PHaT PHOTO SCHOOL (感性を磨く、写真教室)

PHaTPHOTO写真教室 は2001年から約7,000人以上の卒業生を輩出する 写真教室 です。 カメラ の使い方だけでなく機能の意味を知り、写真に活かす方法と 感性を磨くためのカリキュラム をご用意💪 モデル撮影会やお散歩撮影会などワークショップもやっています📸

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PHaTPHOTO写真教室 は2001年から約7,000人以上の卒業生を輩出する 写真教室 です。 カメラ の使い方だけでなく機能の意味を知り、写真に活かす方法と 感性を磨くためのカリキュラム をご用意💪 モデル撮影会やお散歩撮影会などワークショップもやっています📸

マガジン

  • タカザワケンジ 文章講座 写真集レビュー Ⅱ

    写真評論家・タカザワケンジさんが講師を務める、「写真集レビューの文章講座」を、PHaT PHOTO SCHOOLにて開催。受講生6名による、写真集レビューのマガジンです。

  • 写真集レビュー by タカザワケンジ文章講座 受講生

    写真評論家・タカザワケンジさんが講師を務める「PHaT PHOTO」の「文章講座」受講生による、写真集レビューのマガジンです。

最近の記事

漂着物たちの最後のポートレート

 表紙を見た時、初めに、壊れた地球儀とその上に落ちた人物の影の関係が気になった。地球儀は、紙がペロンとむけていて、地の黒い球体が一部見える。人類によって地球が壊れかけているという暗示だろうか。この地球儀はどこから流れてきたのか。持ち主に捨てられたのか、災害によって流されてきたものなのか。『忘却の海』というタイトルと相まっていろいろ想像が広がって、思わず手に取っていた。  内倉真一郎は宮崎在住。地元の海辺で、漂着物や不法投棄物、死骸等いわゆるゴミと向き合う。軍手をはめて、火ば

    • 『次の世代へ心を伝えるために』

      海に惹かれて手に取った。遠い記憶の中にある海によく似ている。複雑に入り組んだ岸壁は、おそらくリアス式海岸であろう。これは私の叔母が住む東北岩手の海なのか。タイトルが目につかず、本を裏返すと真っ白だった。あらためてタイトルを探すと、右上に小さく作者の名前と『断崖に響く』とあった。 本作の舞台となっている田野畑村は岩手県の東方一帯にある。北上山系のなだらかな起状が急激にその傾斜を変え、深い谷になって太平洋に落ちるところ。その200mもの断崖は、険しさと美しさで人々を魅了し続けて

      • 「給水塔の在る風景」

         給水塔 ― 給水システムに充分な水圧を与えるために設けられた巨大なタンクのこと。団地や工場など、一定の区域に安定した水圧と水量で水を送るための施設である。 ―   あれって、給水塔だったのか。ふと、手が止まる。 この中の1つがごく見慣れたものだと知った時、今までそれを気にも留めていなかったことを自覚する。 あんなに大きいのに、存在感抜群なのに。 あれが何なのか?ということを、全く気にせず生活していた。   掲載されている給水塔は、役割や目的が同じであるにも関わらず、その見た

        • 破れたTシャツ、タトゥー、ピアス、怪我、パンクロック。彼女たちは一体誰なのだろう

          本書の装丁は、可愛らしいピンク色の布張りだ。一見幼さを感じるような色味だが、手にとってみるとしっかりとした重みと、頑丈なアルバムのように製本されたハードカバーの厚みを感じる。表紙には、モノクロで撮影された1枚のポートレートが配されており、ある女性の顔がクローズアップされている。タイトル「What She Said」の文字以外、その女性に関する手がかりは見当たらない。女性の髪型は、毛先まで細かくかかったソバージュで、そのファッションがおそらく現代ではなく、ひと昔前に撮影されたも

        マガジン

        • タカザワケンジ 文章講座 写真集レビュー Ⅱ
          6本
        • 写真集レビュー by タカザワケンジ文章講座 受講生
          6本

        記事

          動画と共に見ることでより深く「読む」ことができる写真集

          「自分の生きている国のことを何も知らない」  東日本大震災を境に公文健太郎は活動の主体を国外から国内に移し「人の営みが作る風 景」をテーマに作品を制作している。  これまで農業と人をテーマとした「耕す人」、川と人の「暦川」につづき、「光の地形」 は半島とそこで暮らす人、そして人の営みが作り出す風景に着目した写真集である。  半島をテーマにしようとした理由について、公文健太郎はこう答えていた。 「光の地形」は北海道から鹿児島までの8つの半島を自分自身の足で歩き、そこに暮らす

          動画と共に見ることでより深く「読む」ことができる写真集

          見えない距離。叔父の姿を探す調査行

          地方の集落や住宅の白黒写真が続く。時に鉄道やバスのイメージも挟まる。日本の町から町へと旅している感覚に囚われる。そしてそこには人がほとんどいない。無色の世界をあてどなく移動していくような感がある。 『Looking for my Japanese family』は、ジュリー=マリー・ドゥロが母から知らされたある事実がきっかけとなっている。生前一度も会うことがなかった祖父に、行方不明の息子がいるというのである。ドゥロにとっては叔父にあたる人物だ。 ドゥロは年齢、住所だけでな

