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人材業界の新しいスタンダードをつくり、日本の伸びしろを最大限に引き出す

Professional Studio/Interactive dialogue:001 

代表取締役 市川龍太郎

成長産業/地方セクター向けの人材エコシステム構築を目指すProfessional Studioには様々なバックボーンを持つキャラクターが続々と集まってきています。

インタビュー企画『Interactive dialogue』ではメンバー一人ひとりにフォーカス。どんな思いで仕事に取り組んでいるのか、Professional Studioの魅力とは何かについて紹介します。

記念すべき第一回目は代表の市川さんにマイクを向けます。

・・・


学生起業を経てスタートアップへ

ー市川さんは大学生のときにすでに事業をしていたそうですが、どんな事業をされていたんですか?

実家が地方で建設系の中小企業を経営していたこともあり、長男として後継ぎになる可能性もあったことから、幼い頃から経営を少し意識はしていました。

大学在学中はいわゆるベンチャーブームだったので、自分もいずれ経営をやるなら、一度学生のうちに挑戦したいと思い、高齢者向けのパソコン教室を立ち上げましたが、まったく上手くいきませんでした。

ーいきなりの失敗…何が上手くいかなかったのでしょうか?

起業においてやってはいけないことを全部やった感じです。

例えば、固定費を考えずに物件を借りてしまったり、立地や歩行者動線などあまり考えずに物件を選んだことで、まるで集客ができなかったり。

やはり事業というものは体当たりではダメで、ビジネスモデル、要は利益をしっかり残す構造をつくれるか、そのために何を検証するか、を事前にきちんと考えて動くのが何より大事である、と学びました。


ーでも、ここでの学びが次につながるわけですよね。在学中にRettyでインターンをはじめることになります

起業の失敗で、最も大きかった要因はマーケティングの失敗に尽きます。
4P分析すらも知らなかったので、相当やばかったと思います。

そこで、マーケティングを学ぼうと、書籍やネットの記事を読み漁っていたところ、イケダハヤトさんという方のブログに辿り着き、記事の中で「Webマーケティングが上手いRettyという数名のスタートアップがインターンを探してる」と紹介されていました。

記事を見て、即応募。面接を経て、採用となり、大学卒業までの1年半働いていました。

ー最初はどんな仕事からスタートしましたか?

インターンとして入社したときは六本木の古いマンションの一室でまだ社員5名という状況でした。
まずはマーケター見習いでスタートして、最初は雑務中心で、とにかくもうなんでもやりました。

そのうち少しずつサービスの中身がわかるようになり、ディレクター業務も兼務。
人数が少ない分、自分のような学生でも優秀なエンジニア・デザイナーとすごいスピード感で施策を手掛けることができる素晴らしい環境でした。

結局そのまま、新卒1号社員(7番目の社員)として入社することになります。

ーそこから3年半で合計5年の在籍となりますね。Rettyでの学びを総括すると?

1番の学びは、強いチームをつくれれば無理そうなことも意外となんとかなる、ということです。
すごい人たちが集まると定期的にミラクルが起きるんです。

色々なミラクルが重なって、Rettyもジョイン時には月間ユーザーが数十万人程度のサービスでしたが、3年半で3,000万人に利用されるサービスに成長し、7年半で社員も7名から100名を超えるまでになりました。

そしてもう一つ、世の中に対して価値のあることをやっていれば応援してくれる人が必ず出てくる、ということ。
応援してもらいやすいビジョンや大義の旗を掲げると優秀な人たちがどんどん力を貸してくれることを実感しました。

転職活動での違和感から事業のヒントを得る

ー次の舞台はボストン・コンサルティング・グループです。それまでとはまるで正反対の環境に飛び込んだ理由をお聞かせください

もともと30歳でもう一度、経営にチャレンジしようと思ってました。

Retty入社時はまだ売上がない状況で、1人目のセールスだったので、入社式で「この会社を黒字にします!」と宣言して、会社を黒字化させようと必死に頑張りました。
自身の貢献は微々たるものではありましたが、3年半で目標としていた単月黒字化も見え、会社の成長に一定貢献できた実感もあり、次の成長機会を探し始めました。

また、経営に再度トライする上では、自身の原体験から、会社が成長しないと社会も社員も幸せにならないと感じていたので、大規模なビジネスがどう回っているのか?機能性と効率性の高い組織がどのように運営されているのか?を知りたい気持ちがありました。
20代の残りの時間で大規模なビジネスを1度経験しておいた方が良いだろう、と考えたのが転職のきっかけです。

