少女漫画がスキ!「ざ・ちぇんじ」山内 直実 原作・氷室冴子 「とりかえばや」さいとう ちほ
とりかへばや物語
上記の物語を元にした、2作品の漫画がこちらです。
「ざ・ちぇんじ」
山内 直実
原作・氷室 冴子
前回の「なんて素敵にジャパネスク」同様、小学生の時に氷室冴子さんの小説を読み、漫画も買って読みました。
この作品も長女は履修済みです。
子どもの時はこの内容が古典だったとは、全く思いもしませんでした。
「竹取物語」・「とりかへばや物語」・「落窪物語」……作者不詳なのも驚きですが、平安時代の作家さんの創造力溢れるストーリーに驚くばかりです。
今から1000年経っても残る物語ってなんでしょうね?
映像ならジブリ作品かしら?
その時代感がわかる、よりアナログ感が強い作品が残りそうな気がします。
氷室冴子さん&山内直実さんの描く「とりかへばや物語」は、主に中高生をターゲットにした「花とゆめ」に掲載されていただけあり、コメディタッチでかわいく、ストーリー展開もソフトな印象です。
おもうさん(お父さん)が、気苦労が多くて、すぐ倒れちゃうのがカワイイ。
「ざ・ちぇんじ」の中では、「若君(女の子)」は綺羅、「姫君(男の子)」綺羅姫と呼ばれています。
権大納言家で同日に別々の母親から生まれたのに、顔がそっくりという設定なのは、やはり当時は双子は不吉といわれていたせいなんですかね?
主人公は当然美男美女なんですが、顔がそっくりってことは、パパ似なのにパパは美形に描かれてはいません。そこも面白い。
綺羅は出仕前に、女性の姿で帝と知らずに偶然出会うのですが、帝はこの時の綺羅を忘れられずにいます。
そして出仕した綺羅を見て、あの時の姫に似ている!と恋心が湧いてきてしまうのです。
綺羅は宮廷に出仕してしまったがゆえに、男性として三の姫と結婚するはめになったり、綺羅姫も出仕、尚侍(ないしのかみ)として女東宮に仕えることになってしまいます。
帝の綺羅への思いが募るあまり、綺羅姫(弟)があの時の姫なのでは!?と、尚侍として出仕させたのでした。
そして綺羅の親友「宰相中将(さいしょうのちゅうじょう)」この人が綺羅が美しすぎて好きになってしまったかも!?と、BL風味な展開もあります。この方がトラブルメーカーです。
綺羅が純粋で、結婚した三の姫に「恋のいろは(ABC)を教えて!」と迫られても、よくわからずに困ってしまったり、宰相中将にキスされただけで、おやや(赤ちゃん)ができてしまったかも!?と勘違いするシーンはソフトな表現になっているなぁと思う場面ですね。
※今の子にABCという表記は伝わるのかしら?
「とりかえばや」
さいとう ちほ
さいとう ちほさんといえば、わたしは「円舞曲は白いドレスで」を読んでおりました。
そして長女が「少女革命ウテナ」の画集を持っておりました。
さいとう ちほさんが描く「とりかへばや物語」は、月刊flowersに掲載されていたので、前作よりも大人な表現になっています。
こちらの若君は沙羅双樹(さらそうじゅ)。
姫君は睡蓮と呼ばれています。もちろんパパには似ていません。
多少の成り行きの違いはあれど、2人が出仕する流れは一緒ですが、若君と結婚する姫の性格がまるで違います。
「ざ・ちぇんじ」の三の姫は子どもっぽくて純粋なイメージですが、「とりかえばや」の四の姫は帝の妃になるべく育てられたので気位が高い姫なのです。
そしてこちらのバージョンのトラブルメーカー・宰相中将にいたっては、4巻で沙羅双樹の乳母(めのと)「あぐり」のセリフに
「ご夫婦双方に手をだしたのですか?」
と、あぐりが驚くシーンがあります。
衝撃のセリフですね。
その後の展開は本誌でお楽しみください。
全巻の巻末に「あとがき・ばや」というコラムがあり、平安時代の文化について描いてあり、勉強になりました。
最終巻のあとがき・ばやには原作を読んでみて、少女漫画として描くには読者に喜ばれなさそうな部分が多々あると描かれています。
捨てるには惜しい場面や、納得しかねる場面など、描かなかった部分もあるようで……
漫画はハッピーエンドですが、原作はハッピーエンドとは言い難いものを感じる作品と描かれていました。
わたしは原作を読んだことがないので、気になります。
原作はこれが読みやすいよ!など、ご存じの方は是非教えてください!