見出し画像

バランス悪いを深掘り!学生・若手理学療法士必見!!

どうも、理学療法士のゆうです。
今日はバランスの話でも書こうかと思います。
この考え方を理解すれば成長間違いなしの、若手理学療法士には必見の内容にしたいと思います。

言葉の定義などに関して「それは違うんじゃない?」と思う部分もあるかとは思いますが、「こうやって定義したり、整理したりするとわかりやすくなるよ」という視点で書いていますので、寛容な気持ちで読んでいただけると幸いです。

多くの理学療法士の成長を願っています。



バランスって何?

臨床の「バランス」

みなさん、臨床の中で何気なく「バランス」という言葉を使っていないでしょうか?
「あの患者さん、バランス悪いよね」とか
「問題点はバランスですね」とか
バランス練習やってます」とか
臨床ではこんな言葉を多く聞くかと思います。

これらの言葉の中にある「バランス」は主に「バランス能力」を意味しています。臨床の会話の中で出てくる「バランス」は基本的には「バランス”能力”」です。

では、他に「バランス」と言われて思い浮かばなければ言葉は何でしょう?

「バランス”機能”」ですね。

この「バランス”能力”」と「バランス”機能”」を明確に使い分ける意識が、理学療法アプローチを立案するうえでとても重要になります。
あくまで意識で十分で、会話の中の一つ一つまで明確に言い分ける必要はありません。

バランス”能力”とは

バランス能力を考える上で重要なのが「支持基底面(安定性限界)」「重心(圧中心)」です。カッコ内の安定性限界と圧中心が正確な表現ですが、支持基底面と重心の方が耳なじみがいいかと思います。
今回に記事では混同して使ってしまうこともあるかもしれませんがご了承ください。また、基本的に注釈などなければ同義としてとらえてもらって構いません。

話を戻して「支持基底面(安定性限界)」「重心(圧中心)」がバランス能力を考える上で重要です。

なぜならバランス能力は次のように定義されるからです。

バランス能力=支持基底面内圧中心をとどめておく能力

なので、臨床でよく出てくる「バランス悪い」は、「支持基底面内に圧中心をとどめておく能力が低い」を意味します。

バランス”機能”とは

では、バランス”機能”とは何でしょう?

バランス機能=バランス能力を発揮するための身体機能

と定義されます。
例えば次のようなものです。

  • 筋力

  • 筋緊張

  • 関節可動域

  • 持久力

  • 感覚(特殊感覚含む)

  • 反射(姿勢反射など)

  • 協調性       などなど

私たちはこれらの身体機能を用いて支持基底面内に圧中心をとどめておこうとしています。
逆に言えば、バランス能力の低下の根底にはこれらいずれかまたは複数の身体機能の低下があります。

バランス能力の検査と評価

バーグバランススケール(BBS)

バランス能力の検査にはバーグバランススケールが広く用いられています。

この検査について学生や若手理学療法士と話をする時に、「検査をしてみてどんなことを考えるの?」と、検査の意義を質問することが多いです。
すると多くの学生や若手理学療法士は「カットオフ値が45点なので、それ以下なら転倒リスクが高いと考えます。」と答えます。

国家試験的には100点の解答ですが、私としては60点の回答です。

検査をする意味と点数が持つ意味

根本的なところですが私たち理学療法士はなぜ検査をするのでしょうか?それは患者の身体機能や動作能力などの状態を把握して、理学療法アプローチを行うためです。

前段の学生や若手理学療法士の回答「カットオフ値が45点なので、それ以下なら転倒リスクが高いと考えます。」は、BBSによりバランス能力がどの程度か(転倒リスクが高いのか、低いのか)という状態を把握したのみで終わってしまっています。

私たち理学療法士は理学療法士アプローチを行うために検査を行いますので、先ほどの回答「カットオフ値が45点なので、それ以下なら転倒リスクが高いと考えます。」では60点とした理由は、プログラムの決定に至っていないためです。

では、BBSの点数によってプログラムの決定はできるのでしょうか?
40点ならどんなプログラム・アプローチを行いますか?
30点ならどうでしょう?20点なら?
20点と40点の場合にプログラム・アプローチに違いはありますか?

そうなんです。
BBSの点数によってプログラム・アプローチ方法は決まらないです。

あくまでBBSの点数が持つ意味は「点数が低い方が転倒リスクが高く、45点以下の場合に健常者に比べて転倒リスクが高くなる」ということだけです。

ここまで読んでいただいた学生や若手理学療法士の方はこう思ったかもしれません。

そのことしかわからないならBBS検査しなくていいじゃん

検査項目も多くて時間が掛かり、わかることが少ない、プログラムやアプローチも定まらないのであれば検査しなくていいじゃんと思う気持ちはよくわかります。

ただ、学生や若手理学療法士のうちはBBSの検査は行った方が良いです。

BBSの点数からはわかることは少ないですが、検査している項目一つ一つをよく見ることで、この検査の本当の意義がみえてくるからです。そして、その結果と患者の状態を照らし合わせる経験を積むことで、トップダウン思考で患者の状態から、バランス能力の低下の原因を予想できるようになるからです。

BBSの本当の意義

BBSの特徴

ご存じの通り、BBSは全14項目があり、各項目「0~4点」で評価し、最大スコアは「56点」となる検査です。
なぜ、この14項目なのでしょうか?
ヒントは「支持基底面(安定性限界)」「重心(圧中心)」。

ここから先は

1,334字 / 1画像

¥ 100

期間限定!PayPayで支払うと抽選でお得

よろしければサポートお願いします。