そこで、たまたま縁のあったボストン・コンサルティング・グループにお世話になるのですが、仕事の規模感が数億円単位から数千億円規模に変化し、同時に仕事の進め方や生活そのものまでまるっきり違うものになりましたね。

ースタートアップとは何もかも違う環境ですからね

20代半ばで日本を代表する大企業の経営陣と向き合うわけですから、プレッシャーは大きかったです。
某銀行の頭取にプレゼンしたときはリアルに震えました。働き方にしても、とにかく高いクオリティを求められるので、スタートアップとはまた異なるタフネスさが求められます。

入社初期は苦労したんですが、チャレンジングな仕事とサポーティブな上司・メンバーに恵まれて、プロフェッショナリズムや、数百億円〜数千億円規模のビジネスにおける立ち回り方を一定は身につけることができました。

ーその後、30歳でコンサルを卒業することになります。キャリアの節目という以外に辞める理由はありましたか?

1年程度でコンサルの立ち回りにも慣れてきて、エンドレスで重い課題が降ってくるタイムアタックのような日々は成長痛を感じながら楽しめていました。
その一方で入社して1年半ぐらいで感じたのが、このままでは事業家としての実力はどんどん落ちていくな、ということ。

良く言われる話ですが、コンサルはハードワークで労働体力はつくし、経営に関する知識も一定は身につくのですが、エグゼキューションしません。
一方で、スタートアップや中小企業の経営はほぼ実行といえます。
この環境に長く身を置くと事業勘が鈍っていくのではないか、という危機感を覚えるようになりました。

ーそしていよいよ起業に向けて、スタートアップスタジオを手掛けるXTechにジョインすることになりますが…

自分でやるか、スタートアップで再びチャレンジするかという、2つの選択肢がありました。
とりあえず転職活動をはじめたのですが、ここで創業につながる原体験をすることになります。

転職にあたって、スタートアップに強いと言われるエージェントにはほぼ全てお会いしました。
ただ、僕のスキルセットや志向性を正しく読み取って、的確な提案してくれるエージェントが一つもなかったんです。

ーどういうことですか?スタートアップに強いエージェントのはずなのに?

シード期のスタートアップで経営に近いところでの事業開発を希望しているのに、戦略コンサル出身というだけで、すでに部署にコンサル人材が数人いるレイターフェーズの経営企画ポジションを提案されたり、あるいは年収アップのために外資IT企業ですね、といった真逆の提案をされたり。

そのとき「これが優秀な人材がスタートアップに行かない原因なんだ」と気づきました。

誰も正しくスキルを読み取れないし、志向にあった求人も提案されて来ない。
優秀な人がスタートアップに行きたくても、ここで挑戦がせき止められてしまうんだと。

ー人材紹介業のビジネスモデルにも起因しているんでしょうね。ビジネスモデルの構造上の歪みも原因がありそうです

そうですね。人材紹介のビジネスモデルは20年以上変わっていません。

転職決定時に年収の一定割合を企業から成功報酬でもらうビジネスモデルなので、大手人材会社は基本的に優秀な人材を、年収の高いところ、要は大企業や外資系企業に人を寄せていく。

つまり、日本として伸ばさないといけない成長産業、救済しないといけない地方セクターに優秀な人材が回っていかない構造になっています。

そんな人材業界の構造的な問題にあらためて気づかされ、日本の実情と合っていないと感じ、この構造を変えたいと思いました。もっと言えば、今の人材業界から見放されている、成長産業や地方セクターを人材の軸で支援したいと考えました。

成長産業/地方の人材エコシステムを創るという構想

ーまだ明確ではなかったけれど、そのようなWillを持ってXTechにジョインしたわけですね

自身で事業をやりたい気持ちはありましたが、学生時代に一人で立ち上げて失敗していますし、Rettyでの経験も踏まえ、次にやるなら強いチームで挑まないと事業を大きくできないと考えていました。

そんなタイミングでたまたま出会ったのがスタートアップスタジオのXTechです。

スタートアップスタジオのアセットを活用すれば、より事業を早く・大きく立ち上げられると感じ、スタートアップスタジオの中で事業を興すことにしました。

ーそしていよいよProfessional Studioの創業ですね。主な事業内容を説明いただけますか?

