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ストレス社会を生き抜くために, ストア哲学(ストイシズム)から学ぶ「ルーティンワークと習慣化」の方法



1. どうやら「ストア哲学(ストイシズム)」が、再び注目を集めているらしい

定期的に書店を散歩するようにしている。よく言われる話だけど、書店の入り口近く、つまりエントランスに並べられている本から得られる情報は多い。多くの人々の関心が集まっているテーマは何なのか? をてっとり早く把握することができる。

今でいうと、投資に関する本が多く並んでいる。金融業界の人が言うには、投資関連の書籍が書店のエントランスに並んでいるときは「バブル」であるらしい。

投資関連の本に続いて、目についたのは「ストア哲学(ストイシズム)」に関する書籍だった。

そのうちの以下2冊を買って、読んでみることにした。


2. ストア哲学とは?

ストア哲学(ストイシズム)は、紀元前3世紀初頭にキプロス出身のゼノンによって創始された古代ギリシャの哲学学派。
ゼノンは、「ストア・ポイキレ(彩色柱廊)」って場所で教えを説いていたから、その学派は「ストア派」と呼ばれるようになったらしい。


3. ストア派の中心的な思想は、自然に従って生きること

ストア派の人たちは、宇宙全体が理性(ロゴス)によって秩序づけられていると考えた。

だから、人間も理性に従うべきだと主張した。


4. 理性(ロゴス)に従うとは?

感情や欲望に左右されず、理性によって自己を制御し、徳(アレテー)を追求すること。

上記の説明は正確だけど、正確ゆえにちょっとややこしい。

つまり、ストア派の哲学は、禁欲主義を中心としている。自分の欲望を抑制し、理性に従って生きることで幸福を得ることを目指す。


5. 「ストイック」と「ストア哲学」の関係性

「ストイック(stoic)」という言葉は、当初はストア派の哲学者やその信奉者のことを指していた。

それが次第に、「自分に厳しく、欲望に流されない様子」を表す一般的な言葉として使われるようになった。

ちなみに、英語では、「ストア学派の哲学者」を指す場合は「Stoic」と大文字で始める。

「禁欲的な」「自制的な」という意味では「stoic」と小文字で始めることで区別しているらしい。


6. 【参考】ストア派の哲学者たちが重要視した概念のうちのいくつか

  • アパテイア(ἀπάθεια):感情からの解放の意味。理性によって感情を制御し、心の平静を保つ状態を指している。

  • アタラクシア(ἀταραξία):魂の平安や心の動揺がない状態。内面的な平穏を追求しようとした。

  • コスモポリタニズム:全人類がひとつの共同体の一員であると考えることで、普遍的な人間愛や兄弟愛を強調。

ストア派の代表的な哲学者には、創始者のゼノンのほか、セネカ、エピクテトス、ローマ皇帝マルクス・アウレリウス・アントニヌスなどがいる。

ストア哲学は、自己を理解し、自分が対処可能な範囲でより良い行動を選択する術を提供してくれる。この哲学を学んで、実践してみると、なるほど、持続的な精神的安定を手に入れることも可能かもしれないと思う。

じゃあ、ストア派とストア哲学の概要を話し終えたので、
「ストア派が再注目されている理由」「現代を生きる私たちがどうやってストア哲学を解釈し実践していくべきか」を考えていこう。


7. ストア哲学が再注目されている理由は「シリコンバレーのIT業界」

シリコンバレーでは、マインドフルネスと並んでストア哲学がブームとなっている。これは、技術の急速な進化や情報過多の中で、精神的な安定や自己制御の重要性が再認識されているためだ。

このような自己啓発的な流行の発端はシリコンバレー発信のものが多いと思う。シリコンバレーにはそれだけ高パフォーマンスを維持している人が多いし、高パフォーマンスを維持できなければサバイブすることのできないってことを端的に表している。


8. 高ストレス環境への対処法として

シリコンバレーの労働環境は非常に高いストレスを伴う。

シリコンバレーがどれだけ激烈であるか、知る由もないけれど、日本で働く私たちの日々の労働環境にだってそれなりにストレスはある。

じゃあ、私たちはどんなときにストレスを感じてしまうだろう?

