ポーラ美術館「部屋のみる夢」展をわかりやすくポイントを解説!!
こんにちは。
先日のGW前半に、箱根にある「ポーラ美術館」の企画展「部屋のみる夢〜ボナールからティルマンス、現代の作家まで」を観てきました。
まず、「ポーラ美術館」は「自然とアートの共生」というコンセプトを掲げた、箱根仙石原の森の中にとけこむように建てられた美術館です。私のお気に入りの美術館でもあり、今までに何度も足を運んでいます。美術館所蔵としては、印象派や現代アートのコレクションが比較的多い気がします。
沿革としては、ポーラというくらいですから、あの化粧品の「株式会社ポーラ」創業2代目の鈴木常司さんという方が数十年にわたって収集した9500点の美術品を展示するため、2002年9月に開館した美術館です。現在の所蔵品数は11,000点だそうです。すごいですね。
また、こちらの美術館は「自然とアートの共生」ということもあり、美術館のまわりに素敵な「森の遊歩道」が整備されており、ワンコなどを散歩することができるのでそれも私が足を運んでいる理由の一つになります。
それでは、現在、1月28日から7月2日まで開催している企画展『部屋のみる夢〜ボナールからティルマンス、現代の作家まで』について、実際に美術館で観た順番にわかりやすく解説していきましょう。
1. 企画展概要
おりしもここ数年、コロナ禍で我々はステイホームとして「部屋」で過ごす時間が長かったかと思います。そんな「部屋」に焦点を当てた美術展です。
「本展覧会では、19世紀から現代に至るまでの、部屋にまつわる表現に特徴のある作家を取り上げ、この小さな世界の中で織りなされる親密な記憶や夢想のありようを改めて見つめ直します。」(展覧会説明より)
2. アンリ・マティス
まず、入口を入ると最初に見えてくるのがフランスを代表する印象派画家「アンリ・マティス」の作品です。マティスの描く室内画には、多くの場合、女性のモデルが登場します。
「中国の花瓶」「紫のハーモニー」「窓辺の婦人」「襟巻の女」「室内:二人の音楽家」「リュート」を見ることができます。マティスの色鮮やかな絵は我々現代人の感性によく合いますね。
3. ベルト・モリゾ
次に出てくるのが、マティスと同じパリの女性画家「ベルト・モリゾ」です。当時、女性は容易に外出することができなかったとそうです。そんな社会の中で女性画家である「ベルト・モリゾ」はバルコニーなどを描くことにより、明るい色彩での室内画を完成させていきました。
「バルコニーの女と子ども」「テラスにて」「ベランダにて」はそんな彼女の外と中の中間空間を描いたものです。
4. エドゥアール・ヴュイヤール
その先にある室内画は同じフランスの画家「エドゥアール・ヴュイヤール」のコーナーとなります。「エドゥアール・ヴュイヤール」は長年、母と二人で暮らしたそうです。そんな母をミューズとしながら「家にいる人々」を描き続けました。
「窓辺の女」「書斎にて」「服を脱ぐモデル、マルゼルブ大通り」「画家のアトリエ」が展示されています。
5. ピエール・ボナール
その先に現れるものが、今回の展覧会のテーマになっている同じくフランスの画家「ピエール・ボナール」の作品群です。ボナールは、モデルがポーズをとることを好まず、親しい友人や妹とその子供たち、そして猫や犬とともに過ごす室内や庭での絵を描きました。
「花」、「静物、開いた窓、トルーヴィル」「子供と猫」「白い服の少女」を見ることができます。
また、ボナールの妻マルトも、病気がちであまり社交的でなかったため、ボナールと二人きりでの暮らしを好んだそうです。
そんな妻のことを描いたとされる絵が裸婦シリーズの「浴室の裸婦」、「浴槽、ブルーのハーモニー」、「かがみこむ裸婦」となります。
そして妻の転地療養も兼ねて、パリの喧騒を離れ、ジヴェルニー近郊や、その後、カンヌに近いル・カネに別荘を購入して移り住んだそうです。そんな別荘での生活も素敵な絵にしてくれています。
「山羊と遊ぶ子供たち」「りんごつみ」「地中海の庭」「ミモザのある階段」など、幸せそうな絵を見ることができます。
6. 佐藤翠・守山雄一郎
さて、ボナールのとなりに日本人画家「佐藤翠」と「守山雄一郎」の色鮮やかな作品が展示されています。お二人が住んでいる高台に立つ家は、1階にアトリエと小庭、2階に見晴らしの良く空を見渡すことができる窓がある部屋だそうです。そんな素敵な部屋を描いたお二人の作品が展示されています。
「Floating Violas Closet」(佐藤翠)「Anemones by the Window」(佐藤翠)
「Light Blue Corner」(佐藤翠)「Pale Pink Corner」(佐藤翠)
「Roses at Night」(守山雄一郎)「Shadow on Rug」(守山雄一郎)
「Sunset on Pansies」(守山雄一郎)
「Rose Garden Closet」(佐藤翠)「Cosmos」(守山雄一郎)
そして、ひときわ大きな作品がお二人の共作である「Rose Room」です。光と色彩が美しい非常に素敵なお部屋の絵です。
7. ヴィルヘルム・ハマスホイ
さて、次に見れるのは、デンマークの画家「ヴィルヘルム・ハマスホイ」の作品です。「ヴィルヘルム・ハマスホイ」は全作品370点の1/3が室内画なんです。そして、その室内画の舞台はコペンハーゲン旧市街のクレスチャンスハウン地区の彼の住居だそうです。そんな中から「陽光の中で読書する女性、ストランゲーゼ30番地」「ピアノを弾く妻イーダのいる室内」の2点が展示されています。後ろ向きの人物、白い壁とドアが不思議な空気をかもしだす秀悦な作品です。
8. 高田安規子・政子
そして、このフロア最後の作品は、大きな壁一面に展開された「高田安規子・政子」の大きな作品です。壁一面のドアノブと窓は見るものを圧倒させると同時に永遠を感じるような空間の広がりを感じさせてくれます。一方の壁には「Open/Closed」が作られており、向いの壁一面は「Inside-out/Outside-in」はたくさんの小窓ですが、後ろに美術館外の緑が写り、とても美しいですよ。
9. ヴォルフガング・ティルマンス
そして、フロアを変えた第2会場に展示されていたのが、こちらもテーマに名前が入っているドイツの写真家、現代美術家「ヴォルフガング・ティルマンス」の作品群です。
「ヴォルフガング・ティルマンス」の写真作品は光の使い方がすごいですね。「静物、ボーンエステート」「14番街」「窓/カラヴァッジョ」「スカイブルー」「あふれる光」シリーズ「デューラー通り」「草」の作品が展示されています。
10.草間彌生
そして、最後はおなじみ、日本を代表する現代美術家「草間彌生」の作品です。その中で、今回は部屋に関係のありそうな、おなじみのドットを使った「南瓜」「コーヒーカップ」、そして立体的で部屋に置けそうな「蝶」「ベッド、水玉強迫」の作品が展示され存在感を放っています。
以上が「部屋のみる夢〜ボナールからティルマンス、現代の作家まで」のご紹介となります。
7月2日までですので、是非、休日でも足を運んでみたらいかがでしょうか。
これ以外にも常設展もあります。美術館の外、森の散策路沿いにも常設の野外美術が展示されています。また美術館に入っているレストラン「アレイ」も素敵な空間でおすすめです。特にテラスがとても気持ち良いですよ。
それでは。