弊社は、志ある優秀人材とスタートアップ/地方中小企業を結びつける、キャリアプラットフォームを提供しています。
具体的には、スタートアップ業界向けの転職支援サービス、地方企業が都心の優秀人材を自由に活用できるスキルシェアプラットフォームの運営を行っています。

今後は、単なる転職支援に閉じることなく、HRプロダクト、キャリアコーチ、スキルトレーニング、コミュニティ運営等を通して、新たな挑戦機会を探している方とそういった人材を渇望しているベンチャー/中小企業をトータルで支援するHRプラットフォーム構築を目指しています。

ーこれまでのエージェントと異なる点はどういったところにあるのでしょうか?

大きく3つあります。

1つは、従来の点の転職支援ではなく、LTV型のキャリア支援を志向していることです。

まだ本格展開できていないものもありますが、転職の前段階のキャリアコーチ、スキルトレーニング、コミュニティ運営など、転職タイミング以外でも様々なキャリア支援サービスを行っていく予定です。

2つ目は、チーム構成の工夫によるマッチング精度の高さです。

従来の人材会社はリクルートやパーソル等の人材会社出身者(送り出す側)が大半だと思うのですが、弊社は人材紹介経験者と私のような人事経験者の混成チームであり、採用する側の目線も入れることで、精度の高いマッチングを行っています。

3つ目は、XTechグループの業界へのネットワークを活かし、業界のインサイダーとして、最新かつ深い情報を提供できることです。

サービス開始から約2年半ですが、ほぼ全てインバウンドのご相談で、600社ほどのスタートアップ企業をご支援させて頂いています。


ーこれでいける、という手応えのようなものを感じていますか?感じたのであればそれはいつのことでしょうか

このサービスでいけると思ったのは創業期です。
サービス開始直後にプレスリリースを出したところ、日経に取り上げてもらい、転職希望者やスタートアップ企業から予想を遥かに超える問い合わせがありました。

また、スタートアップCXOやVCの方々からも、このサービスを応援したいので、できることはないか?とありがたいメッセージも複数頂いて、業界からも求められているサービスだという実感しました。

ースタートアップ含めた中小企業は日本の伸びしろですものね

まず、アメリカと日本のGDPは成長産業で差がついています。

元々はどちらも製造業をベースに発展してきましたが、アメリカは国策レベルで、成長産業に優秀な人を移動させましたが、日本は人材の流動性が先進国の中でも異常に低く、成長率が低いレガシーな産業に優秀な人が滞留している構造になっています。

経産省のデータでは、日米のGDPを比較すると、アメリカの上場企業と日本のプライム上場企業の成長率は同じだそうですが、ちょうどGAFAMの分だけ差が開いているそうです。
さらに、アメリカの新規雇用の半分はスタートアップが産んでいます。

日本政府もスタートアップに5カ年計画で1兆円の投資をする方針で、人材流動性を上げていくために様々な国策レベルの仕掛けがこれから動いていきます。
その流れを弊社のキャリア支援サービスを通じて加速させたいと思っています。

また、地方の衰退も深刻です。
GDP・雇用の半分以上は地方が担っていますが、人口動態を見ると、47都道府県の中で転入超過な都道府県は7つしかなく、都心一極集中の傾向は強まる一方です。
地方経済が衰退すると、地方インフラが維持できず、さらに人口減少に拍車が掛かることになるため、地方の衰退も歯止めをかけないといけない。

そのためにも、人材業界の構造的な問題で、主に大企業や外資に滞留している優秀人材がスタートアップや地方セクターにチャレンジし続けるエコシステムをつくることに弊社は取り組んでいます。

大手人材会社がつくっている、「優秀な人は大企業/外資へ」という人材の流れを逆回転させる新しい人材エコシステムを日本に実装するのが弊社の役目だと考えています。

真っ当に誠実に良いことをやる

ー最近になってビジョンやバリューを策定されたと聞きましたが

「挑戦を、もっとなめらかに」というビジョンは約1年前に。
3つのバリューは年初に社員10人、全体人数が30人を超えたタイミングでつくりました。

バリューはメンバー全員と合宿をして作ったのですが、驚くことにみんなから出てきたキーワードがほとんど同じで、良い意味で議論にならなかったんです。

つまり、今のメンバーが向いている方向はあらかじめ揃っているということ。

このチームならいけると手応えを感じられた合宿でした。


ー自分たちでつくるとコミットメントもより深まりますよね。これから入社する人に求めるのはどんなことでしょうか?

