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ディズニー映画「マイエレメント」のワンシーンから使える表現をいくつか掘り下げてみました。【パート33】

今回も引き続きディズニー映画「マイエレメント」のワンシーンから英語を深掘りしていきます。

食物検査員だと偽ったウェイドに、バーニー(エンバーの父)は無理やり熱い食べ物を食べさせて、審査させるシーン。

【学習ポイント】
♦️ 思い込みが英語の理解力を下げる良い例
♦️「失礼」の excuse me 以外で言うと?
♦️ water down のいろんな用法

エンバー: Dad, those are too hot. (父さん、熱すぎる)
ウェイド: I’m okay. I love hot food. (大丈夫。熱いの大好き)
バーニー: Hey! Watch your water.  So, did we pass? (泡食ってる場合か。どうだ、合格か?)
ウェイド: Mmhmm. A plus. Actually, after the heat dies down, that’s really good. If you don’t mind. See? It’s really tasty if you water it down a little.  (大合格。熱が引くと本当に結構いけるかも。失礼。少し水を差せばかなりいい味だ)
バーニー: Water us down? Water us down?Where’s camera? We will never be watered down by you. Get out! (水を差すなど許さん。出て行け!)

「マイエレメント」

A plus.「大合格」
父バーニーが “Did we pass?” (合格か?) と尋ねた時にウェイドが言った英語です。

A plus.” ー plus は” で、普通によく使われます。ポイントは A plus の “A” です。これは「ア」ではなく「エー (エイ)」の “A” です。

これを取り上げたのは、初めから「・プラス」と思い込んでしまうと、どんな意味なのわからなくなってしまうからです。「単に ”+” って何が言いたいの?」となってしまいます。

でも「エー・プラス」とわかってる方は、”A+” で「一番優秀なAよりもさらに優秀」な成績だとわかるのではないでしょうか。

まず音声を聞いた人は「エイ・プラス」とウェイドは言ってるのでピンときますが、スクリプトを最初に見た人は、勘違いする可能性があるかもしれません。

ところで、字幕の「大合格」は日本語で聞き慣れないのですが、他に適切な訳があるかと言われると思いつきません。何かよい訳があれば教えてください。


If you don’t mind.「失礼」
これは以前の記事で “Do you mind?” などの言い方について取り上げましたが、これに似た表現が出てきたので見ていきたいと思います。

暑さに弱い”水“のウェイドは熱い団子のような食べ物を再度食べようと手を伸ばすのですが、手を伸ばす直前にこの If you don’t mind と言いました。

直訳は「もしあなたが気にしなければ」ですが、「また私がその熱々の食べ物を食べることをあなたが気にしなければ」と言い換えることができます。

すなわち、If you don’t mind ( my eating those hot food ) の(   )内を補って考えて下さい。

そうすれば「またこれを食べたいんですが」という意味になることが分かると思います。

でも面白いのが、If you don’t mind. と言って、相手(バーニー)の返答を待たずに、さっさと食べてしまったのです。

これはたぶん、ウェイドは相手の答えが、「食べてもいいよ」に決まってると確信しているからだと思います。

ですから字幕の「失礼」はこれ以上ない日本語ではないでしょうか。「失礼」と言って、次の行動にすぐ移すことが多いからです。


water ... down
water ... down
という表現が短い会話の中に違った形で出てきているので見ていきましょう。

(1) It’s really tasty if you water it down a little.「少し水を差せばかなりいい味だ」
これはわかりやすいのではないでしょうか。「それを水で(water) 薄める(down)」ですね。(ちょっと強引ですが)

カルピスなど原液を入れてから水で薄めて飲む飲み物は、時に濃すぎることがあります。その時に
Can you water it down?”「薄めてもらえますか?」などと言えます。

(2) We will never be watered down by you. Get out!「水を差すなど許さん」

(1) で見てきたように water ... down は「薄める」なので、be watered diwn と受け身では「薄められる」です。

ここでは “we” と人が主語なので、人が薄められるというのは、「(人の影響力などが)弱まる」と捉えることができます。すなわち、

お前に左右されることなんてない!」

と相手の影響は受けないという意味になります。

この「薄める」という意味の water down は次のように使うこともできます。

The director watered down the movie script.「その監督は映画の台本を簡略化した(= 簡単なものに書き換えた)」

「薄める」というのが「簡略化する」「より簡単なものにする」に結びつくのはそんなに難しくないのではないでしょうか。

複数の意味がある語彙や語句はそれぞれの意味を結びつけて考えると定着しやすくなります。その“考える過程” がまた面白いですね。

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