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釣りバカ日誌20 ファイナル(2009)

22年間笑いと感動をありがとう!
平成の国民的喜劇シリーズがついに完結

 
1988年公開の第1作から足かけ22年で特別編を含めると全22作。2009年、釣り仲間の凸凹コンビ、ハマちゃんとスーさんの活躍を描く国民的喜劇シリーズがついに完結の時を迎えました。

【ストーリー】
一流ゼネコン・鈴木建設の会長スーさん(三國連太郎)は業績悪化を受けて、無期限の給料全額返上を申し出ます。
「もしや自分も……」と重役や課長たちが慌てふためく一方で、不況でもマイペースの万年平社員ハマちゃん(西田敏行)は得意の釣り人脈で思いがけず大型受注に成功します。

毎作、導入部となる会社シーンは、世知辛い世相を反映しつつもユーモアたっぷり。経営者の鑑のようなスーさんの行動が波紋を呼ぶ本作も、風刺的で大いに笑えます。

会長賞の褒美に「釣り休暇」を希望したハマちゃんは、久々にスーさんとともに釣り旅行へ向かいます。目的地はスーさんの亡き友人夫妻の娘・葉子(松坂慶子)の一人娘・裕美(吹石一恵)が暮らす北海道中標津。渓流釣りにいそしむはずのハマちゃんは葉子から結婚を認めてもらえない裕美と恋人・俊介(塚本高史)との間を取り持つことに。また、スーさんにはある秘めた思いがありました。

すっかりキューピッド役が板についたハマちゃんが初々しい恋愛劇を盛り上げる一方で、フィナーレの幕引き役として選ばれたのはスーさんです。

本作では、人生の終幕を考えるスーさんの姿が物語の軸になります。専属運転手(笹野高史)の行く末を案じたり、2人の娘が遺産相続について画策したり、高齢のスーさんの先行きが気になる展開にちょっとしんみり、と思いきや、最後には壮快な大団円が待っています。

三途の川でのドタバタ劇は悪いジョークの感もありますが、芸達者揃いの『釣りバカ』キャストが繰り広げる最後の笑劇パフォーマンスは見ものです。そして、シリーズの終焉を飾るように、レギュラー陣が総出で登場するクライマックスシーンは歓喜の涙なくしては見られません。

映画のエンドシーンは、撮影最終日に撮影された、まさに『釣りバカ』最後の撮影カットだそうです。本作のストーリーには絡んでいませんが、愛すべき上司・佐々木役の谷啓や裏方のスタッフも登場。「カット」の声がかかった後、笑いと涙で顔をくしゃくしゃにしながら労をねぎらうキャストやスタッフの姿に胸が熱くなります。
(谷啓さんにとっては本作が遺作となったそうです。)

22年間、常に新しい時代の波にさらされながらも古き良き日本の大衆喜劇を継承してきた本シリーズ。その歴史の重みと功績が実感できる感動のラストステージは、昭和の名優たちの心からの笑顔が見られる、今となっては本当に大切なシーンとなりました。

シリーズが未見なら、ぜひお薦めしたい作品です。映画で描かれるパワフルで温かい人間模様に深く感動することでしょう。

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【西田敏行さんの思い出】
2024年10月17日、西田敏行さんが逝去されました。
私は80年代、小学校の頃に見ていた『池中玄太80キロ』が特に思い出深いです。
土曜日の夜9時にドラマを見られるのが楽しみでしたし、ドラマの中で繰り広げられる、温かくも複雑な大人のドラマにワクワクしたものでした。
報道カメラマンの玄太をはじめ、通信社で働く人たちがカッコよく、私がマスコミの仕事に憧れた作品でもあります。余談ですが、男勝りな記者アッコを演じた坂口良子さんがチャーミングでカッコよく、私は大ファンになりました。お2人とももういらっしゃらないのですね。。。
西田さんの突然の訃報を受け、多くの俳優さんや芸能関係の方々から追悼コメントが出されているのを読むと、あの人懐こい笑顔そのままに、本当に優しくて、多くの人に慕われていたのが分かります。
私は特別なファンだった訳ではないのですが、気づけば多くの作品で西田さんを見ており、そのどれもが印象的な役柄で本当に唯一無二の存在だと思います。映画やテレビドラマの中にいるのが本当に自然で、これからも活躍されると思っていたので、大きな喪失感をぬぐえません。
二度と会えない死というのは本当に辛くて残酷だとつくづく思います。
西田さん、どうぞ安らかにお眠りください。心よりご冥福をお祈りいたします。

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