トロピカル☆ナイト
きのうの夕方のニュース番組『かんさい情報ネットten.』での話。お天気キャスターの蓬莱さんが手描きのフリップを手に「今日も熱帯夜になりそうです」と言っていた。
そのフリップには「トロピカルナイト」と書かれ、文字のバックにはマラカスを手に陽気に踊る人がクレヨンで描かれている。蓬莱さん自身が描いているので、彼のイメージだ。
蓬莱さんいわく、熱帯夜は英語で「トロピカルナイト」らしい。そう、「熱帯=トロピカル」「夜=ナイト」。
うーん、「トロピカルナイト」という字面と熱帯夜の実際がぜんぜん合わない。
わたしが思うトロピカルは、南国の穏やかさ陽気さやカラフルといったイメージだ。トロピカルフルーツとか、トロピカルカクテルとか。原色に彩られたものたちや緩慢な空気。かき氷のブルーハワイなんかもトロピカルだと思う(なぜ、ブルーハワイなのだろう)。
そこで、カタカナで表す「トロピカル」の類語を調べてみた。
〈意義素〉南国的な気候
〈類語〉南国の、常夏の、トロピカル、ハワイアン、赤道直下の
(Weblio類語辞書)
やはりこのような感じだ。少なくとも、空気がおびただしい水気を帯びて、重苦しく体にまとわりつくような気候のイメージはない。
熱帯地域をtropical zone、熱帯雨林をtropical rainforest というから、「tropical=熱帯」は間違いないようだ。でも、「トロピカル=熱帯」では合わない場合があるらしい。
留学生が驚いたというカタカナ語はたくさんあるが(わたしは日本語教師をしている)、ここ数年で聞くようになったのは「リベンジ」だ。
「この前のテストは不合格だったから、次はリベンジするよ」という文脈で使われるもの。「再挑戦」という意味で使っているが、英語のrevengeなら「復讐」だ。テストのたびに復讐するのは、やや重すぎる。(復習ならアリですね)。
カタカナ語は、外国人にとっては簡単そうでそうではない。意味も微妙に違うし発音も違う。裏を返せば外国語を学ぶ日本人にとっても同様だ。
もう少し調べてみると、熱帯夜は sultry night や sweltering night と表現されるらしい。「トロピカルナイト」とは言わないのか?
個人的には、なんだか楽しそうなので、トロピカルナイトもいいなと思っている。たぶん今夜も、トロピカルナイトだ。