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短編小説1000字

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2021年5月の記事一覧

短編小説 傘なし

傘を持っていなかった。一緒に入れてくれる友達もいなかった。真由子は下駄箱にあるはずだったローファーを諦め、白い上履きで駆け出した。
電車に濡れたまま乗ったら嫌がられるだろう。今日はずっと走って帰る。

思ったより雨は暖かく、真由子を濡らした。涙は出ない。雨に紛れて今なら出てきてもいいのに、慣れてしまったようだった。
きっかけなんてわからない。他人の気持ちもわからない。真由子自身の気持ちだって

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