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<漢方薬>五苓散に含まれる茯苓は何とも神秘的な生薬でした!

いつの間にか五苓散を徹底解剖するシリーズになって参りましたが、今日は昨日の沢瀉に続きまして、茯苓を取り上げます。

この茯苓ですが、以前に東京理科大学の薬学部教授、磯浜洋一郎先生の講演をお聞きした際、五苓散の5つの生薬の内、この茯苓は科学的な見地でその効能を探し出すことが出来なかったとして、再度研究を重ねるとおっしゃっていた生薬です。

科学的に解明できない生薬、何とも神秘的な話しですが、実際の部位についても神秘的なところがあるのです。

そもそも茯苓とは、キノコの一種でアカマツなどの根に寄生するサルノコシカケ科のマツホドの菌核を用いています。この菌核とは菌糸の塊のことで、不規則な塊状をなし、大小もさまざまです。

枯死したマツの根に寄生すると考えられていましたが、実際には生きたマツやその他の植物にも寄生し、地下20~30センチくらいのところに隠れています。

表面は灰褐色ですが、中はチーズ状で粘り気があります。特にマツの根を抱えて寄生している状態のものを茯神といい、その根のことを茯神木といいます。また、外皮の部分を茯苓皮、外皮に近い淡紅色の部分を赤茯苓(画像)といいます。

効能は沢瀉と同じく利水作用があり浮腫みを解消しますが、茯神の部分には、情緒不安定な時や不眠や動悸など、安神(精神的な安定)作用があります。何とも神秘的な部分がこの茯神のところかなと思います。

また外皮の茯苓皮には、「皮を以て皮を治療する」と言う、中医学の「以蔵補蔵」の考え方が根本にあり、体表部の皮膚の水分を取り除く利水作用が備わっていると言うことです。よって皮膚の水腫などに用いられます。

画像の赤茯苓に関しては、清熱利湿の効能があり、膀胱炎などの時、熱を取り利尿効果を持たせて排尿異常に用いられます。

茯苓の成分としては、トリテルルペノイドのエブリコ酸、パキマ酸、ツムロース酸などが上げられますが、多糖体のパキマンが含まれています。このパキマンには免疫増強作用が確認されていますが、この多糖体であるパキマンを腸内細菌がエサとして食べ、その代謝物として短鎖脂肪酸を生み出しているとすると、免疫増強作用の説明がつくことになります。

茯苓がキノコ類ということで、キノコが持つ菌と腸内細菌とが深く関わっていても何ら不思議なことではありませんね。

何とも神秘的な生薬、茯苓のご紹介でした!