  • 〆切に追われているとき

  • 要求されるレベルが高いとき

労働環境におけるこのようなストレス要因が、「寝不足」や「プライベートな時間の減少」などなどを引き起こし、ワークライフバランスでいうところの「ライフ」の部分を侵食されることになる。

そこで、私たちに救いをもたらすのがストア哲学である(のかもしれない)。

ストア哲学の「自分でコントロール可能なことに集中する」という考え方は、こうした環境で特に有用とされている。


9. どれだけ短時間で成果を出せるか

ストア哲学では効率性を重視する。そのためには、意思決定を効率化させて、不要な感情の浪費を減らすことが重要

短時間で成果を出すために、効率的な意思決定の方法のひとつとして「習慣化/ルーティン」が挙げられる。


10. 「ルーティンワーク」は効率的な意思決定のための方法

ルーティンを設定することによって意思決定の数を減らすことができる。つまり、「朝食はヨーグルト」と決めておけば、毎朝の朝食に悩むことはなくなるし、「食べない」という最悪の決断を回避できる。

なぜ、意思決定の数を極力減らしたほうがいいのかというと、意思決定のたびに私たちの脳は疲労するからだ。

なるべく不要な意思決定を減らして、脳の体力を温存させてあげることで、より重要な意思決定の場面で力を発揮できるようになる。

この考え方は「意思決定疲労(decision fatigue)」の概念と深く関連している。


11. 「意思決定疲労(decision fatigue)」とは

先ほども述べたように、人間の脳は意思決定のたびにエネルギーを消耗する。それがどんなに些細な選択(「朝食になにを食べよう」)であっても、回数が積み重なると脳は疲労し、集中力や判断力が低下していってしまう。

疲労が溜まると、重要な場面での決断ミスや、不要な妥協(簡単な選択肢を選ぶ)を招きやすくなる。

そのためにも「ルーティン=習慣」を形成して、意思決定の回数を減らしましょう。そして、意思決定を効率的なものにしましょう。ということだ。

そうすることによって、心の平穏を保つことができて、高いパフォーマンスを発揮できるようになるよ、っていうのがストア派の教えである。

言うまでもなく、ルーティンは日々の行動を自動化してくれる。「次に何をするべきか」を考える手間を減らしてくれる。

「次に何をするべきか」に迷わないために「タスク管理」をするという人もいるかもしれない。でも、「タスク管理」に何度も挫折した経験があるという人は多いのではないか(宮澤ももれなくそのひとりです)。

どんなツールをつかってもタスク管理がうまくいかないという人でも「ルーティン化=習慣化」なら、うまくいくかもしれない。ぜひ試してみてほしい。


12. 重要な意思決定の質を向上させるためには

重要な意思決定の質を向上させるためには、些細な選択をルーティン化し、脳のエネルギーを温存しよう

有名な例だけど、スティーブ・ジョブズやマーク・ザッカーバーグが毎日同じ服を着ているのは、服装の選択にエネルギーを使わないためだ。


13. 「善い行い」を自動的に選択できるようになる

ルーティンを形成することで、善い行動を「習慣化」させることができるようになる。例えば、健康のために筋力トレーニングを習慣化させたいのだとしたら、「昼食前にトレーニングをすること」を習慣にしてしまえばいい。

いったん習慣化させてしまえば、あとはもう簡単。
頑張っているっていう感覚さえなくなってしまう。

よく成功者がインタビューで語る「努力しているって感覚はなかった」っていう答えは、このことを端的に表している。

他人からみれば「努力」として認識されるような行動を、かれらは「習慣」として無意識に継続しているだけなのだ。かれらは天才だから継続できたわけではないし、天才だから成功したわけではない。

「善い行い」をルーティンに取り入れて、習慣の力を上手く活用しただけだ。

これくらいなら私たちにもできる。


14. 【まとめ】「理性と習慣」を武器にしよう

ストア哲学は、情報過多や高ストレスがつきまとう現代社会で、「自分でコントロールできることに集中する」ための実践的な知恵を提供してくれる。

シリコンバレーを中心に再び注目を集めているこの哲学は、自己制御や効率的な意思決定の重要性を教えてくれる。

例えば、意思決定疲労を防ぐためにルーティンをつくること

不要な選択にエネルギーを使わないようにすることや、良い習慣を取り入れて無意識のうちに続けられるようにすることがその具体例だ。

ルーティンを形成して「善い行動」を習慣化させることによって、限られた時間とエネルギーを効率的につかえるようになる。高いパフォーマンスと心の安定を両立できるようになる。

古代ギリシャの知恵であるストア哲学は、「ストイック(自分に厳しく、欲望に流されない様子)」の語源となるものだが、単なる禁止や我慢の思想ではない。

「自分の心を整え、冷静に状況を見極めるための力強いツール」というくらいに捉えてみるといいかもしれない。

ストア哲学の考えかたは、忙しい日々の中で自分を見失わないための指針として、現代人にこそ必要とされているのではないだろうか。

日常の小さな選択をルーティン化し、本当に重要な決断や行動に集中する「ストア的な生き方」をこれから実践してみよう。


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宮澤大和
今日も最後まで読んでくださってありがとうございます。 これからもていねいに書きますので、 またあそびに来てくださいね。