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【第6話】シンデレラ、推し活をする
エラ
「ちょっと、郵便局に寄ってもいい?」
ウーヤ
「またか?」
エラ
「だって……、ヘルマ様からのお返事が届いてるかもしれないでしょ!! あるいは新作の報せが届いてるかもしれない!」
私の最優先は、愛すべきオペラ歌手のヘルマ様。
ということで、ウーに文句を言われたけれど気にせずに、郵便局に向かった。
現在、私たちが滞在している自由都市・クロノスには十二種類のエリアがある。
エリア毎に
【第4話】コスプレイヤー、異世界で悩む
荘厳な鐘の音が三つ鳴る。
その音を合図に広場に待機していた音楽隊が、一斉に演奏を始めた。
ドレスのスカートを大きく膨らませて、エスコートされた乙女たちが初々しくステップを踏んだ。
ウーヤ
「……ふぅ」
珍しく、ウーさんは緊張しているように見えた。濃いめの化粧で誤魔化そうとしたのだろうが、誤魔化しきれていない。
でも私だって人のことを言えない。指先が冷たくなって震えている。
私
(でも、仕方な
【第3話】コスプレイヤー、観劇に行く
ウーヤ
「おい、スイ! どうなってるんだ。まったく、売れないぞ」
街から戻るなり、ウーさんは私に詰め寄って凄んできた。
一時間前、ウーさんは新しいドレスに袖を通し、お披露目ができると嬉々としていたはずなのに、現在は怒り狂うウーさんの顔が眼前にある。
私
(でも、どうなってるのかわからないのは私も同じ!)
ウーヤ
「おい、聞いてんのか!」
私
「は、はい!」
ウーさんの剣幕に押されて
【第2話】コスプレイヤー、異世界で視察に行く
ルス
「ちゃんとした自己紹介もまだでしたね」
「私はルス。デザイナーをしています。彼は……」
ウーヤ
「ウー」
ルス
「ウーヤです」
ウーヤ
「名前で呼ぶなって何度言ったらわかるんだトリアタマ」
私
「あ、私は、推です。星野推」
ルス
「スイ、よろしく」
ルスさんは、まっすぐ目を見てくるので、私は思わず挙動不審になってしまう。
けれどルスさんはあまり気にした様子はなく、話を続けた。
【第1話】コスプレイヤー、異世界で服をつくる
この度は「Legend of Re:poris」の先行受付にお申し込みいただき、誠にありがとうございました。
以下の内容で当選が決定いたしました。
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私はメールの文面を三度読み直してから、自分の頬をつねった。
私
「……痛い」
痛み。これすなわち、現実であるという証である。
私はたまらず、ガッツポーズをとって叫ぶ。
私
「やったーーーー!!」
私は星野推(ほしの・すい)。社会