![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/172220860/rectangle_large_type_2_e797836634511142b7b1f7f7601c6e5f.jpeg?width=1200)
公募者のキャリアを捨てた駆け引き
少子化や博士号取得者数の増加等が背景にあり、大学教員のポストを見つけることが難しく成って来ています。私が専門にするリハビリテーション学分野は、ニッチなと表現される小規模な分野でして、他の分野よりもポストを見つけることが難しく成っています。その様な背景があるにも関わらず、内定者の一部は、給与や担当授業科目等について駆け引きを行います。これを私は、"キャリアを捨てた駆け引き"と呼称し、大学院授業で紹介しています。なぜなのか、私見を述べます。
正式な着任前の状態であり、あなたの代替えはすぐに見つかる
大学では、教員公募から内定通知までの正式な過程が確立しています。教員公募が提示された頃には、どのような応募者であっても提示を変更できません。その様な状況で交渉することは、大学の制度上の規程を逸脱したり、尊重していないとみなされます。
大学は一貫性や公平性を担保する
個人の交渉によって規定、給与、業務内容、責任の範囲などがまちまちに成っては、高等教育機関としての質担保が行えなくなります。あなたの交渉に焦点を当てることより、大学つまりアカデミックの存在価値について普遍性を担保することが必要になります。 研究に例えれば、ピアレビューと言いながらも、投稿者の友人が査読を実施しているということでは、査読審査の一貫性や公平性が損なわれ、掲載雑誌の信憑性が低下し、不満を持つ読者が増えていくことでしょう。 つまり、他人のあなたよりも、大学で働く教員を大事にするということです。
過剰な権利意識は求人を失うリスクを高める
着任前から交渉を開始することは、これまでに述べた要素に気づいていない、見える能力が無い、感情指数(EQ)や社会的指数(SQ)が不足しているかもしれない、権利意識が強い、扱いにくいとみなすことがあります。 大学は、内定者がアカデミック環境で期待される協調性や柔軟性を示していないと感じた場合、オファーを取り消すことも可能です。
任期付き教員から無期限の教員への切り替え
大学は組織の文化や価値観によく合う内定者を見つけることの重要性を強調します。これまで述べたことから、内定者が大学の価値観に沿っているかどうかについて懸念を引き起こした記録が付くことは、無期限の教員への切り替えを難しいものにします。 どの様な内定者であっても、多様性は尊重されるべきでありますので、まずは、任期付き教員からキャリアを開始するポストを得ることが先決です。
長期的な関係構築を困難にする
アカデミック環境はコラボレーションと関係で成り立っています。積極的に交渉する内定者は、コラボレーションや適応の意欲が欠けていることをうっかり示してしまい、同僚との将来の交流に影響を与える可能性が高いことを人事選考委員会に示すことになります。
まとめ
大学教員のポストに就く前に交渉するのは、否定的な印象を与え、限られた交渉力の中で、非現実的な期待を示しているだけかもしれませんよという私見でした。 着任して実力が周知された段階で交渉した方が、あなたの価値について理解が得られやすいのにな・・・もったいない。という事例を経験したので、共有まで。