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『アナ雪』で見つけたコンパクトに意訳した字幕に感銘を受けました。

今回紹介する表現は、ディズニー映画『アナと雪の女王』の中で、ハンス王子が、自分の12人の兄弟についてアナに話している内容の一部です。

Hans: Three of them pretended I was invisible, literally, for two years.

Anna: That’s horrible. (ひどいわね )

Hans: It’s what brothers do.

ハンス王子が言った言葉で太字の2箇所の意味を考えてみましょう。

Three of them pretended I was invisible,
pretend「フリをする」、invisible「見えない」なので、「彼らのうちの3人は、私が見えないフリをしていた」が直訳です。

そこから言いたいのは、「12人も兄弟のうち3人が、私(ハンス王子)が透明人間のようにいないフリをずっとしていた」です。その3人はハンス王子を嫌っていたのでしょう。しかも invisible ですから相当だと思います。

そこで、この箇所をそのまま訳すと長すぎるので、意訳をしなければなりません。私も初めは「私を透明人間のように扱った」など色々考えましたが、やっぱり字幕は素晴らしかったですね。以下がその字幕です。

「そのうち3人には2年間も無視されていた

「無視する」ー 思いつくのは ignore ですね。でも言われてみれば、透明人間のように扱われた= 無視された、は腑に落ちます。

私は洋画を見る時はいつも字幕なしと英語字幕で見るようにしています。そして、よい意訳を考えるのですが、厳しいですね。日本語をもっと勉強しなければといつも思ってしまいます・・・

しかし、「無視する」という意訳に一つだけ思うことがあります。それは、Three of them pretended I was invisible. と ignore との意味の差異です。

後者の ignore は、相手がいることを前提にして喋らないということですが、前者の Three of them pretended I was invisible. は、相手の存在そのものを消し去って( invisible ) そこにいることさえ認めていないという ignore よりもさらにひどい仕打ちであるということです。

偉そうに批判的なことを書いてしまいましたが、「じゃあ、あなたはどんな訳がいいの?」と訊かれると何もでてこないので「無視された」で十分です。

実際、コンパクトで素晴らしい訳だと思います。

It’s what brothers do.
アナの That’s horrible. に対して言ったハンス王子の言葉ですが、直訳は、「それは、兄弟がやることだよ」です。「それ」というのは、ハンス王子が無視されたことを指しますが、字幕は、

「兄ってそんなもんさ」

です。「そんなもんさ」の口語表現が決まってますね。

brothers を parents や人の名前に変えていろいろ言えるので使えそうです。映画の中では、ネガティブな意味で使われていますが、人助けをする人をみて、

It’s what he ( always ) does.

というと、「彼ってそういう人だよ」とポジティブな意味になります。

ですから、It’s what 〇〇 do / does. は、良くても悪くても「〇〇はそういう人だよ」と言えるので便利な表現です。

「英語だけでなく、もっと日本語力も磨こう」ー 最近よく思うことです。

I hope you are interested in my article.  See you soon!

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