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ディズニー映画「マイエレメント」のワンシーンから使える表現をいくつか掘り下げてみました。【パート29】
検査官ゲールとエンバーが言い合うシーン。エンバーは自分のせいで店を閉められないように必死になっている。
【学習ポイント】
♦️ some の持つ独特のニュアンス
< 店の違反を多めに見てもらおうと掛け合うエンバー >
エンバー: Oh, yeah. Okay, so, the 30 citations. (それで30件の違反だけど)
ゲール: Do you mind? There’s a game going on. Fireball.(黙ってな。こっちは試合中だよ。火の玉娘)
エンバー: This is my life we’re talking about. Not just some game. (こんなポンコツ試合よりもずっと大事な話なの)
ゲール: Some game? This is the playoffs. (ポンコツ試合?プレーオフだよ)
◾️ some のニュアンス
エンバー: This is my life we’re talking about. Not just some game.「こんなポンコツ試合よりもずっと大事な話なの」
ゲール: Some game? This is the playoffs.「ポンコツ試合?プレーオフだよ」
“some” は「いくらかの」ですが、”some game” のように後ろが数えらる単数 の名詞の場合は、「(不特定の)ある」という意味になります。
ですから、Not just some game は「単にある試合ではない」となり、Some game? This is the playoffs. は、「ある試合?これはプレーオフだよ」となります。
この「ある試合」というのは、不特定のどこかの試合ということで、「大したことがない試合」という意味で使われているのです。(字幕は「ポンコツ試合」になっています)
This is the playoffs. の playoffs は優勝を決める大切な試合なので、some game との対比で、some が「大したことのない」という意味だと推測できます。
誰でも知っている some のニュアンスが知れてとても勉強になるセリフですね。英語の奥深さを実感してしまいます。
エンバーが巨大な気球を作り出すシーン
【学習ポイント】
♦️ 柔らかい命令はこの表現が一番!
エンバー: You might want to step back. (下がってて)
ウェイド: Holy dew drop! (アンビリーバブル!)
エンバー: Shh. Get in. (乗って)
◾️ You might want to step back.「下がって」
エンバーが気球を作る際に、近くにいたウェイドに危ないから下がるように促したシーンです。
You might want to … の might は「…かもしれない」と意味を弱める語なので、want to … と共に使われると「…したいかもしれない」⇨「…した方がいいかもしれない」と、柔らかく相手に命令する場合に使います。
命令形といえば、Step back. など動詞で始まると教えられたと思いますが、might want to … のようにソフトな表現も役立つと思います。
Please をつければ丁寧になるというのは間違いではありませんが、そんなに丁寧になるわけではなく、命令形であることに変わりありません。
ですから、You might want to... はとても使い勝手の良い英語表現なのでぜひ使ってみて下さい。
エンバーとウェイドがエンバーが作った気球に乗って会話をしています。
【学習ポイント】
♦️ mind me ...ing vs mind my ...ing
ウェイド: So, uh, what do you do at the shop? If you don’t mind me asking. (お父さんのお店の話、よかったら聞かせて)
◾️ If you don’t mind me asking,「よかったら」「差し支えなければ」
次の①、②のどちらの英語を使ってもよいと学校で教えてもらったと思います。
① If you don’t mind my asking
② If you don’t mind me asking
これらの違いを Q&A サイトのHiNative で聞いてみました。
Both are correct, but the second one sounds more natural to me.
②の “me” を使った方が自然に聞こえるとの解答ですが、カナダ人の方に聞いても同じ答えが返ってきました。
ChatGPT にも聞いてみました。答えは次のとおりです。
“If you don’t mind me asking" is more commonly used in daily conversation. It feels more natural and is widely accepted. The phrase "If you don’t mind my asking" is also grammatically correct but is less frequently used in casual speech, as it can sound a bit more formal or old-fashioned.
やはり、”If you don’t mind me asking” の方が会話ではよく使われ、”If you don’t mind my asking” は文法的に正しいけれど会話ではあまり使われない、とのことでした。
すなわち、”me” の方が “my” よりも会話では頻繁に使われていると結論づけてもよさそうです。
ただ、 文法的に正しいのは “my” を使った方なのです。
その理由は mind ...ing の...ing は動名詞(...すること)で、動名詞を修飾するのは my, your, his などの所有格と呼ばれているものだからです。
別の角度で言うと、動名詞は名詞の一種だとお考えください。そうすると、This is my house.「これは私の家だ」と言い、This is me house. とは言いません。
ですから If you don’t mind my asking になります。( asking が(動)名詞と考えます)
文法的に正しくない方がずっと自然に話されるというのは、思わずため息が出てしまいます。でもそれが言語なのだと奥の深さを感じますね。
If you don’t me asking ー 質問したいけど、相手が答えたくないかもと少しでも思ったらこの英語を口に出して下さい。思いやりの質問です。