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【無料】本音と建前

海外から日本人に対する評価で「日本人は本音を言わない」と言われがち。さも「本音と建前は、日本の風習・文化だ」と言わんばかりだが、「本音と建前」は海外にはない概念なのだろうか?

英語の慣用句に「to be honest…」という表現がある。「正直に言うと…」という意味になるのだが、この表現があると言うことは、当然建前もあるのだろうと推察する。

全世界の「本音・建前」事情を調べることはできないが、知っている限りでは「本音と建前」は日本特有の風習・文化ではない。

・中国において

中国を代表するビジネス作家:ウー・シャオポーのブログ記事「俺たちの国はいったいどうなっちまったんだ?」。架空の資産家のエピソードが書かれた記事が中国政府によって削除されてしまった。
この頃中国では、国内IT企業に対して独禁法を始めとする多くの規制・審査が導入された時期であった。
こういった動きに市場も敏感に反応した結果、某国内企業の時価総額はピーク時より約70%下落した。
本音どうこうというより、建前すらも通用しないのではと心配になる。

こうなると、「ある北の国」で許されるのは、「笑顔」だけではないだろうか?

・ロシアにおいて

あるロシア人記者が謎の死を遂げた。独自に北方領土問題の調査・取材している中で多くの矛盾に気づき、「ロシアは日本に北方領土を返還すべきだ」と執筆していた最中の出来事だったという。

ロシアの有名なアニメ「チェブラーシュカ」は、当時の旧ソ連体制を批判する為に描かれたとされている。当初絵本作品として出版したのは、検閲を受けた時に「架空の人物である」と言い逃れる為だった。
チェブラーシュカとは「ばったり倒れ屋さん」という意味で、生き物の名前ではない。その正体は不明である。

私は独学でロシア語を勉強していた時期があり、同時に風習・文化にも触れていた。「おじさん同士がキスしている」ポスターを見た時は衝撃的だった。調べてみると、その正体は旧ソ連ブレジネフ書記長だった。彼は国内外問わず、公の場でお偉いさんとキスをしていて、それらの写真が数多く残っている。
左右の頬に1度ずつキスをして、最後は口にすることから「トリプルブレジネフ」とも云われている。
ブレジネフにとっては同志(タヴァーリシ)ともいえる当時のKGB議長は公には歓迎していたものの、彼の死後、自分の部下には「辟易した」と本音を打ち明けていた。
国内の人間ですら快く思わないのだから、無論各国それぞれ対策を考えるようになった。キューバのカストロ議長は空港に到着した時点で葉巻を口にくわえることに。ルーマニアの指導者チャウチェスクはバクテリア恐怖症と伝えキスを回避した。

・日本において

「大正デモクラシー」という言葉を知らない人にしてみたら、単なる映画・小説・アニメのタイトルにも感じるかもしれない。
大正時代、民主主義的な思想・運動が国内で盛んになった。当時〈天皇制絶対主義〉の日本で民主主義という単語を口には出せなかった(書くこともできなかった)。そこで民主主義を意味する〈デモクラシー〉と表現することで、今日の民主主義を目指した。
「大正デモクラシー」には「大正民主主義」と決して口にできなかった・表記することもできなかった、そんな当時のシビヤな時代背景が反映されている。

大正時代、その前の明治時代もそうだが人々に言論の自由はなかった。口に出して国や政治家を批判すれば逮捕された。
ある時、バイオリンを弾きながら歌う者が現れた。その内容は紛れもない批判そのものであったが、逮捕されることはなかった。何故なら、それは「歌詞」として見なされたからだ。
これが、「バイオリン演歌」の始まりであった。

最後までご覧頂きありがとうございました。

個人的には「本音と建前」は、そのバランスが重要だと思います。はっきりと言わなければならない場面においては「本音」で伝えるべきです。八方美人になることは、一見無難な手段にも思えますが、信用されなくなります。それは国内外問わず共通していると思います。

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