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【ライターの仕事】コミュ障でもインタビューできるコツ


ライターの本質はしゃべることではないと信じている

私は人と話すのが苦手という特徴から本と対話を始め、文章を書くのが楽しくて、続けているうちにそれが仕事になった系の人間です。

世に出たばかりの頃は「あまりのできない子ぶり」に毎日しんどかった。当初はクライアントの広告原稿を制作する仕事をしていたので、20歳くらい年上の営業マンから、
「話を聞いたらその都度『はい』と返事して。聞いているのかどうか不安」
「相手から指示を得たら確実にそれを遂行して」
など、人として生きていく上での基本を毎日丁寧に叩き込まれました。本当にありがとうと言いたい(今も営業さんが元気かなって思い出します)。

「できない子」精神のままずーっと編集やライティングの仕事を続け、自己肯定感ってなんだろうという底辺から始まっているのですが。

ふと、20年以上も同じような業務を続けていると、褒めてもらえる瞬間もたまにあります。

え?

すごい?

何が?

どこが?

ということで、本当にコミュ障のライターがインタビューを乗り切る術を考えてみたいと思います。

趣味の一つはマルシェ巡り。買ったら写真を撮ります

①とりあえず相槌を打ちまくる

「確実に返事をしろ」と叩き込まれた人生のスタートラインから始まった、「なんでもいいから相手の一挙手一投足に反応を見せる」ことがインタビューの基本かもしれません。対象人物が何かを発語するたびに相槌を打つ、うなずく、メモをしている動作を見せて聞いてるよ感を出す。

これ。おそらく逆の立場になるとわかると思うのです。

マンツーマンで向かい合って、話し相手から「あなたのことを教えて欲しい」と言われ、相手から質問されて。何かちょっと発言するたび「そうなんですか」「へえ」「すごいですね」「わかります」「知りませんでした、それはどうしてですか?」なんて反応されちゃう時の心理を想像してみてください。

めっちゃ、しゃべるの楽しい!

となるような気がします(想像です)。人生において、自分の話を面白そうに、しかも一方的に聞いてもらえる場面はそうそうありません。精神的に辛い時にカウンセラーさんに話を聞いてもらうなど、「話を聞いてくれる人」の時間を確保してやっと叶う程度。

インタビューされるのって実は楽しいんじゃないか? 自分の話をうんうんって聞いてもらえることほど気持ちいいことはないんじゃないか?

と、最近は想像しています。そのため、インタビュアーは極力自分の意見を挟まず反応しまくることが重要ではないかと。

ちなみに、実務の場面で私が褒められるポイントは、「客観的にすごいと感じられる部分がほとんどなくてどう褒めていいかわからない」状況でも、「すっきりしていて綺麗ですね」とか「いつもこの状態ですか、さすがですね」とか何か適当な理由づけをして褒めまくる所です。

「とりあえず褒めろ」

これも鉄則です。メモ。

取材ノートはひたすらRollbahnです。書きやすいし見た目もかわいい

②質問はなんでもいい。多角的に責めて相手を丸裸にしていく

話を順序立てて聞いていくことも超苦手です。

なぜなら私は常に緊張していて、あわあわしていて、相手を怒らせたらどうしようとか、シーンとしたらどうしようとか、精神的に挙動不審だからです。

常に「何を聞けばいいかわからない」状況からスタートするインタビュー。

なので、どんな質問からでも入れるように、「相手の情報をとりあえず調べられるだけ調べていく」ことを鉄則にしています。

まず質問に入る前に、このインタビューの目的、結果的にどういう原稿をつくりたいのかを相手に説明します。その辺はライターとして与えられた任務の企画書に書いてあるので、私情を挟まずに伝えられますね(丸投げ感)。そうすると、なんとなく相手も「何を話せばいいのか」をイメージしてくれるはず。多分。多分です。

で、私は事前に「相手の持つ事実、世に公表している情報」を調べていくので、その事実を口からポソっと述べていく。順番は会話の流れ、場の雰囲気、今置かれている状況から変わります。

「この建物は江戸時代のものだと書かれていますが、築何年くらいですか」とか。
「お庭がとても素敵ですが、これはどなたが手入れをされているんですか」とか。
なんかもう、目に入ってきた情報をそのまま口に出すこともあります。それに反応してもらえたら成功。

徐々に話を深めて情報を深掘りしようとか、前提の部分から聞こうとか、あらかじめ考えてきた質問リストを上から聞こうとか、そういうのが皆無です。すいません。

インタビューは「相手が持つ情報、思考をあらゆる方法を使って探り出す」ことが目的だと思っていて。その情報に順番を付加して、ストーリー立てて原稿にすることはその後のライターの仕事であり、インタビュー自体に順序立ては必要ないとどこかで思っているのかもしれません。

こちらの質問に相手が気持ちよく答えてくれる「場」さえできあがれば、どの角度から質問しても答えが返ってくるように感じています。「あなたは何者ですか?」「あなたがつくったこれは、なんですか?」を聞き出すために、いろんな矢を投げて、打ち返してもらって、輪郭を作っていく作業の繰り返しをしているような。

仕事仲間とお出かけすることも。愛知県常滑市のお散歩風景

③これが通用しない時もありますよね

しかし。うまくいかない時もあります。

例えば、大企業が相手になって、間に代理店とか挟まってくるとき。「事前に質疑書を送って」というオーダーがきます。

そして、その質疑書をベースに会話が進んでいく。

そんな時、私の緊張はクライマックスです。目についたものをポンと言いづらいし、オンラインミーティングだと尚更相手の状況がわからないし、偉い人たちがいっぱいで会話に混ざりにくいし。

この場合は「質疑書の通りに進んでいく。一つひとつの議題に解決策を見出して、それを出席者に認知してもらう」ことが目的なんだなと最近理解して、余談とか、脱線とか、本当はインタビューで一番面白い部分を削ぎ落として耐えるような方法論を取っていますが。

本当は何が正しいの。

もっと心の奥底が見たいのに。

ですます系の語尾から、丁寧な言葉が消えて、本音が出てきてからのポロッとこぼす真実が知りたいのにな。

と、思いますが。どうなのでしょう。もっと経験を積むしかない。

特に意味はない

④結局は一人ひとりの方法論を探っていくしかない

だらだらと考えましたが、これは私が探りながらやってきたことであって、人様のインタビュー風景を見ると全く違うなと思います。
事前にちゃんと質問リストを作ってきて、大前提としてそれをベースに聞いていく人もいるし。
喋ってほしい答えに向かって誘導するように、うまく話を進める人もいる。

同業者と同じ現場で同時にインタビューすることはほぼないので、レアなケースで人のヒアリングを見させていただくと勉強になります。本当に全員、顔と形と声と喋り方が違うように、インタビューの方法も異なるのです。間合いが違う。選ぶ言葉も違う。だから私は私のやり方でいい。

ただ、常に、緊張が消えず、あわあわする心を隠しながら挑むのがコミュ障ライターの性。自分にハラハラすることなく話をしたいけれど。ただ、私はずっとこのままかもしれないな、とも思います。

心配性は事前準備の原動力でもありますし。

私は私のまま、自分の方法論を磨いていくしかないのかもしれません。

これは掛川市の「したたむ」さんへ行った時の写真

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地方の出版社を経てフリーの編集ライターとして活動しています。
○地方でライターの仕事を続けるには?
○単価アップを叶えるには?
○そもそもライターってどんな仕事?
○編集の視点とライターの視点の違い
などについて、自分なりの解釈をしていきたいと思っています。



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ライター和田知子:CLANG CLANG クランクラン
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