          見えない距離。叔父の姿を探す調査行

          他者のまなざし 幽玄一人旅団 清水大輔『異世界に一番近い場所 ーファンタジー系ゲーム・アニメ・ラノベのような現実の景色ー』 

          文・写真 大和田伸  本写真集(タイトル:「異世界に一番近い場所」)は、写真家・清水大輔が世界中を旅しながらゲームの舞台となるような場所を探して撮影した5つの”imaginary place”(「古代遺跡」、「地下神殿」、「迷宮」、「夜市」、「古都の白日夢」、「英吉利幻想」)の景観写真から構成されている。そして、「ファンタジー系ゲーム・アニメ・ラノベのような現実の景色」というサブタイトルが添えられている。  清水は、自身がネットゲームに没入したことで、ゲームの舞台にふさわ

          他者のまなざし 幽玄一人旅団 清水大輔『異世界に一番近い場所 ーファンタジー系ゲーム・アニメ・ラノベのような現実の景色ー』 

          不穏に落ち着く ジョン・ゴセージ『THE ROMANCE INDUSTRY Venezia / Marghera 1998』

          文・写真 岡崎宗志    第一印象は立派なのに地味な写真集だな、だった。タイトルも少し矛盾した感じ。腰を据えて読み直すとイタリアの環境問題への言及が軸となるシリアスな作品なのに、なぜか気持ちが落ち着いた。  ジョン・ゴセージ(1946〜)はこれまでに20以上の写真集を制作している。彼自身も写真集の蒐集家で、自ら出版社を立ち上げ作品を世に出している。現在も制作を続けており、2019年から継続して出版中の新作も、自身でブックデザインを手がけるなど写真集への拘りは強い。本作のデザ

          不穏に落ち着く ジョン・ゴセージ『THE ROMANCE INDUSTRY Venezia / Marghera 1998』

          誰もが加害者、被害者予備軍となりうる異常社会への警鐘

          文・写真 小林真佐子 これは写真集なのだろうか、物語なのだろうか。現実なのだろうか、虚構なのだろうか。 『Hijack Geni』は、徹底的なリサーチによる裏付けのもと構成された写真と文章によるフィクションである。断片的な大量のナラティブは、報道や書籍以上に、特殊詐欺という犯罪の真相を抉り出しているように思えた。他人事ではない。本当に日本は安全な社会なのだろうかと寒気を感じた。 612ページ、重さ2kg。その外観はイエローページをイメージしている。特殊詐欺のターゲット名

          誰もが加害者、被害者予備軍となりうる異常社会への警鐘

          重なる才能 デュアン・マイケルズ『A Visit with Rene Magritte』

          文・写真 assy デュアン・マイケルズ(1932-)が近代シュルレアリスムを代表する画家、ルネ・マグリットのベルギーにある自宅を舞台に、マグリットやその家族を撮り下ろした記録を一冊にまとめた写真集。 アメリカ出身の写真家デュアン・マイケルズは、雑誌「エスクァイア」「マドモアゼル」などの商業写真のほか、1966 年にジョージイーストマンミュージアムで開催され、その後の写真家達にも影響を残した写真展『コンテンポラリー・フォトグラファーズ:社会的風景に向かって』にゲイリー・ウ

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          永遠に楽しめるパズル 鈴木清『夢の走り S STREET SHUFFLE』

          文 Toshi   「あの写真集は、言葉にできないでしょう」 「他の写真集にしてはどうか」 私が「鈴木清の『夢の走り』について文章を書く」と話したとき、複数の知人から言われた。しかし、他の写真集について書く気持ちにはならなかった。以前に『夢の走り』を目にして、昔のものとは思えない、今見ても格好良い、という印象が残っていた。そして、一般には販売されていないこの写真集を、最近、運良く手にすることができたのだ。 鈴木清は、1943年に現在の福島県いわき市で生まれた。東京綜合写真

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          私たちには旅が必要だ。星野道夫『【新版】悠久の時を旅する』

          文・写真 小松麻美 一枚の写真が人生を変えることがある。 星野道夫は大学一年生のとき、東京・神田の古本屋で洋書『アラスカ』(ナショナル・ジオグラフィック・ソサエティ,1969)を手にし、そこに収められた小さなエスキモーの村の空撮写真に出会う。写真に添えられたキャプションを頼りにシシュマレフの村長宛に手紙を出すと、半年後、「いつでも来なさい」と返事が届く。20歳の夏休み、星野は北極圏の大自然の中で狩猟生活を営むエスキモーの大家族の家で3カ月を過ごし、帰国後、写真家になることを

          私たちには旅が必要だ。星野道夫『【新版】悠久の時を旅する』