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説明力の話4(質問・回答)


前回までの記事です。
その1(報告・提案)
その2(異論・否定)
その3(依頼・説得)

はじめに

「できる人」は説明する相手や目的、シチュエーションによって話の組み立て方を使い分けています。 


今回は質問・回答編です。質問とは、不明点や疑問点を問いかけることです。 質問力が高いと相手に好印象を与えたり、有益な情報を引き出せたりと様々なビジネスシーンで役立ちます。


本記事では質問とその回答方法についてまとめました。


「質問」の型

「質問の意図としては、●●ということです」

自分の欲しい回答を相手からしっかりと引き出したいときに効果的です。質問で重要なことは次の2つです。
① 「どんな答えが欲しくて質問しているのか」を正しく相手に理解してもらうこと
② 相手が回答しやすい順序で質問項目を組み立てること


【説明の流れ】
まずは一番知りたい内容について質問します。「●●について質問させていただきたいのですが、 ■■はどういった理由で判断されたのですか?」

次に質問した理由や意図、背景を伝えます。 この目的は、自分の質問の意図を相手に正しく理解してもらい相手の回答の精度を上げることです。「質問させていただいた理由として、 自分もその手法を取り入れたいと思っているのですが、 具体的にどうやればいいのかアドバイスをいただければと思います」のようなフレーズです。

最後にもう一度、質問内容を要約しながら復唱します。この目的は相手のワーキングメモリーのサポートです。「ですので●●についてぜひお聞かせいただきたいです」


【ポイント】
質問が複数ある場合は「質問が2点ほどあります。 1つ目が●●です。2つ目がです」のように個数を提示してから質問内容を伝えるとスムーズです。


【具体例】
なぜそのような意思決定をされたのか、理由を教えていただけないでしょうか。質問させていただいた意図としては、自分も今後の提案に生かしたく、御社が現在の状況をどのように受け止めているのかを知りたかったのです。意思決定された理由をぜひお聞かせください。





「質問回答」の型

「○○についてお答えすればよろしいでしょ
うか?」


会議やセミナーで相手から質問された際、的確に返答し相手の満足感を高めたいときに有効です。


【説明の流れ】
まずは相手の質問の要約をし、その内容に齟齬がないか確認します。このようなクッションを挟むことで相手の意図とのズレを防ぎます。「まず、●●さんのご質問は▲▲で、についてお答えすればよろしいでしょうか?」

次に回答の結論から伝えます。「それではご質問の回答ですが、 結論から言いますと〜」

続いて結論部分に対する理由や根拠、 具体例を提示します。「なぜかと言いますと、その理由として、具体的には」のようなフレーズです。

最後にその回答で質問の内容を満たせたか確認します。 「今の回答で、先ほどのご質問の答えになっているでしょうか?」

相手が満足できていないようなら、 具体的に回答のどの部分が納得できなかったのかを相手に尋ねます。「●●の部分は、 ご納得いただけましたでしょうか?」 や「具体例のイメージは湧きましたでしょうか?」のようなフレーズで自分の回答のどこに不足があったか尋ねます。


【ポイント1】
相手の質問の意図が不明瞭であったり、回答が広範囲に及びそうな場合は、いったん相手に確認をとるのがコツです。

「いただいた質問に全て答えようとするとかなり長くなってしまうので、××の部分に絞った回答でもよろしいでしょうか?」のようなフレーズで、 回答の方針に対して相手から合意を得ておきます。


【ポイント2】
質疑応答の場が、講演会や研修などのややフォーマルな場であれば質問者に対して「素晴らしいご質問ありがとうございます」と謝辞を述べると非常に効果的です。特に、敵対心を剥き出しにして質問してきた相手に対しては御礼を言う絶好のチャンスです。


【具体例】
商品の新規性がどこにあるのかについてお答えすればよろしいでしょうか?結論としては、 今回の商品の新規性は、かがむのが大変な高齢者
のためにつくられた、サンダルのようにはける靴下である点です。なぜ、このような製品を作ったのかというと、 これまでの靴下はかがむのが大変な高齢者の方でも足を曲げてはかざるを得ないものだったからです。

今の回答で、先ほどのご質問の回答になっているでしょうか?


参考文献

・犬塚壮志、説明組み立て図鑑、SBクリエイティブ(2021)
・藤沢晃治、分かりやすい説明の技術-最強のプレゼンテーション15のルール、講談社(2002)

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