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アイアン・ジャイアント(1999)

アニー賞9部門独占受賞という離れ業をやってのけた
2次元アニメーションで描かれた20世紀最後のロボットアニメ

ソ連が世界初の人工衛星スプートニク号を打ち上げた1957年。その成功は米ソ冷戦に拍車をかけ、社会的には暗い影を落とす結果になりましたが、一方で今日の科学技術の発展への扉を開けた革新的な出来事に、少年たちの未来へ馳せる夢や憧れは否が応でも膨れ上がりました。

そして、未来への希望を象徴し、世界中の少年たちの心を捉えたのが圧倒的な強さとパワーを持ったロボットでした。

1999年に製作され、巨大ロボットと好奇心旺盛な少年の友情を描いた『アイアン・ジャイアント』はそんな当時の少年たちの夢の集大成であり、20世紀におけるロボットアニメーションの有終の美を飾るにふわさしい作品となりました。

【ストーリー】
1957年秋、アメリカ・メイン州の小さな町が舞台。好奇心旺盛な9歳の少年ホーガース(声:イーライ・マリエンタール)は、“空から鋼鉄の大男が降ってきて、海に落ちるのを見た”という噂に興味を抱きます。
ある嵐の晩、噂の正体を探しに森へ出かけたホーガースは発電所の鉄塔をかじったために体中にショートした電線が絡まって苦しむ巨大ロボットを助けます。それは50フィートの巨体からは想像できない子供のような純粋さと優しさをもつアイアン・ジャイアントでした。
しかし、荒らされた発電所の捜査を進めていた政府のエージェント、ケント・マンズリー(声:クリストファー・マクドナルド)がロボットの存在を突き止め、軍を出動させてロボットを捕獲しようとします。
すると銃の攻撃によって防衛本能が解かれたアイアン・ジャイアントは本来の兵器としての姿を表わし、町は戦場のようなパニック状態となってしまいます。

1968年にイギリスの桂冠詩人であるテッド・ヒューズが発表した『アイアン・マン』を基に、原案と監督を務めたのはアメリカのテレビアニメ『ザ・シンプソンズ』シリーズのブラッド・バード。

主な登場人物や背景は昔ながらの2次元アニメーションの手法が用いられ、アイアン・ジャイアントのみが“地球外から来た”雰囲気を出すためCGIで作り出されました。

やや受け口気味で愛嬌たっぷりのアイアン・ジャイアントは、実は地球外から送られた恐ろしい戦闘兵器でした。そんな鋼鉄のロボットが“地球を救うスーパーマンになりたい”と願うクライマックスが秀逸。2次元アニメーションのレトロな雰囲気にマッチしたピュアな物語です。

本作は1999年、アニメーション界のアカデミー賞であるアニー賞の主要9部門を独占受賞。主演男優賞であるキャラクター賞を受賞した人気、実力とも断トツでナンバー1のロボット、アイアン・ジャイアントが何とも泣かせる演技をしてくれます。

次第に感情と心を宿していくロボットのキャラクターデザインを担当したのは、『スター・ウォーズ』旧三部作の視覚効果を担当し、『ミクロキッズ』『ロケッティア』『ジュマンジ』の監督を務めたジョー・ジョンストン。本作とほぼ同時期に公開された『遠い空の向こうに』では初めてヒューマンドラマを監督し、同じく1957年を舞台にして少年の夢を描いています。

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