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【最強BMP㉔】メンタルゾーンとは何か:最高の集中と最適な緊張のバランス

メンタルゾーンとは

今年はパリ五輪ですね。選手たちがどんな素晴らしいパフォーマンスを見せてくれるのか楽しみです。スポーツの世界では「メンタルゾーンに入る」という言葉がよく使われます。「ゾーン」とは、最大と最低の緊張状態の真ん中に位置する最適緊張状態に達し、感覚が鋭くなり、分析や判断が冴え渡り、神がかったような好プレーが生まれる状態のことを指します。この特別な状態をスポーツ心理学では「ゾーン」と呼んでいます。

しかし、このゾーンに意識的に入るのはトップアスリートでも難しいと言われています。松岡修三氏も「ゾーンに入るためのトレーニングをしたが、うまく行かなかった」と語っています。最適な緊張状態の中で最高のパフォーマンスを発揮するためには、緊張をコントロールするだけでは不十分で、最高の集中状態を作り出すことが必要です。アスリートたちはブレイントレーニングコーチやメンタルトレーニングコーチなど専門家の指導を受けてトレーニングを行っています。

プレッシャーの必要性

日常生活ではストレス回避の方法を伝えることが多いですが、ビジネスパーソンにとっては、ゾーンに入らなくても、プレゼンや重要な商談などでパフォーマンスを発揮するために、適度なプレッシャーによる緊張と集中力を作ることが必要です。
人間はプレッシャーを感じず、ストレスが極端に低い状態では、脳の動きが弛緩し無気力でやる気が出ず、何もしたくない状態になります。
例えば、学校や会社で人の話を聞くときに椅子の背に体を預けてだらしなく座り、ポケットに手を入れている人を見たことがあるでしょうか?この状態は「さがり」と言って、無気力状態、ストレスが極端に低い状態を指します。この状態から高いパフォーマンスを発揮することは難しいでしょう。

緊張をほぐす方法

プレッシャーでストレスを感じると、心拍数が上がり、ドキドキして頭が真っ白になることもあります。このような状態を「あがり」と言います。人前で何かをするとき、多くの人がこの「あがり」を経験したことがあると思います。

私は小学校の卒業式で究極の「あがり」を経験しました。卒業生代表としてステージに上がる際、予行演習で緊張して膝が震え、その姿は生まれたての小鹿のよう…やっとのことで階段を上がりました。当日は、少し足が震え、喉がカラカラの状態でステージに上がりましたが、そのときPTA会長の贈答品を渡す手が、コントかと思うくらい震えているのを見た瞬間、私の緊張は嘘のように一気になくなりました。これは「自分より緊張している人を見ると落ち着く法則」ですが、いつもそんな相手がいるとは限りません。

だれにでもできる緊張をほぐす方法の一つは「呼吸」です。
緊張している時、呼吸はどうなっているでしょうか?心臓がドキドキして呼吸が荒くなっています。これは息を吸いすぎている状態です。それを抑えるためには、胸に手を当てて腹式呼吸をし、副交感神経を優位にする方法があります。また、瞬間的に緊張を解くには、1回息を強く吐き出すことが効果的です。スポーツ選手が試合前やバッターボックスに入る際に息を強く吐き出す姿を見たことがあると思います。これも緊張をほぐすための方法です。

◆[時間がとれる場合]胸に手を当てながら腹式呼吸をして副交感神経を優位にする。
◆[瞬間的に緊張を解く場合]1回息を強く吐き出す。

集中力の作り方

ミスや失敗は集中力が欠けたときに起こります。最適な緊張状態を作っても、集中力を欠いたら意味がありません。集中力を高めるひとつに、アイコントロールがあります。スポーツでは種目や動作によってアイコントロールの方法が異なりますが、ビジネスパーソンの場合は、指先やペン先をじっと見ることをお勧めします。視点が定まらないと集中できないため、どこか一点に集中することから始めます。この方法は試験の時などにも有効です。

本番前やピンチになったときに初めて呼吸やアイコントロールをしようと思っても難しいので、日常的に練習をしておくことが大切です。

まとめ

メンタルゾーンに入ることはトップアスリートでも難しい挑戦ですが、パフォーマンスを最大限に引き出すためには緊張と集中力のバランスが不可欠です。この原則はスポーツに限らず、ビジネスの場面でも同様に重要です。適度なプレッシャーを利用し、呼吸法やアイコントロールを活用することで、集中力を高めることができます。たとえメンタルゾーンに完全に入ることが難しくても、適切な方法を取り入れることで、緊張をコントロールし、パフォーマンスを向上させることは可能です。

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