ホテルアイリス(2022)
日本と台湾のキャストとスタッフが創り上げた
狂気とエロスが交錯する眩惑の映像世界
小川洋子が禁断のエロスを描写した同名小説を映画化。
謎めいた中年男と、心に闇を抱えた若い女性との、妖しくも、幻想的な愛の行方が描かれています。
2人きりの空間で行われるエロティックな営みが本作の見どころ。本作で映画デビューを飾った台湾出身の陸夏(ルシア)が暴力的な翻訳家の過激な要求に応えるマリを熱演しています。ミステリアスな翻訳家を演じるのは、世界を舞台に活躍する永瀬正敏。静かな狂気をまとった凄みのある演技に引き込まれてしまいます。
マリと翻訳家の関係は、体の不自由な翻訳家の甥(寛一郎)が現れると危うさが増し、ドキドキしてきます。あまりにも、いびつで危険な世界は現実なのか、幻想なのか。原作にはない“鏡”をモチーフにした、人間の心の奥底を映し出すような眩惑の映像世界が堪能できます。
監督・脚色・製作は『タイムレス・メロディ』(’99年)で釜山国際映画祭グランプリを受賞するなど、世界でも高い評価を受ける奥原浩志。本作は『黒四角』(’12年)以来、9年ぶりの監督作となりました。
撮影はほぼ台湾の台北で行われており、日本と台湾のキャスト、スタッフが参加。無国籍感漂う不思議な「ホテルアイリス」を創り上げています。
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【永瀬正敏の最新主演映画が2024年8月23日より公開】
箱の中に棲む不気味な男が見た世界とは