【プリズンライターズ】刑務官による暴力
名古屋刑務所事件に端を発して設置された、法務大臣に対する諮問機関「行刑改革会議」が2013年12月に取りまとめた提言においては「受刑者の人間性を尊重し、真の改善更生及び社会復帰を図る」
「再犯に至ることなく健全な状態で社会復帰を遂げるよう矯正の実を上げることが望まれる」
「受刑者が、単に刑務所に戻りたくないという思いから罪を犯すことを思いとどまるのではなく、人間としての誇りや自信を取り戻し、自発的、自律的に改善更生及び社会復帰の意欲を持つことが大切であり」
「これまでの受刑者処遇において、受刑者を管理の対象としてのみとらえ、受刑者の人間性を軽視した処遇がなされてきたことがなかったかを常に省みながら、現在の受刑者の在り方を根底から見直していくことが必要」
であるとし、それが「最終的には国民全体の利益となる」などと述べていた。
真冬に裸の尻に直腸が裂けるほどの高圧ホースでの放水を受け尊い命が奪われた。
守ってもらうはずの刑務官から殺害された方に、憐憫の情を禁じ得ない。
この凄惨な事件を契機に、監獄法(以下「旧法」という)が改正され、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律(以下「新法」又は「法」という)、同規則(「規則」という)が、2005年5月25日制定され、2006年5月24日施行された。
けれども、新法に移行しても、旧態依然とした戒護検束に名を借りた刑務官による暴力、虐待は後を断たなかった。
徳島刑務所では、医師の治療と称した虐待に堪えられず、追い詰められた末に自殺に至る事件などが発端となり、暴動に発展した。
そして名古屋刑務所で(2022年1/9法務省は)刑務官ら22人が受刑者3名に対し、およそ1年前から顔や手をたたいたり、アルコールスプレーを顔に噴射するなどの暴行を繰り返したことを明らかにした。
熊本刑務所でも、それ以上の虐待等が、連線と繰り返され、苛めや虐待という凶行が恒常化していた。
法務省は同種の事案が他の施設でも起きていないか、〝調査〟すると豪語していたが、少なくとも当局においては、何らの調査もなされなかった。
名古屋刑務所での殺人事件を契機に、旧法から新法に変わっても、何らの教訓にもなっていなかったことになる。
名古屋刑務所職員による受刑者への暴行が繰り返されていたという、まさにその時期に一人の受刑者が死亡(殺害)されている事実が判明した。
2022年3/1、7:51名刑病棟にて死亡。
遺族がひきとった遺体は、手首に強く締め付けられて肉がめり込んだ痣痕。
腰、両足の腿とふくらはぎ部分にも同じように締め付けられたような痕がある、ところどころ出血しているなど、暴行を受けたのではないかと疑われるような状態であった。
名古屋刑務所の医師が書いた死亡診断書は「直接死因:多臓器不全、その原因:心筋梗塞」と記載されていた。
A(死亡受刑者)の遺族であるBが愛知県警に電話をかけて依頼し、3/3の通夜が終わった後、豊田警察署の警察官2名が葬儀場に遺体を取りに来て、司法解剖を行うこととなった。
司法解剖は3/3の夜か3/4の午前に行われ、3/4、13時からの告別式に間に合った。
司法解剖の結果は、遺族に開示されていない。
その後、被疑者不詳の殺人事件として検察に事件送致されたが、名古屋地検岡崎支部は2022年5/30不起訴処分とした。
どのような捜査がなされたかは全く遺族に説明されていない。
なお、名古屋刑務所は2022年3/1、A男性受刑者の死亡を記者発表しておらず、A男性受刑者の遺族が監獄人権センター代表の海渡雄一弁護士に相談した事で広く知られることとなった。
現在(4/5)、遺族は国に3800万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。
遺族代理人は監獄人権センターの海渡雄一氏、小広竹子氏、大野鉄平氏である。
名刑職員によるAさん殺害の真相が今後明らかになるであろう。
監獄人権センターは福島みずほ参議院議員から過去10年に名刑で死亡した受刑者の死亡原因の一覧を矯正局より入手した。
するとそこには、多くの受刑者が「急性心不全」により死亡するなど、いくつも不自然な死亡原因が記録されていた。
刑務所において人権が守られない結果となれば、それは社会において人権が軽視されることにつながってゆく。
人権の軽視は目に見えない形で進行し、結果として現れる時には大きなものとなる。
人権の軽視は、注意しなければ起こりがちなことであり、社会の根幹に関わる問題である。
問題が表に出ないようにすれば、必ず内向し、更に深く、大きな問題を生み出す、そうなってしまってからでは手の下しようがない。
自分であれ、他人であれ、何らかの基本的人権が侵害された時、看過せずに、弁護士会(弁護士など有識者を含む)などに侵害事実を勇気をもって通報することが、被害にあった又は知った人々の義務である。
そうでなければ、同種の凶行が繰り返されることになる。同種の凶行に歯止めをかけるために。
もし、その凶行を知り、沈黙するのなら、例え悪意がなくとも、加害者側の立場に立って、傍観するということで、犯罪に加担した者と一緒になる。
法第56条は社会水準の医療を義務付けているが、精神科の診察を求めても2か月から3か月もかかるのが現状だ。
昨年の11月以降、胸・腰椎・膝の痛みが悪化し、再三診察及び廻診でXPやMRIの検査を求めても(血液検査を含む)経過観察と称して、放置されている。
又、私の診察には何故か処遇幹部職員などが必ず立会(以前はビデオ撮影していた)するありさまだ。
「令和2年(ワ)第434号国家賠償請求事件」の判決が5/10あり、1ないし17のうち2件は勝訴した。
私の就業工場だけでも、私が職員らの捏造で懲罰を科されたことを知っている者が約8名いるが、2名は残念ながら「証人にはなれません。申し訳ありません。」と言われた。
正しいこと、間違っていることを堂々と主張できない者に果たして更生ができるのだろうか。
甚だ疑問である…。最後に拙い歌と句を少々
俳句:期す心 いささかありて 初日の出
初日の出 感謝の気持ち 湧き出る
悲しみも 養父と歩めば 春の風
短歌:吾子も今夜空見上げているやもと思えば月も星も愛しく
愛情があれば自ずと人の世は優しい世界がスキップ始める
雨降れば歩む道にも虹かかる七色の空七色の夢
這うことも歩むこともなく逝きし子の年を数えていつか眠りぬ
永久の愛紡ぐ畏友とのその絆幾星霜を経ても変わらず
義父の恩永久にこの胸占拠せりこころに刻み強く生きなん
母からの文が届けばたちまちに輝き増して時流れ出す
義父思う心に勝る義父の愛未来永劫この胸にあり
倖せに生る木の種がもしあれば私はそれを世界へ蒔きたい
愛し子の夢を見むかと年の瀬に写し絵胸にそっと抱きしむ
プーチンを糾弾せしむ我が友は我を見殺し枯木にしおり
冤罪を知りし囚人らは貝となる正義の声音闇に消えゆく
2023年6月4日 だっくん
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