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【暖簾に腕押し日記】だから、話を聞いて
私はこの夏ほんとうによく頑張ったしえらかった。
以下、9月1週目木曜日の読むと痩せるやつ。
*
新学期が始まって、心底疲弊している。
そもそも、夏休み自体が「疲弊の上塗り~限界を超えろ~」みたいな毎日だった。
まず夏休みの話からしよう。
基本的に、息子の友達がほとんど兄弟みたいに家にいて、それはもう騒がしい日々だった。
我が家に男兄弟がいないので、息子の遊び相手ができることは大変ありがたいのだけど、元気な息子のお友達は漏れなく元気なので、どの子もとってもお声が大きい。常々、うちの息子の声の大きさを書いているけれど、彼らもすごく声が大きい。まだ肺を鍛えてんのかな。
さらに、息子は大変良く食べると、そちらも何度か書いているんだけど、息子の友達もやはりよく食べる。私の顔を見るごとに「お腹空いた」と言っている。
私は母性の奴隷ババァなので、いつだって腹を満たすことに余念がないのだ。
「お腹空いた」と言われたらじっとしていられない。
まるでパブロフみたいにおにぎりを握ってしまう。
けれど、彼らがおいしいおいしいと頬張っていると、みちみちとなにかが満たされていくのだ。
成長期のすきっ腹が満たされていくのを想像すると、心が凪いでいく。まるでセラピーのよう。
セラピーと母性に踊らされて、いらぬ世話を焼いてしまうよ。
そんな、元気をぎゅっと丸めた塊みたいな小僧たちに揉まれる日々の間に、夏休みと言えばのお泊り要請が相次いでやってくる。
長女のお友達筋から、息子のお友達筋から、幼稚園の頃のお友達筋から、四方八方からやってくるよ、お泊りのお願いが。
いいの。全然いいの。
私も楽しいし。飯炊き好きだし。賑やかなのって最高だし。
全然いいんだが、どうにもうちの子どもたちは交友関係がアクティブである。それでは聞いてください、この8月、お盆までに我が家に泊りに来た人数、18人。
ちょっとした民宿かもしれない。
そこまでいくと、楽しいを疲労が越えていく。
ふとした隙に気を失うように寝ていたり、起きていたはずなのに、ところどころ記憶が抜け落ちていたりする。
私は冬に活動できない南国のコアラなので、夏はここぞとばかりに動き回っているのだけど、それにしたって今年はハードだった。
怒涛の来客を捌いて、遠方の実家へ帰省して、夫の実家にも行って、夏の締めにプールへ行って、疲労に疲労を上塗りした8月の下旬に差し掛かって、目の前に突き出されるのは、あれ、大物の宿題たち。
自由研究とか?読書感想文とか??工作とか???ポスターとか??????
いや、知らん。
お盆明けたらママは怒涛のお仕事スケジュールが待っていると散々伝えたじゃない。だから全部終わらせておこうねって言ったじゃない。何度言っても大岩のごとく動かなかったじゃない。
息子はやると言いながら、1mm たりともやる気を見せないので困る。挙げ句、私が干渉しようとしないことに腹を立ててほんとうにまじでどうしろというの。
長女は、やる気がありすぎて大作プランになった結果、永遠に終わる気配がなくて困る。挙げ句、タイムリミットがやってきて自由研究の清書を手伝うことになった。なんなの。
末っ子はきょうだい一しっかり者なので、概ね順調に終わっていたけれど、時間があることが災いして、工作第二幕が始まってしまった。
別にいいのだけど、なにかにつけて「ここどうしたらいい?」とか「玉結びしてほしいの」とか、お声がかかる。かわいいけど、困る。
お母さん、民泊に忙しかったのでそろそろ本気で働かんとまずいのですよ。
と言ってるところに、我が家の愛猫クロちゃんに怪我が見つかった。
患部が腫れて、膿が出ている。
ビュンとクリニックに駆けこんで診てもらったら、まさかの緊急手術という運びになって、なんかもういろいろ白目でしかない。
翌日、サイボーグみたいに背中から2本の管が突き出たクロちゃんが帰ってきた。どうやら、新参猫のシマちゃんと知らないうちにいざこざして、シマちゃんの爪が刺さっていたらしい。そこから膿がどっぷりと溜まってしまって、膿を吐き出す処置をしたということだった。
2本の管は膿を引き続き排出するために刺さっていたのだ。
その後も、私の忙しさを察知するかのように、クロちゃんシマちゃんともども病院に駆け込む展開が2度もあって、なんかもうこれ、試されてる??みたいな8月下旬だった。
仕事は遅々として進まず、深夜に持ち越すばかりだった。
*
やっと9月になだれ込んだのに、子どもたちはしばらく4限で帰ってくる。
長いな!!!慣らし保育かな!!!!
もちろん、くだんの小僧たちも下校とともにやってくる。
各々新学期の疲れが出始めた9月1週目の木曜日。
全方位的に、難しかった。
小僧Bと息子は激しい喧嘩をするし、小僧Aと息子は宿題をやろうともしないし、挙げ句無視してくる。夜、夕飯前にお風呂に入ってね、と3人に声をかけても誰も入ってくれないし、それどころかダイニングテーブルで10円玉磨き実験を始めるし、テーブルの上はとっ散らかるばっかりだし、夫は昨夜、(勝手に)夜更かししてしんどいしんどいと真横になって動かないし、そのあとはトイレに籠城して出てこないし、出てきたと思ったら、10円玉のお話に夢中になって、もう誰も私の話なんて聞いてないし、お風呂に入ってってば、じゃなきゃテーブルの上を片づけて夕飯の配膳を手伝ってちょうだいよ、だから、ねえ、ほんと誰か私の話を聞いて。
彼らも久しぶりの学校で疲れているんだろう。
学校へ行って、それぞれ習い事もあったし、そうね、疲れてるんだろう。
分かってる。分かってるから、お母さんは少しでも早く寝られるようにと手を尽くしているわけでもあってだな。
だから、早い話が、話を聞いて。
なんかもう分からないけれど、私もきっとうんと疲れている。
交感神経がずっとオンのままこの1か月を過ごしていたから、疲れていない状態が思い出せないけど、きっとこれは疲れている。
だからよく分からないまま勝手に腹を立ててしてしまったんだ。
そう、こんなときは寝た方がいい。
とっとと寝よう。それしかないからそうしよう。
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