体重をかけて捏ねていく。叩いて捏ねる音も心地よい。材料同士が繋がってくると、プニュっとした触り心地の、かわいいパン生地ができる。発酵させることで、更にかわいく膨らむ。さっきまで粉だったなんて嘘みたいだ。オーブンの中でも膨らんで、外はカリッ、パリッと、中はふんわりする。焼きたての香り、食感は最高だ。
お菓子を作る時
固くて黄色っぽいバターを室温に置いて、空気を含ませるように混ぜると、クリームのように柔らかくなり、白くツヤツヤになる。トロンとした透明だった卵白も、泡立てると白いフワフワのメレンゲになる。卵の生地に粉を加えて、混ぜるとモフッ、モフッといつのまにか粉が消えていく。これもまた、不思議で楽しい。完成した時の達成感もたまらない。
こんなに工程を楽しめて、25年以上も作っているのだから、相当な腕前になっている、
そう言いたいところだけど、実は、そういうわけでは無い。決して謙遜ではない。
もちろん、長く続けているので、簡単なものなら材料を置き換えたり、アレンジもできなくはない。
でも、基本的に下手なのだ。幾度となく失敗をするし、形も不恰好。手順もよく間違える。
おそらく、他の人が3回で成功する事も、私は5回くらいかかる。
下手なのに、楽しいのだ。
いや、
下手だから、楽しめるのかもしれない。
誰かに見せる目的でもなく、誰かと比べるわけでもない。作りたい時に作りたいものを作る。
自分の世界で楽しんでいる。
上手いか下手かは重要ではない。
楽しいと思う、その内から出る感情をそのまま受け止め、感じる。それだけで充分だ。
これは、〝楽しむ〟より〝愉しむ〟ということかもしれない。
どうぞ、皆さんも下手なことを愉しんでくださいね。
ちなみに写真は、
①型外しがうまくいかなかったかぼちゃのプリン
②真ん中から飛び出してしまったシナモンロール
③潰れたロールケーキ
上手く出来上がる事もあるけれど、この失敗があっての喜びなんですよね〜
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