腸管バリア機能は酪酸産生菌が非常に重要な働きをしている!<理想的な腸内細菌叢を作る!>
「理想的な腸内細菌叢を作る!」のシリーズですが、昨日までビフィズス菌を見てきました。昨日の例で最後に酪酸産生菌について触れていましたが、今日は、酪酸について見て行きます。
酪酸とは、腸内細菌の酪酸産生菌が食物繊維を発酵分解して作り出す短鎖脂肪酸の一種です。短鎖脂肪酸には他にも酢酸やプロピオン酸もありますが、それらについても以前のコラムで少し触れているかとは思います。
この短鎖脂肪酸のうち、酢酸やプロピオン酸の一部は大腸で消費されますが、大部分は大腸の粘膜から吸収されます。そこから、血流にのり、筋肉や肝臓、腎臓などでエネルギー源や生存するために必要な脂肪を作るための材料になります。
短鎖脂肪酸のうち酪酸については、そのほとんどが大腸の粘膜上皮細胞のエネルギー源になることが分かっています。一般的には人の細胞は血液中の栄養素により生成されますが、大腸の粘膜の細胞は、腸内細菌が作り出す酪酸をエネルギー源にしています。
それはどういうことかと言うと、大腸の粘膜バリアを形作っているのは多くが酪酸を生み出す酪酸産生菌だと言うことです。
大腸の粘膜上皮には、水分やミネラルを吸収し、腸のバリア機能として働く粘液を分泌する機能があります。このバリア機能とは、ウィルスなどの異物の侵入を防ぐ働きのことです。
画像は潰瘍性大腸炎の状態をイラスト化したものです。腸管のびらんが見えますが粘膜層がはがれているということを表しています。酪酸が働かずに異物の侵入を許してしまっている状態です。
酪酸を生み出してくれる酪酸産生菌が腸内にどれだけいるか、それが非常に重要になってきます。
酪酸産生菌については、より具体的に明日のコラムでご紹介していきたいと思います。
*今回のコラムの解説には江田証先生の「すごい酪酸菌」から一部抜粋しております。