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私は朝の読書から



日常生活が送れることは決して当たり前ではなく、感謝すべきこと。当たり前と思いがちな事ほど貴重で大切なこと。

そうなんだ。そんなことはわかっている。わかってはいるけど、家事や仕事、人間関係での疲れ、将来への不安、そんなものも日常生活にはつきものなのだ。そして、そのせいで心にゆとりが無くなってしまうことも多々ある。大切な日常生活を守るためには、どこかでガス抜き、ストレス発散が必要だ。

これまでは休日にお菓子を焼いたり、映画を観たり、友達とのおしゃべりでバランスを取ることが多かった。けれど、それすら疲れて出来ないことも多くなった。
そこで、思いついたことが、出勤前の10分読書だ。少し前に1日10分の読書でストレスが軽減されるという記事を読んだことを思い出したのだ。丁度良いことに、読みたいはずで購入していた所謂“積読”もある。
出勤前は少し余裕を持って支度しているので10分読書の時間は充分取れるはず。

早速、読みかけの本を毎朝少しずつ読み進めた。夢中になって遅刻しないようにアラームをかけて読んだ。たった10分なのに本の世界に入り込み、アラームが鳴るとはっとして本を閉じる。そんな日々が続いた。
肝心のストレス軽減効果はどうかというと、出勤する時の気持ちはすっきりしていて、充足感が得られている。ある程度の効果は感じられた。

そして、気がつくと夜も本を読むようになり、読書時間がグンと伸びた。本を読む前は、動画をダラダラ観てばかりで、読書から離れていたので久しぶりの読書ブームだ。毎日読み進めるのが楽しみで、本の世界に没頭した。

お気に入りは原田マハさんのアート小説。どこまでが本当なのか?もう全部本当なのでは?と思ってしまう。そして、マハさんの小説で読んだ画家、アーティスト達を大好きになってしまうのだ。さらに美術館へも行きたくなるのだ。
実際に近くの美術館へもいくつか出かけた。
実物はネットで見るもの、写真で見るものとは全く違う。迫力、メッセージを感じたり、音が聞こえたり、風を感じる絵もある。小説を読んで絵の背景にあるもの、画家がどんな人生だったのか、また画家同士の関わりを調べるようになり、さらに関心が深まっている。

近場では事足りなく、とうとう飛行機に乗って小説の舞台の美術館まで行ってきた。会いたかったアートにも会えた。美術館であんなに興奮したのは初めてかもしれない。
次に行きたい美術館も決まっている。
もちろん毎朝の読書も続いている。

1日10分の読書がもたらした効果は抜群だった。ストレス軽減だけでは無く、新しい楽しみを見つけられたのだ。
とはいえ、ストレスがゼロになって、不安が1ミリも無いかというとそんなことは無い。それでも、楽しみが増えたことで私の心は元気になっている。小さくなったストレス、その隣に楽しみがある、そんな感覚だ。それが何より嬉しい。

美術館へ行くことが目的だった旅も行ってみれば、その土地の文化、歴史にも興味が湧いてくる。近くの神社へ行ってみたり、夜は飲みに出かけて地元の人や同じく観光で来た人と話をしたり、副産物はどんどん増えたのだ。

私のきっかけはたまたま読書だった。
朝の10分を何かの時間に充てることで、新しい何かが始まるかもしれない。
これからももっと新しい気持ちに出会いたいな。









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