日本人の『13%』しか国を守るために戦わない現状について考えてみる。
先に断っておきますが、僕は
「日本の若者はけしからん!」
とか
「日本のために戦う必要なんて無意味じゃね?国外逃亡バンザイ★」
みたいな極論というか、右か左に偏った何かの主張をするつもりは毛頭ございません。
そんな、手垢まみれの言説を、ここで繰り返すのは無意味だと思うし、僕の動機はもっと単純。
「このデータおもろ」
です。
こちら、ご覧下さい。今回の記事の主役を務めるデータです。
このデータを分析したい、という純粋無垢な僕の欲望が掻き立てられているというだけのことなのです。
早速ですが、あなたは、国を守るために、戦いますか?命かけますか?
ちょっと考えて、「はい」「いいえ」「わからない」の3つから選んじゃってくだせぇ。
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しんきんぐたいむ
(この記事は5000文字ほどで10分弱で読めます)
(記事読んでる方は❤︎お願いします🧸)
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いちおういっておくと、僕は「はい」と答えます。
理由は、「はい」の方が少ないから、です。
単純に「はい」と「いいえ」のバランスってある程度大事だと思っているので、今は「はい」が少ないから「はい」を選ぶ愉快犯です。
(チームで議論するときもみんなが同じ意見にまとまりそうになったら、あえて正反対のことを言ったりします)
仮にですが、日本政府が積極的に他国への侵略戦争を始めて、全体が「戦争に参加しない奴は非国民だ」という空気になりはじめたら、謹んで「いいえ」の立場を取ろうと思います。
要するに、僕はなんとなーく、「いいえ」「わからない」の比率が国際的に多い状態は異常な状態だと考えている、と言う次第です。
さて、そういわれると、「日本政府が侵略?ないない」と思う方もいるかもしれません。
では、次のような状況を考えてみましょう。
時は20XX年、日本国内の人口の10%ほどを中国系の移民が占めるようになり、この層が政治への参加を求め、暴動を起こしたとします。(仮にの話ですよ)
それを、日本の警察が鎮圧します。
すると、習近平さんが「日本国内の"中華民族"を守るための正当防衛だ」ということで、日本に軍隊を派遣して攻撃を仕掛けてきたとします。
これに対して戦うのは「侵略戦争」でしょうか?
「もちろん、自衛戦争だ!」
というのが一般世論でしょう。
しかし、歴史的にみて、中国共産党はプロパガンダのプロofプロのような組織という側面があって、日本政府よりも先に
「日本の警察が在日中国人を虐殺している」
というフェイク映像が国際的にバラまかれた場合、
「日本が戦争を始めたのだ」
という論調が国際スタンダードになるかもしれません。こうすると、自衛戦争と言い張るのは少し難しくなります。
なお、このようなシチュエーションになって、僕が懸念するのは「わからない」の層です。
「わからない」とは、一体なんなのでしょうか?
僕は一つの解釈として、「愛国心に火をつけたら暴走する層」なのではないかと仮説を立てています。
こちらの動画、英語としての側面ではなく、三島由紀夫が話している内容に注目してみてください。
動画をできれば見てほしいのですが、注目してほしい内容を一言で要約します。
「日本人は戦後、平和を愛好する国のような振る舞いをしてはいるが、それは武士的な戦いを好む気質を「隠している」だけなのだ」
これが三島の主張の骨子です。
僕はこの三島の指摘が、「わからない」という回答をしている層に反映されていると考えています。わからないなどという答えをしている人が38%もいるのは日本だけです。
あ、ちなみに、出典の記事がさらに出典にしているのは、World Value Surveyというもので、この国の選び方怪しくね?と思った僕は大元のデータにあたってみました。
するとこんな感じでデータが出てきました。いちおう、調査対象国の中では「わからない」の割合が一番多く、「はい」の割合が一番少ない、のは間違いないようです。「いいえ」の割合は6位です。
サイトはこちらなので、英語読むのが苦じゃない人はこちらのHPもご参考ください。
話を戻しますが、このデータについてあれこれ考えていきましょう。
まず、何もないところから考えるのも微妙なので、最初に見せた画像元の記事の引用とコメントから始めてみましょう。
まずこの記事では、「いいえ」の数が多い国が主にWW2の敗戦国であることに触れ、
と述べています。
次にこの記事では、国別で、年代を経るごとにどのように意識が変化したかに触れている。ココははちゃめちゃに面白い。
日本、韓国、中国の比較だけでもう笑えるほどの違いがありますね。
なぜ、韓国と中国での「はい」の割合は常に高く、日本の方は常に低いのでしょうか?
