元リクルートの事業責任者が社員一桁のスタートアップCPOに挑戦した理由
Professional Studioを通じて、アスエネ株式会社に転職し、執行役員CPOとしてエキサイティングなご活躍をされている渡瀬丈弘さん。
今回は、渡瀬さんが大手企業からスタートアップへ転職を果たした背景、スタートアップ転職のための情報収集、大手企業の社内起業とスタートアップで働くことの違いなど、経験者にしか語れないお話をお伺いしました。スタートアップ転職にご興味のある方、ぜひ読んでみてください。
キャリアチェンジを考えた背景
---どんな経緯で転職を考えるようになったのですか。
まず前職のリクルートには「自らビジネスを作り、それを日本中に広めたい」という思いで入社しました。その思いを貫き、社内起業でSaaS事業、電力事業と2つの事業を作り、マネタイズ・組織化まで、事業責任者として貴重な体験をさせていただきました。
そして、一定の規模まで事業を広げられたとき、次のステップに進みたいという気持ちが大きくなっていったんです。方向性も明確になり、次の挑戦をするなら「次世代に価値あるもの」で「世界に挑めるプロダクト」を作りたい!と、キャリアチェンジを考えるようになりました。
---業界はどのように選ばれたのですか。
私は「経験の掛け算」で業界を見ていました。「SaaSの責任者」と「エネルギービジネスの責任者」を経験しているので、ここが掛け合わさる領域で次世代に残る世界に挑めるプロダクトはないかと。
そしてどうしたら自分が最も世の中にいい影響を与えられるかを考え、業界の実情も徹底的に調べ、絞っていきましたね。その過程でドラスティックに変化していく脱炭素・クライメートテック領域に飛び込むことを決めました。
---転職にあたってどんな情報収集をしましたか。
実はキャリアチェンジを考えてから、3年ほど徹底的に情報収集をしています。もともと、リクルートで電力の新規事業を立ち上げるときに、世の中の構造も全部調べたんです。
なので、どんなビジネスモデルで参入すべきか、兆しがあるか、ということに対し、仮説と取り組みたい事業の考えがありました。そこから、前職で事業判断という実践をしてきたので、インプットとアウトプットを繰り返しながら情報収集はしていた方だと思います。
「心から作りたいもので、大きなインパクトを」強い思いでスタートアップへ
---どんな軸を持って次の仕事を考えられていたのですか。
「自分が成し遂げたいものを作れるか」と「作ったものが世の中にどれだけ大きなインパクトを与えられるか」この二つを軸に仕事選びをしていました。
転職や起業といった選択肢がある中、どの領域でどの方法を選ぶことが最良かを考え、今の会社への転職を決めました。
---最初からスタートアップに絞って転職活動をされていたのですか。
はい!転職するならスタートアップと決めていましたね。やはりリクルートでの新規事業立ち上げは、リクルートという大きな看板があったからうまくいったのではないかと思っていまして。
その看板を背負わずに、きちんと自分の価値を発揮し、自分なりに「これは正しい」という判断をしていきたい。その挑戦が一番ワクワクしそうだと思ったので、看板がなくてもチャレンジできる場所を求めて転職活動をしていました。
---スタートアップを探す上で意識されていたことは何ですか?
いくら自分で情報収集をしても、どうしても小さなスタートアップの声はキャッチしにくい部分がありました。なので、その部分はエージェントの方から実情を聞くようにしていました。
エネルギー業界の生の声、経営者の人格、経営状況も含めキャッチアップさせていただけたのは非常にありがたかったです。
---アスエネを選んだ理由を教えていただけますか?
