短編工場
いつしかに新しい作者にハマりたくなって、短編集を買った。
にも関わらず、結局好きな作家を追ってしまって本棚に居続けたものを消化。
こうして羅列されると文体の違い、描写の特徴、そもそもテーマや舞台の違いが異なることがよく分かる。
戦後の様子を事細かに取り上げた作品を書かれる方はきっと根底にあるものがそれだから、
他の作品でもそういう思想だったり、当時の教えが反映されているだろうな、と想像する。
不勉強を恥じるべきとは思いながら、そういった話に疎く、また理解も難しいので避けてしまった。
一方で、友情物語や教師と生徒のドタバタ劇みたいなものは軽快で、意図して文体も軽いのかもしれないけど、この作家さんはチェックしてみたいな、と。
短編小説ではやや物足りなさすらあったので、興味をわかせるという意味ではよかった。
1番上手かったのはコメディ的オチのある話。
途中は少し神妙な部分もあったけど、最終的には笑い話になった。
前述の通り、絆を感じるようなものや、人間関係そのものを描くには短編は難しい。
私の読解力、理解力不足と言われればそれまでだが、やはり数十ページで表せるものでは無いだろう。
関係性をサラッと伝えた上で、一部分を語るとなれば話は別。むしろ数百ページでは冗長となってしまいかねないところをまとめているのが上手いと思った。
そもそもの文体でも、自分との相性があった中で、文章にも嫌悪感なく、また技巧的にも素晴らしいと感じたので、一旦彼女の作品を追ってみようと思う。
またなにか読み切ったら感想を述べよう。