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大人の事情と、子どもの幸せについて思うこと NHKドラマ ひきこもり先生を見て①
※この記事は、不登校支援サイト「ストップオーバー」に掲載された記事と同一です。
こんにちは、森岡です。
皆さんは2021年放送のNHKドラマ、『ひきこもり先生』をご存知でしょうか?
ニュースサイトやSNSなどで、話題になっていたと思います。
『ひきこもり先生』は、佐藤二朗氏が演じる上島陽平が主人公です。彼は元ひきこもりでしたが、周りの協力を受けながら社会へと復帰していく中で、不登校になってしまった高校生たちと非常勤講師として関わり、彼らが抱える問題に向き合うお話です。
全五話構成で、NHKオンデマンドや今後再放送の機会もあるので、不登校に関心を寄せる方、身近に感じる方は、ぜひご覧になってください。
ひきこもり先生が描いているもの
「ひきこもり先生」では、不登校になった子ども達だけではなく、その家族や、学校側の事情についても、各々の視点から描かれています。
学校側は不登校生徒たちを登校させようとしますが、それは教育委員会から不登校生徒数ゼロを求められたことが原因です。
校長から命令を受けたスクールソーシャルワーカーと適応指導教室(ステップルーム)の担任教師は、生徒達を登校させようと奔走します。
そんな中、人手が足りないと感じた校長は、元ひきこもりである上島陽平(以下、陽平)を非常勤講師として誘う……というのが物語の大まかな導入です。
複数の立場から物事を見る、というのは現実だと中々難しいですよね。
各々の事情が知れるというのは、このドラマの大きなポイントの一つです。
誰しも上手く対応できるわけではない
一話は、鈴木梨央が演じる、家庭環境に問題を抱えた不登校生の堀田奈々(以下、奈々)についてのお話です。
ステップルームの担任とスクールソーシャルワーカーでは、対応の仕方が異なります。
前者は家庭に赴き、直接当事者に登校を呼びかけます。
後者は、家庭環境などを中心に当事者を取り巻く状況から、解決の糸口をつかもうとします。
しかし、どちらも上手くいきませんでした。
そんな中、主人公の上島陽平は、歩道橋から飛び降り自殺しようとしていた奈々を見かけ、必死に止めます。
その後も彼はたびたび奈々と交流を持ちますが、事情を聞いたりはせずに、暖かく迎え入れました。
最終的に、奈々の心を救ったのは、彼でした。
何が良かったのでしょうか。
子どもにとって何が一番幸せか?
当事者含め、関係する人々には各々の事情があります。
これは現実でも一緒です。
親であれば、地域や周囲の目が気になり、世間体が悪いから登校を急かしてしまう、などですね。
ドラマ内では校長が健全な学校としてのアピールを目的に、不登校数ゼロを掲げる場面がありましたね。
そういった事情で、あまりにも当たり前な答えを見失ってしまうことがありませんか?
「子どもにとって、何が一番幸せなのか?」という視点です。
不登校生徒に関わるとき、一番大切で、かつ全員の目的が一致しているのが、これだと思います。
一話では、奈々の再登校に際して、ステップルームの担任とスクールソーシャルワーカーのどちらも、「どうして学校に来なくなったのか?」という問いと、それを解決することによっての再登校を目指します。
しかし、陽平のアプローチは異なりました。
彼は奈々の事情を察しても、何も言わずに迎え入れることだけをしました。
奈々に「事情を聞かないのか」と聞かれても、頷くだけ。
陽平も元ひきこもりですから、それぞれ事情があるのを知った上で、彼女が今安心して過ごせる場所を提供しようと思ったのでしょう。
彼女の母親は少々荒れていて、怒鳴られることもあり、安心できる場所が必要だったのです。
まずは子どもが元気にならなければ、話を先に進めることはできませんからね。
そういう意味で、陽平の寄り添いかたは、傷ついた奈々を元気にさせる第一歩として、非常に良いものであったと思います。
迎え入れた場面のあと、奈々は明るく振る舞うことが出来るようになっていますからね。
もちろん、寄り添うだけで全てが解決するかといえば、それは難しいと思います。
それに当事者にとって今が良かったとしても、未来永劫それでいいのかと問われれば、難しい状況も多いでしょう。
高齢になった親とひきこもりの子どもという、いわゆる「80・50問題」が社会問題化しています。
次回では、「ひきこもり先生」の内容を踏まえて、当事者と、それを取り巻く関係者たちが問題についてどう接するかについて、掘り下げていきます。
※本シリーズの第2回は、不登校サイト「ストップオーバー」のこちらに掲載しております。よろしければこちらもよろしくお願いします。
今回もお読みいただきありがとうございました。
「ストップオーバー」では他にも不登校に関する記事を順次アップしております。合わせてご訪問頂ければ幸いです。