<漢方薬>五苓散に含まれる利水作用のある‟猪苓”も腸内細菌との関連性があるのでしょうか?
漢方薬の五苓散を徹底解剖するシリーズ!?今日は、猪苓を取り上げます。
猪苓は、沢瀉、茯苓とともに3大利水剤と呼ばれるくらい、利水作用のある代表的な生薬です。昨日ご紹介した茯苓がキノコ類でしたが、猪苓もキノコ類で同じくサルノコシカケ科でチョレイマイタケの菌核を生薬にしています。
表面がデコボコした黒褐色の塊(画像)で、猪のフンに似ているところから、この名がついたとされています。
茯苓よりは利水作用に優れていると言われていますが、この猪苓と茯苓はセットで漢方薬に処方されていることが多いです。科学的な解明はされていませんが相乗効果があるのでしょう。
具体的な効能は、尿量の減少の時やむくみ、下痢のときも処方されます。むくみでも炎症のあるむくみに効くようで、熱を冷ます効果もあるようです。
猪苓の成分としてはステロイドのエルゴステロールや多糖類のグルカンなどが上げられます。キノコ由来のエルゴステロールががん細胞の増殖を抑制するとの見解もあり、多糖類のグルカンを含んでいることなどから、腸内細菌の代謝物が免疫機能に関わっていることも考えられるかと思います。昨日のコラムでご紹介した茯苓の免疫増強機能と共通するものだと思います。
前述のように猪苓はチョレイマイタケの菌核を表していますが、これは子実体の計上が食用のマイタケに類似していることに由来しているようです。要するに名の由来は猪のフンに舞茸の子実体がくっついて、チョレイマイタケというわけです。
決して食用の舞茸ではありません。ちなみに舞茸の由来は、その美味しさから山中で発見すると舞い踊るほど嬉しくなるということから、漢字で舞茸と表現するようです。あっこれは余談でした・・・。