「成熟した大人のスタートアップ」であるということですね。30代後半から40代ってすごく熱量を持って仕事ができるタイミングだと思うんです。
ノウハウを30代で学んだ上で、泥臭いこともしながら、今から結果をだしていくベストタイミングだと。
そんなときに、同じ熱量で30代40代の青春を一緒に過ごしていけるメンバーかどうかということが鍵になると思いました。振り返ったら、「わくわくしたあの時期、とても楽しかったよね」とか言えるような、そんなメンバーを求めていましたね。
ちなみに私はバンドをやっていたんですが、バンドをやるならめちゃくちゃいけてるメンバーで組みたいじゃないですか。
アスエネの経営陣は、私と同世代でプロフェッショナルな意識と、特化した強みやこだわりを持った人たちなので、ここならめちゃくちゃいいバンドが作れそうな気がする!という思いで入社を決めました。
入社してからもここは全くズレなく、エクセレントな人たちが、知見やノウハウを持ち寄り、建設的な議論ができるところがアスエネの特徴であり魅力ですね。
熱い思いを持った仲間と青春のど真ん中を邁進中
---今はどんなお仕事をされているのですか。
CPO/開発本部長として、開発組織を統括しています。
ミッションは大きくは2つあって、1つはプロダクトの開発推進です。プロダクト戦略の立案や優先度に応じた機能の定義・仕様を整理し、エンジニアチームへ連携、リリースまでの責任を負っています。加えて、プロダクト開発に閉じない大きなテーマの意思決定をしたり、組織を超えた方針を打ち出したりする役割を担っています。
もう1つは、プロダクト開発の組織運営です。エンジニア、デザイナー、Webマーケターなども含めて、飛躍的な成長を目指すための最適な体制・運営を考え、組織体制を整備しています。全員が集中して業務に向き合えるように、取り組んでいますね。
あと、これまでのマーケティング経験を活かして、メディアビジネスもやらせてもらっています。与えられた役割に閉じずに自分が活躍できるところを探れるのは、スタートアップならではだと思います。
---入社後、働き方にどんな変化がありましたか。
組織としては大きくなっていっているのですが、自分自身はあまり変化を感じていないです。元々組織マネジメントをしていて、組織が広がるときにはこんなことが起きて、こんなふうに採用基準が変わっていくということは経験済みだったので、心構えができていたのかもしれないですね。
---入社して特によかったことは何ですか?
新しい市場を作っていく点かなと思っています。いうなれば、新規事業を作るだとか、お金をめちゃくちゃ稼ぐみたいなビジネスは、どこでもできると思います。
ただ、脱炭素というテーマは、日本全体もそうですし、世界規模で最も大きなテーマの一つであるにもかかわらず、まだ世界に浸透したイケてるプロダクトが出来上がっていません。そもそもルールも出来ていないので。
ルールがない、ファクトがない中でも最も早くお客さんに喜ばれるような機能を作り、ルールを作っていくという、大きな課題に対して立ち向かえる場所は、私はもうここしかないと思うんですね。
最も早く機能を提供し、顧客の声を持って改善して行ける。CPOとしての私からすると「課題だらけ」だということは、技術で解決する余白がまだまだあるということなので、めちゃくちゃワクワクします!産業革命と同時に生まれた環境問題を、150年後の我々が世界的なテーマで、価値あるポジションを持つ。こんな面白いことは、他のどの産業、どの会社でもできないと思うので、自分の仕事に強いやりがいを感じています。
大手企業とスタートアップでの働き方の違い
---大手企業とスタートアップでの働き方に違いはありますか。
大企業は職能や事業ドメインが定まってしまっているがゆえに、チャンスをつかみに行きにくさやリスクを取れない判断をすることがあります。
事業領域、職種、職能の線引きから、リスクへの向き合い方がどうしてもリスク回避の方向になりがちです。自分がマネジメントをしていたからこそ、より一層感じていましたね。特に脱炭素領域は、ルールを作ってスピードを大事にし、仕掛けていく必要があるので、自らの成功も失敗もすべて受け止められる戦いをできるのは、スタートアップの事業会社だけでしかできないことだと思います。
---大手での社内起業とスタートアップに飛び込むことにはどんな違いがありますか。
社内起業でも新規事業を作り、マネタイズ・組織化に責任を持ってやってきたのですが、本当に事業が選ぶべき判断を最後に選びにくい瞬間がありました。
大企業は使えるリソースも揃っているがリスクを取りづらい。一方、スタートアップは最後の最後までリスクを持ってプロダクトに責任を持てるという点で、リスク許容度が大きく違うと思います。週末になると自分の決断が正しかったのか内省するときもありますが、それも成長の糧と思っています。
行きたい!と思った今こそスタートアップへ
---最後にスタートアップへのキャリアチェンジを検討中の方へメッセージをお願いします。
成功も失敗も若いときにだからこそ受け止められる幅があると思うんです。チャレンジしたいと思うのならスタートアップに限らずチャレンジした方がいいと私は常に思っています。
ギターだって学生時代に始めるのと、40代で始めるのとでは吸収量が違うと思います。若い時にしか得られない経験や仲間は一生心に残るので。
それに、たとえ失敗しても私は漫画のワンシーンでしかないと思うんですね。そのとき分からなくても、長い目線で考えればより大きな飛躍のための失敗だったりするので。
---転職のタイミングについてはどうですか。
今、スタートアップを国が支援してくれているタイミングなので、スタートアップは以前のようなすごく危険な場所というわけではないです。なので、少しでもスタートアップに挑戦してみたいという気持ちがあるのなら、今こそスタートアップへいくべきだと思いますね。
自分にとって実りのある何かを学ぶことは絶対あると思うので、ぜひチャレンジしてみてください。
最後に
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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