「学習」の定義、具体例、見分け方
心理学で言う「学習」は、かなり広い現象を指す。
「学習」の定義
経験によって生じる比較的永続的な行動の変化、およびその過程
具体例
普段私たちは、
「英語を学習する」
「プログラミング学習教材」
「夏休みの学習時間を増やしましょう」
というように「勉強」と同じ意味で使うことが多いだろう。
それに加えて心理学では、
「練習の結果、うまくドリブルができるようになった」
「大人になったら、わさびが美味しいと感じられるようになった」
「あの人とうまく付き合うには、とりあえず褒めておけばいい」
「先生に怒られないようするには、授業中は静かにする」
「『ジョジョの奇妙な冒険』を読んだ後、漫画に対する価値観が変わった」
といったことも「学習」という。
経験によって何かができるようになることだけでなく、経験によって何かをしないようにすることも「学習」である。
また、価値観の変化のような外から観察できないことも「学習」に含まれる。
一方で、
「熱いものに触ってしまい、すぐに手を引っ込める」
「赤ちゃんが寝返りを打てるようになった」
「年をとって、老眼になってきた」
「お酒を飲むと饒舌になる」
「疲れすぎてお風呂に入れない」
「トレーニングの結果、逆三角形の体になった」
これらはすべて「学習」ではない。
「熱いものに触ってしまい、すぐに手を引っ込める」は「反射」であって学習ではない。
「寝返りを打てるようになった」は、「発達」によって自然とできるようになったことなので、経験を通してのものではないので学習ではない。
「年をとって、老眼になってきた」は、「老化(加齢)」である。
「お酒を飲むと饒舌になる」は、アルコールが抜ければ、元に戻るような一時的なものなので学習ではない。
「疲れすぎてお風呂に入れない」は、疲労から回復すれば、元に戻るような一時的なものなので学習ではない。
「トレーニングの結果、逆三角形の体になった」は、心理的機能に関わるものではないので、学習ではない。
見分け方
これは個人的にやっていることだが、「学習」か「学習」ではないか、迷ったときは、
「行動の前にどんな経験があったか」
「行動は一時的なものかどうか」
を考えてみると、見分けられるのではないか。
以上「学習」の定義、具体例、見分け方でした。
参考文献
澤幸裕 (2022). 学習 繁桝算男(編)心理学概論 (p.56) 遠見書房
進藤聡彦 (2021). 学習心理学 森津太子 向田久美子(編著)心理学概論 (pp.53-54) 放送大学教材
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?