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【実話】赤字から始まるサブスクビジネス|立ち上げから黒字化までのリアル

この記事は、何かを売るためのものではありません。
ここで伝えたいのは、サブスクビジネスを通じた私の起業体験のリアルです。サブスクリプションモデルは、一見すると毎月安定した収益が得られるように思えますが、その裏には多くの苦労や工夫が隠れています。だからこそ、これから起業を考えている方々に、私が体験した小さな成功と失敗を知ってもらいたい。そしてその上でぜひ挑戦してほしいと思っています。挑戦者を一人でも増やし、その人を支援することが私のミッションです。

私自身、2020年にサブスクWEB制作というサービスでゼロから起業しました。結果が出るまでには時間がかかり、特に最初の2年間は、会社の存続そのものが最大の課題でした。サブスクビジネスは、毎月少しずつ積み上げるモデルなので、苦しい時期が幾度なく続きました。それでも改善改善を続けてきたからこそ、今では3,000社以上のお客様にサービスを提供。着実に成長しつつあります。この経験を通じて、サブスクビジネスのリアル、その難しさと可能性をお伝えしたいと考えています。

このブログでは、サブスクビジネスを推進する上での実践的なポイント、起業のスタートでぶつかる壁をどう乗り越えるかを、私の実体験に沿ってシェアしていきます。私も圧倒的に失敗を重ねながら、少しずつ前に進んできました。そのリアルな経験を共有することで、これから起業や新規事業に挑戦するときのヒントや助けになることを願っています。

松岡 秀樹 
1994年生まれ。大阪府出身。
同志社大学体育会アメリカンフットボール部で主将を務め、2016年同大学経済学部を卒業。2016年株式会社リクルートに新卒入社。集客促進領域において、地方中小企業から国内最大手企業まで幅広く担当。担当企業の事業戦略立案・集客支援に従事。これまで培ってきたマーケティング・デザインの知見を活かし「全国の個人事業主・企業の集客支援をしたい」想いから、2020年4月に株式会社プロパゲートを創業。


初月0件、2カ月目わずか2件からのスタート


2020年4月、私が創業した株式会社プロパゲート。
現在の弊社主力事業であるサブスクWEB制作を創業と同時にスタート。
最初の月は受注件数が0件、翌月にはわずか2件。しかし、そこで心が折れることなく、地道にできることを積み重ねていきました。それから4年が経ち、今では月に150件以上の新規受注をいただき、累計で3,000社を超えるお客様のホームページを制作・管理させていただくまでに成長しました。

顧客実績3,000社超。
今では毎月150件もの新規契約が生まれるサービスに。
株式会社プロパゲートの“サブスクWEB制作”

しかし、ここに至るまでには数多くの試行錯誤が必要でした。

赤字から始まるビジネス


私たちのサブスクWEB制作の大きな特徴は、「ホームページの制作費が無料」という点にあります。これを理解していただくためには、まず従来のWEB制作のコスト構造をお伝えする必要があります。一般的に、ホームページの制作費は50万円から300万円、さらにランニングコストとして毎月1万~3万円程度が必要です。これらは企業にとって大きな初期投資であり、中小企業や個人事業主にとっては、なかなかハードルが高いものです。

対して、私たちのサブスクWEB制作では、こうした高額な制作費用を全てゼロに設定しています。月額費用も9,800円~19,800円と、従来のWEB制作と比較してもリーズナブルです。

つまり、お客様は初期コストをかけずに、さらに毎月のランニングコストも抑えつつ、高品質なホームページを手にすることができます。この手軽さこそがサブスクモデルの大きなメリットです。しかし、その裏には私たちが負担するコストがあります。

私たちのビジネスモデルでは、制作費やサーバー費、ドメイン費などをすべて自社負担でスタートしています。1件の受注で十万円程度のコストがかかりますが、それを回収できるのは、毎月のサブスクリプション料金からです。つまり、お客様に長く継続して利用していただくことが、私たちのビジネスにとって非常に重要な要素となります。1年程度で解約されてしまうと、私たちのコストを回収する前に赤字となってしまいます。

ビジネスが順調に進むほどコストが増加し、先出しで資金が減っていくという一見すると矛盾した状況は、事前の試算で予想していました。ただ、やはり実際に毎月銀行口座の残高が減っていくのを目の当たりにすると、
「本当にこの戦略で正しいのか?」
と自問自答することもありました。しかし、ここで耐え、将来的な収益を信じて進めることが成長の鍵だと言い聞かせ、進めていきました。

黒字化までの壁をどう乗り越えるか

サブスクビジネスを軌道に乗せるまでの道のりは決して平坦ではありません。特に、黒字化までの期間には数多くの壁が存在します。最初の2年間、私たちの会社もメンタルと資金繰りの両面で試練に直面しました。ここでは、私たちがどのようにして資金や顧客維持の課題をクリアし、黒字化に至ったかをご紹介します。

資金繰り

サブスクビジネスは毎月の収益が少しずつしか積み上がらないため、かなり切り詰めた資金繰りで運営していました。ただ、これは事前に織り込み済みのリスクです。創業から2年間、社長である私の給与はゼロに設定。幸い、当時はリクルートで正社員として勤務していたので、生活に問題はなく、全ての資金を事業に回すことができました。オフィスも1Kの自宅に設定しており、実質家賃も0円でした。

また、日本政策金融公庫からの借り入れも活用し、必要な資金を確保しました。初年度に200万円、2年目で600万円を借りることができ、非常に助けられたことを今でも覚えています。
余談ですが、簡単な事業計画書さえあれば超低金利で融資いただけるので、初めての起業の方は日本政策金融公庫は絶対に活用した方が良いです

