それでも夜は明ける(2013)
黒人奴隷の苦難の日々が辛すぎる
俳優の渾身の演技が生み出した狂気の世界
南北戦争以前、アメリカ南部で黒人が奴隷として虐げられるなか、仕事のためにアメリカへ来た黒人など、「自由黒人」という地位を与えられ、北部で普通の生活をしていた人々もいたそうです。
1841年、アメリカ北部で自由黒人として家族と穏やかに暮らしていたアフリカ系アメリカ人ソロモン・ノーサップは、白人紳士に誘拐されて南部へ売り飛ばされ、奴隷生活を強いられることになってしまいます。
本作は約12年もの間、理不尽な奴隷生活に耐えたソロモンが、再び自由を取り戻すまでを描いた実話です。
白人が黒人へ行った、精神的にも肉体的にもひどい仕打ちの数々は辛すぎて見ていられません。保身のためとはいえ、白人に理不尽な扱いを受ける仲間を見て見ぬふりする奴隷たちにも違和感を覚えます。しかし、それもまた、人間本来の姿なのでしょう。
結果的にソロモンは救い出され、自身の体験を記した自伝を出版しました。その自伝に基づいた映画は、彼の不屈の精神を謳い上げた感動作として、大きな評価を受けましたが、人間の陰惨な部分ばかりが描かれ、救いのない気分にもさせられます。
容赦のない人種差別は、今もなお、根強く残っており、ソロモンの帰還だけを称え、希望の物語として単純に捉えられるのは、楽天的なハリウッド映画ならでは、とも思えます。
米アカデミー賞には、作品賞、監督賞など、9部門にノミネートされました。特筆すべきは、ソロモンを演じたキウェテル・イジョフォー、ソロモンを虐待する白人の奴隷主エップス役のマイケル・ファスベンダー、ソロモンの奴隷仲間の少女パッツィー役のルピタ・ニョンゴらのノミネートです。
結果は、見事、作品賞を受賞、そして、ニョンゴが助演女優賞に輝きました。
人が人を支配する狂気の世界を作り上げた、まさしく体を張った彼らの熱演を称えたいです。
ブラッド・ピットの製作会社プランBが製作し、ピット自身もソロモンの救出に手を貸す白人として出演しています。
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【人種差別の悲劇をテーマにした社会派ドラマが2023年12月15日より公開】
決して忘れてはいけない黒人少年の死
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