「足の長いクラゲ」-エッセイ-
突然ですが、私はクラゲが好きです。
何というかフォルムとか、透明感とか、柔らかさとか、泳いでるんだか漂ってるんだか分からない感じが。
クラゲ展とかやってたら観に行くし、なんなら家でも飼いたいけど流石に世話出来る気がしなくて、リアルな人工クラゲをひたすら求めていた時もありました。(リアル感というか理想の動きをしてくれるものがなくて断念しましたが)。
めちゃくちゃクラゲ好きなのに、一向に名前とか種類は覚えられないんです。
……なので、なんていうクラゲなのか分からないですが。
ある時。
足の長ーーーいクラゲを水族館で見かけまして。
「こんなに足が長いのもいるんだぁ」と、じっと眺めてたんですが。
よく見ると・・・
足がね、こんがらがっていたんです。
そりゃ、あんなに長くてプカプカ漂ってたら、絡まることもあるのかもしれません。
「この子、自力でほどけるのかな?」
「それとも、飼育員さんがほどくのかな?」
って考えてたら、もう気になってその場から動けなくて。
もし、誰かがほどくとして……絡まったネックレスのチェーン並みに難しそうじゃないですか?
強く引っ張るとちぎれそうだし……。
観てみたいな、ほどけるとこ。
でも、海の中だと誰かが助けるわけでもないし。
やっぱり自力で何とかするのかもしれない。
あれこれ思いつつ、気になって小一時間見守ってたところ。
足の絡まったクラゲは、水槽の水流に押し流されるように端に移動していき……そのまま別のクラゲと更にこんがらがってました。
「ああ、これはだめだな」と何ともやるせない気持ちで帰りました。
後日。
図鑑だか本だかで調べたら、自力でそのうち解けるよと書いてあって、少しホッとしたものです。
でも、今もたまに。
あの2匹は無事にほどけたのかなぁと、思い出してしまうんですよね。
自然界ではあまりあり得ない状況だと思うから。
クラゲに感情があるのかどうかは分からないけど、二人三脚みたいに絡まったまま2匹で生きてたら、それはそれで面白いな。
時々はケンカなんかもして。
……と、果てしなく取り止めのない想像をさせてくれるので。
やっぱり私はクラゲが好きです。
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