解約率を下げる

ビジネスの根幹である解約率を下げるための施策にも注力しました。解約率が10%を超えると利益が出ないモデルであるため、いかに顧客満足度を下げず、契約を継続していただけるかがビジネスの根幹となります。

まず、顧客サポートの充実を徹底しました。レスポンスの迅速さや修正依頼への対応スピードなど、基本的なことを徹底し、サービスの品質を保つことが第一優先。迅速な対応によって、日常的な不満や問題がすぐに解消されるよう尽力。

また、顧客とのコミュニケーションも重要な施策の一つです。定期的にZoomや電話を通じて、顧客から直接フィードバックをいただき、サービス改善に役立ててきました。いただいたご意見やクレームは、すべて社内で記録し、単なる個別対応にとどまらず、仕組みとして改善策を導入することで、再発を防ぐような体制を整えました。

この「顧客の声をもとに迅速に改善を行う文化」は、今でも私たちの会社に根付いています。特にサブスクビジネスでは、新規顧客の獲得だけにフォーカスしがちですが、解約率を下げることこそが、ビジネスの安定に直結します。お客様に「使い続けたい」と感じてもらうための継続的なサポートと改善は、まさにサブスクビジネスの命とも言える部分です。

営業活動

月々の収益が200万円を超えるまでは、広告に一切頼らず、すべてコストのかからない泥臭い営業手法に集中しました。インスタグラムでのDM営業をメインに、毎日200件以上のメッセージを送り続け、少しずつ契約を積み上げていきました。この地道な努力こそが、ビジネスの基盤を支える原動力でした。

創業から1年弱の期間、ご契約者のリード経路です。
InstagramのDM経由が62%と、過半数を占めています。

参入企業(同業他社)が消えていく理由

私が取り組んできたような「代行×サブスクビジネス」のモデルは、表面的には誰でも真似できます。実際、私たちが広告を展開し始めた頃から、同様のビジネスモデル(制作費0円で月額制のホームページ制作)を展開する企業が次々と現れました。中には、私たちが使っているランディングページ(LP)や広告クリエイティブを、ほとんどそのまま複製したような会社もありました

しかし、これらの企業の多くは撤退していきました。その理由として考えられるのが、サブスクビジネスの根本にある「初期段階の赤字を乗り越える難しさ」に直面したからだと思います。このビジネスモデルは、利益が出るまでに時間がかかり、初期にはかなりの資金が必要になります。加えて、精神的にも厳しい期間が続くため、強い忍耐力と長期的な計画(少なくとも3年以上継続前提)がなければ事業を持続するのは困難です。

実際、初期段階で赤字が続き、思ったように売上が伸びない期間が長く続くことも珍しくありません。そのため、こうした厳しい状況に耐えきれず、途中で撤退してしまう企業が多いのではないでしょうか。言い換えれば、この初期の赤字や厳しい売上の壁こそが、サブスクビジネスにおける参入障壁となっているのです。

私たちがこの壁を乗り越えられたのは、単にモデルを作るだけでなく、明確なミッションと、死なないよう資金繰りの徹底をしつつ事業に取り組んできたからだと考えています。

創業から5年間不変のプロパゲートのミッション
“挑戦者の価値を届ける”

未来を予測できるサブスクの強み

かつ正直な話、私たちがビジネスを継続できたのは、サブスクビジネスの持つ「予測可能性」も理由にあります。サブスクモデルは、毎月の収益が安定して積み上がる仕組みを持っているため、ビジネスの将来像を描きやすく、試算表に基づいて経営することが可能です。

従来の「作りきり型」のビジネスでは、売上はその都度の営業成果に大きく依存します。そのため、毎月の売上が予測しにくく、収支が不安定になりやすいリスクがあります。一方で、サブスクモデルでは、既存のお客様が継続してサービスを利用し続けてくれる限り、収益は毎月安定的に積み上がるため、収支を明確に予測し、安定的に事業を進めることができるのです。

この安定した収益構造があるからこそ、事業の先を見据えて新たな投資や改善策を計画的に実行でき、リスクを管理しながら着実に成長していけます。サブスクモデルは、顧客と長期的な信頼構築=解約率を圧倒的に下げることができれば、持続的な成長を実現できるビジネスモデルだと確信しています。

もしあなたがサブスクビジネスで起業するなら、これだけは確保すべき

結論、サブスクビジネスは本当に大変です。
最初の1〜2年は赤字が当たり前で、その間にどれだけ資金を持ちこたえられるかが鍵になります。私自身、初期に毎月赤字が続く状況に耐えるのは相当な精神力が必要でした。1件の受注で赤字、売上は遅れてしか積み上がらない。やればやるほど資金が減っていく感覚です。

だからこそ、これでいきなり起業するなら、次のいずれかを確保しておくべきです。
①向こう3年は耐え抜ける大規模な資金調達がある
②別で大きく稼げる事業がある
③私のように副業から始める

私自身、リクルートの正社員として働きながら、サブスクビジネスを副業として始めました。正社員の収入があったおかげで、生活費の心配をせずに、サブスクビジネスの赤字を借入で補填することができたんです。この「副業スタート」という形だったからこそ、ビジネスをじっくり育てることができたと思います。最初の数年は、とにかく資金繰りに耐えられるかが勝負です。

もちろん、挑戦する価値は十分にあると確信しています。ただ、最初から「大変さ」を想定してからスタートすることが重要です。資金調達や別の収益源がない状態で一気に突き進むのはリスクが大きい。でも、だからと言って挑戦しないのはもったいない。しっかりとリスクを理解し、ぜひ一歩を踏み出してほしいです。


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