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グリーンランド ―地球最後の2日間―(2020)

巨大彗星衝突の危機を描いたデザスター・パニック映画
生きるための闘いをする人々の、衝撃的な姿に愕然

無数の彗星群が地球のそばを飛来する天体ショーが一転、軌道を変えた彗星がアメリカ・フロリダ州の都市に激突し、巨大な衝撃波がアメリカ南東部を襲いました。

さらに、48時間後には、最大級の彗星が地球へと衝突し、人類滅亡級の被害がもたらされるといいます。

これまでハリウッドでは、さまざまなタイプの災害が地球を襲うデザスター・パニック映画が製作されてきましたが、巨大彗星の恐怖を描いた本作は、科学者や専門家が災害を止めるために奮闘するヒロイックな物語ではありません

逃げ惑い、パニックになる人々の姿に主眼をおいた、正真正銘の〈パニック映画〉。彗星の脅威よりも恐ろしい人間の本性が暴き出されます。

【ストーリー】
建築技師のジョン・ギャリティ(ジェラルド・バトラー)は別居中の妻アリソン(モリーナ・バッカリン)と最愛の息子ネイサン(ロジャー・デイル・フロイド)が住む自宅へ久しぶりに帰ります。それは、最も地球に接近するという無数の彗星群“クラーク”のテレビ中継を近隣の家族たちを招いて観るためでした。
ジョンが招待客の食材を買うため、スーパーマーケットにいると携帯電話に〈緊急大統領アラート〉がかかってきます。そして、ジョンの自宅のテレビにも、〈緊急大統領アラート〉が映し出され、ジョンの一家が「緊急避難人員に選別された」ことを知らせます。
ジョンは当初、アラートの意味が分かりませんでした。しかし、天体ショーが始まり、軌道を変えた彗星が地球へ衝突したとき、再び、ジョンの携帯電話にアラートがかってきます。そして、みんなが見ていたテレビ画面に「ギャリティ家の3人は最低限の荷物を持ち、大至急で近隣の空軍基地へ向かえ」というメッセージが流れます。
すると、家にいた誰もが彗星の落下が恐ろしい事態を招くことを察知し、パニックになってしまいます。

描かれているのは、まさしく〈命の選別〉。アラートの鳴らなかった近隣の家族たちは狂乱し、基地へ向かおうとするジョンたちと一触即発の事態に。

住民たちの冷たい視線を振り切り、空軍基地へ辿り着いたジョンら家族はネイサンのぜんそくの薬を紛失したことが原因で、離れ離れになってしまい、〈選別されなかった人々〉によって追い詰められることになります。

ジョンの不貞で絆を失いかけた夫婦が未曽有の危機に、命がけで家族を守り、愛を取り戻します。そんな家族の再生を描いたドラマチックな美談ですが、〈選別された〉ジョン夫婦の行動が少し抜けていて、共感するのが難しいです。

加えて、入院やワクチン接種、自粛の対象など、ある意味、〈命の選別〉にも思えることが行われた、深刻なコロナ禍初期の混乱を経験した現代では、映画の中の出来事があまりに空虚に思えてしまいます。

とはいえ、映画の中の人々の姿は観るべきものがあります。自分自身が同じ過ちを犯さないためにも。そして、現実に未曽有の危機が起こった時に、団結して乗り越えるためにも。

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【新感覚のパニック・アクション映画が2024年6月28日より公開】

音を立てたら即座に現れるエイリアンが
メチャクチャ怖い!


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