『FACT FULNESS』に学ぶ
まず初めに、『FACT FULNESS』を読んで
今まで、強いバイアスに縛られて行動していたということを実感した。
冒頭で、世界の事実に関する13問の3択問題が出題される。
「各専門家がこれらの問題に答えたときの正解率は約6%だが、チンパンジーがこれらの問題に答えたとするならば、正解率は約33%であろう」
という表現がとても印象に残っている。
人間は猿よりも賢いというのが一般論である。しかし、今の場合、筆者は逆説的かつ皮肉に表現している。私自身も13問中、6問しか正解することが出来なかった。
(人間の場合)
チンパンジーのように無作為に3つの選択肢から答えを選ぶのではなく、しっかりと思考してから答えを選ぶ。
(チンパンジーの場合)
無作為に選ぶ
この過程の違いが、現代社会に生きる私たちが内包している問題点を暗示しているように思われる。しっかりと思考し、誤答するということは、単純な知識不足か、私たちは世界に対して、強い思い込みを持っているということになる。筆者は、私たち人間が持っている10の本能について分析をしている。その中でも特に衝撃を受けた2つの本能について紹介する。
①分断本能
②ネガティブ本能
③直線本能
④恐怖本能
⑤過大視本能
⑥パターン化本能
⑦宿命本能
⑧単純化本能
⑨犯人捜し本能
⑩焦り本能
(ネガティブ本能)
マイナス面>プラス面
私の場合、大学生活や何か新しいことにチャレンジしようとするときにネガティブ本能が働く。そのチャレンジによって得ることができるポジティブな面よりも、それによって受けるマイナス面を中心に考えてしまう。本来は、ポジティブ面とマイナス面の両方をバランス的に考えることが最善であるが、実際にはマイナス面を考えてしまうのである。
~貧困層は減り続けている~
世界の問題に焦点を当てれば、人口問題や貧困問題などが存在する。日本に住んでいる私たちは、貧困問題を考える際に、ユニセフのCMなどで頻繁に見かけるアフリカの飢餓に苦しむ子供たちを想像するだろう。そして、そのような人々が世界で増加し続けていると思い込んでいる人々も数多くいるだろう。しかし、そうではない。現実は、そのような人々の数は減少し、貧困層より中間層の人々の方が多いのである。
中間層>貧困層
私自身もこの本を読むまでは、貧困層の方が多いと本気で信じていた。しかし、筆者が示す、世界の裕福度を表すグラフを見て、脳内でブレイクスルーが起こった感覚に陥った。ひと昔前までは、1日2ドル以内で過ごしていた人々の生活も、現在では、中間層の生活水準に近づいているのである。このように、私たちの脳内は過去のデータでストップしてしまっているのである。
(宿命本能)
全てのものは
あらかじめ決まっているという思い込み
文化、社会やテクノロジーなどは常に変化し得るものであるが、私たちは、それらを固定的なものであると思い込んでいるのである。たしかに、変化に対応するよりも、固定的なものとして慣習化する方が楽である。しかし、常に移り変わるものに対して、対応していかなければならない
私は高校生の時に、地元にある外資系の製造業の企業に企業訪問をしたことがある。そこで、人事部のアメリカ出身の方と対談した際に、「これから、生きていくうえで何か重要な事はありますか」というざっくりとした質問をした。するとそのアメリカの方は、
「いつも通りという言葉が一番危険」
と返答された。当時は、何を言っているのかあまり理解できなかったが、『FACTFULNESS』を読んだ後、その言葉の意味が少し理解できた気がする。宿命本能のからくりを、あのアメリカの方は、すでに理解されていたのだろう。変化が大きい現代で、この考え方を持つことは非常に大切なことであると感じた。
常に変化し続ける=諸行無常
さいごに
全体を通じて、データに基づいて、正しい判断をするという事は当然のことであると以前からも思っていたが、実際には出来ていないことを痛感した。また、自身学生の身として、論文やレポートを書いていく際のデータの引用の方法についても学ぶことが出来る点が数多くあった。この本のおかげで、自分の思考の基準を向上させることが出来た。この本から得た知識や思考の方法を実生活でも活用していきたい。