基本的には、成長意欲の高さ、素直で良い人であること、人への丁寧さや倫理観を備えていること、チーム成果志向といった点ですね。

同時にいちばん大切なのは、その人が当社で働く理由や必然性があるかどうか。

スタートアップは前例のない挑戦を続ける分、辛い局面が多く訪れるので、ちょっとやそっとのモチベーションでは持たないです。

そんなときに、この仕事は自分がやらねば誰がやるんだ、という強い使命感や共感の深さが必要になると思っています。

ー今後、組織の風土文化はどうありたいとお考えですか?

Valueにも含めていますが、王道・真っ当・誠実に良いことをやろう、というカルチャーを大事にしています。

我々は相談者と企業の間に入る仲介者なので、職業倫理を問われる事業だと思っています。

人材業界の中には、強い目標・ノルマへのプレッシャーから、「本当なら...」という感情を飲み込んで、候補者と企業のマッチングを歪めてしまう方々もいます。

そんな業界だからこそ、個人商店化せず、チームで複眼的な意識を持ち、ロマンとそろばんの両立をすることに強くこだわって日々働いています。

ー組織に関するビジョンについてもお聞かせください

業界目線では、私は人材業界は企業にとって1番大事な支援をしているインフラに近い産業だと思っているのですが、参入障壁の低さや労働集約性の高さ故か、人気業界とは言い難く、働いている人もどこか窮屈そうにしている業界だと感じています。
弊社が、優秀人材にHR業界に興味を持ってもらうゲートウェイのような存在になりたいと思っています。

また、SDGsの潮流の1つだと思いますが、直近で優秀な方々の労働観において、自身の仕事と社会の接続の強さ、要は、自分が社会の役に立っている実感を感じながら働きたい、という人が増えていると感じます。

そして、そういう会社が支持される世の中になりつつあります。

弊社にも、上場企業の役員をはじめ、有名スタートアップのコアメンバー、大手人材会社のエース人材、大手外資コンサル出身者等のメンバーが肩書を捨てて、挑戦してくれていますが、背景にはこういう価値観の変化があると思います。

Valueに沿った行動を日々積み重ねた結果として、社会から応援され、これが令和の人材ビジネスの正しいあり方なんだと背中で見せられる会社にしたいです。

ーありがとうございます。最後にこれからのキャリア観について聞かせてください

よく言われる話ですが、これからは「個人の時代」になり、キャリアのアジリティ(選択制)が強い人が支持される世の中になると感じています。

独立する・しないはその人次第ですが、いつでも独立できる、要は好きな仕事で生きていける状態に自分を置いておくことがキャリアの勝ちパターンになります。

そのためには、T字型人材、要は1つは明確な強みがあり、ただ他のロールも一定カバーできる状態を目指すべきで、そのスキルセットはスタートアップのような1人1人の裁量が大きい場所でないと身につかないと感じています。

なので、海外はすでにそうなっていますが、今後は優秀な方ほど合理的な意思決定として、個人裁量の大きいスタートアップ/中小企業に行く割合は増えていくのだろう、と思います。

ースペシャリティと幅広い知見を兼ね備えるにはスタートアップが最適であると

大企業の終身雇用制度も崩壊に向かっており、外資系企業でも直近は不況の影響によるレイオフが大規模に行われていたりと、キャリアの正解が見えにくくなっています。

そんな時代だからこそ、「誰のために何がしたいか?」の内省が進み、今の日本として大事にすべき成長産業・地方産業に優秀な方ほど挑戦していく流れになっていく。

こういった新しい価値観を早く伝播させていくためにも、これからメンバーと人材業界に風穴を空ける挑戦を愉しんでいきたいと思っています。

ー本日はありがとうございました!

■PROFILE

市川 龍太郎 代表取締役

1989年生まれ。東京大学教養学部卒。大学在学中に起業を経験。
2014年Rettyに新卒1号社員(7番目社員)として入社し、グロースハック、メディア広告事業部の立ち上げ、採用人事(主に中途営業職/新卒)に従事。2017年9月にボストン・コンサルティング・グループに入社し、国内大手企業を対象とした事業戦略策定・営業組織改革、M&A支援などに従事。2020年4月に当社を設立し、代表取締役に就任。

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