猫道化師 Le chat-arlequin
「ほんわか」とか「癒される」と評していただくことが多い私の作品ですが、たまに「寂しそう」というお言葉もいただきます。現実の世界の厳しさや悲壮な出来事をダイレクトに表現するのは心苦しい。それで理想とする世界(=陽)を描くことが多いのかなと思います。
だけど映画「JOKER」を観て考えが変わった。陰の世界も表現してみたくなった。心にずっとくすぶってきたもの。それをきちんと表現しない限り現世の旅にやり残した感が残るんじゃないの? 陰を描けてこそ陽が輝くのではないだろうか。そんなことを気づかせてくれた映画でもある。
知り合いの画家さんは普段繊細で優しい色使いの水彩画を描かれていたのですが、メンタルが落ち込んでいた時期に描いた絵は精神の荒廃が伝わってくるようなダークな絵でした。その絵をちゃんと発表したんですよね。それまでのファンは驚いたことと思います。私も彼女の別な一面を垣間見て驚きました。その勇気、本物の絵描きだなと今も尊敬しています。心の苦しさから逃げることなく表現した。絵描きって「表現から逃げない人」なんじゃないかなぁ。。
タイトルの上の画像は未公開だった「猫道化師」。表情は人によって感じ方が違うだろう。特に正解はない。アトリエにはこういう絵が眠ってる。
猫はその身体のフォルムや表情が道化師みたいだなと思って。それと私自身が道化師のようだ、と思う時がある。昔から道化師に親近感を感じていた。
その仮面(化粧)の下の表情は? なんとなく普通を装って人に合わせて。本当は感性や価値観のズレをたくさん感じていたりして。私らしくいられる場所はどこなんだろう?って探し続けているのかもしれない。
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