日本独自の心理療法(psychotherapy developed in Japan)
○森田療法(Morita therapy)
森田正馬によって1920年頃に創始された。
内省的で自身の身体的・精神的不快に敏感な心気症傾向のある生の欲望が強い森田神経質(Morita neurosis)である者を対象とする日本独自の心理療法。
森田は神経症の成因は、森田神経症×誘因×精神交互作用であるとした。
何らかの誘因に触発された時、心気的気分から病的で異常なものと考え、恐怖や不安を高め、さらに予期的な感情からその感覚への注意の集中・鋭敏化を起こし、とらわれに陥る。
そして、とらわれを解決しようとする行動が、かえって不快感を増大させ、とらわれてしまう精神交互作用(psychic interaction)という悪循環に陥る。
森田療法では、不安や恐怖を感じるのは特別なことではないと考え、自然なものとして受け入れることで、とらわれの機制を打破していく。
カウンセラーは不快感の原因を追求しない不問的態度で接する。
もともとは独立した空間の中で小集団のクライエントたちが生活をともにして、セラピストや寮母が関わる家庭的環境のもとで進められる入院を前提とした治療構造であった。
現在は外来療法や自助グループも存在する。
○内観療法(naikan therapy)
吉本伊信が浄土真宗の精神修養法を基に考案した日本独自の心理療法。
外部からの刺激が遮断された狭く静かな部屋に入り、 初めは母親といった成育史の上で、重要な身近な人物に対して「してもらったこと(what I have received from person X)」、「して返したこと(what I have given to person )、「迷惑をかけたこと(what troubles and difficulties I have caused to person X)」の3点について 2:2:6位の割合で、幼少期から現在にいたるまで年代順に想起してもらう。
その内容を1~2時間ごとに訪れる面接者に3分程度で報告してもらう。
この過程を集中内観(intensive Naikan)といい、1週間毎日繰り返す。
過去を想起していくと、両親を始めとして多くの人々から様々な世話を受けてきたことに気づく一方で、してやったことは少なく、かえって迷惑をかけていることの方が多いことを認めざるをえなくなる。
こうして過去の対人関係や自分の生き方について、客観的・継続的に調べることで、人生観や行動の修正が可能となる。