僕の見立てでは、「ネガティブな感情」が挙げられます。
江沢民の時代あたりから本格化した中国の愛国教育などは典型的ですが、愛国教育≒他国への敵対教育、のような側面があります。
中国であれば、アヘン戦争から「日中戦争(言い方色々あります)」を経て、国共内戦までの経緯は全て愛国教育において欠かせない歴史です。
そのベースにあるのが「怒り」かと僕はみています。
もちろん、優しい中国人の知り合いはがいる、みたいなミクロな話をしているわけではありません。国民として持つ共同幻想レベルの話です。
怒りこそは愛国のように思えるのです。
一般的な愛国のイメージはもしかすると、「日本大好き💕」「奈良好き!京都好き!」「和服!」みたいなものかもしれません。
僕はそれはそれで愛国としても、もっと本質的な部分には「怒り」があると思う。
わかりやすいのがウクライナのニュース。
YouTubeなどをみていると、ウクライナがロシアに攻め込まれて、民間の女性がロシア兵に陵辱され、家族が殺され…ということに怒りを覚え、兵役を志願する人が一定数いるように見えます。
ここです。
「わからない」と回答している日本人の人には、もう少しリアルに考えてみてほしいわけです。
これは単に「国を愛するか」という話ではありません。
戦争が起きる多くの場合、そこにあるのは「家族の死」であり「友人の死」であり「故郷の破壊、消滅」であり「愛する人が襲われ、殺される」というようなもっと個人的な「怒り」に紐付くものなのです。
冒頭の質問を聞いた人は、おそらくそう言った怒りとは程遠い、平静な感情で回答しています。
「え、死にたくないっしょ笑 いいえ、っと笑」
みたいな。
根本的に戦争はしたくない、と僕は考えているので、「いいえ」にしたい気持ちは山々ですが、「いいえ」にした人は今まで話したような「怒り」に耐えうる精神を持っているのでしょうか。僕にはそうは思えません。
日本の歴史を学ぶと、中国大陸で日本人が中国人に殺された!などというニュースが流れた時に愛国心が高まっていっていたように見えます。
つまり、国民を狂気へと駆り立て、戦争へと駆り立てていくのは、戦争をしたいかどうか、などという浅はかなものではなく、もっと個人的な怒りの集合体なのです。(と僕はみています)
引用を続けます。
僕は上のような見解に加えて、アメリカの覇権が失われたことも一つの要因ではないかとみています。
アメリカが強すぎた、もしくは、他に対抗国がいなければ、ある意味平和なのです。
パックス=アメリカーナは「アメリカによる平和」みたいな意味で受験に登場しますが、裏のニュアンスは「アメリカが圧倒的な武力で世界を制圧してるからこその平和」という感じです。
だから、鎖国時代の江戸日本は間違いなく、パックス=トクガワーナなわけです。江戸幕府が圧倒的軍事力と経済力を持っていたわけですから。
いうなれば、パックスほにゃらら時代は、怖い先生のいる教室です。
しかし、今や、アメリカという怖い先生がナメられるようになった、無法地帯的な教室です。
だから、地政学的なリスクが増大し、ナショナリズム的な感情が強く喚起されるのかもしれません。
日本でも最近は若干ながら、ナショナリズム的な動きがSNSでも見受けられますよね。
最後に再び引用です。若者より、中高年の方が国防意識に欠けるよね、みたいなデータを提示した後、以下のように続きます。
さて、引用はここまでで、いくつか個人的に面白い部分を改めてさらっていきたいと思います。
もう一度見てみましょう。
1番国のために戦う国がベトナム、というところから多くの日本人にとっては意外なんじゃないでしょうか。
この僕の解説動画の「アジアと日本」の場所でも触れている通り、ベトナムは何度も他国に攻められて、何度も追い返すという歴史的経験を国民が共有しています。
他国から攻められる経験が多い場所は似た様な傾向があるのではないかという仮説が立てられますね。
さて、このランキングの傾向を読み取るときに、何かしらの別の角度から図を作ったりすると可視化されて新しい発見があるんですが、面倒なのでとりあえず1つ。
OECD(いわゆる発展してる国)の国々に色付けをしてみました。
要するに、経済的にまだまだ発展していける国の方が国のために命をかける、みたいな考えが普及しているのかもしれません。
こっからはまた妄想的な一般化ですが、
「今発展途上国である国は他国から攻められて歴史的に従属的な立場にあった
国が多い」→「愛国的な精神が芽生える」
というような流れがあるのかもしれません。
ただ、根本的に自分の所属する共同体のために戦う、というのはわりかし常識的な行動とも言えます。
昔の狩猟採集をしていた時代も、当然部族同士のバトルは起きていたわけで、そのバトルに参加する男がリーダーになったりしていくわけです。
だから、「国のために戦う」というのも「国民国家による愛国教育の賜物」と「単なる動物的な闘争心」を別で考えないといけないのかもしれないですね。
あと、若干気になったのが、スウェーデンです。
個人的にパッと考えたところ、北方戦争とかの事例でもあるようにスウェーデンは割とバイキング的な歴史を踏まえて好戦的な側面が強いのかな、などと思いました。ただ、事実はわからないので「スウェーデン 愛国」という安直なGoogle検索をすると、こんな記事が見つかりました。
異文化って面白いなぁ(小並感)
この図の国で言うと、「宗教で分けるとどうか」「"民族"で分けるとどうなるか」「地域別で分けるとどうか」みたいないろんな見方があるんだと思います。
最後に、現状として、アメリカの若者は一般に国のために戦う、という人が減っているという現状について触れておきます。
日本は現状、他国から大規模に攻め込まれた時にはっきりとできる対応を決めあぐねている状況だと思います。
憲法の問題もあれば、敗戦国として戦争を忌避してきたという面もあれば、アメリカ軍に依存してきた側面もあります。
さらにロシア、中国、北朝鮮などとの地政学的な危機は今後ますます高まっていく中で、日本がどのような措置をとっていくべきかはしっかりと議論する必要があります。
そして、その時に欠かせない視点の1つは「怒り」なのかもしれないと思うわけです。
この本は「怒り」という視点で国際情勢を読み解く本で、非常に興味深いです。ぜひお買い求めください。
【最近読んだ面白い記事(この記事と関連性高いもののみ)】
これ、近代戦争の話として興味深い、それこそゲーマーを雇って、実際の戦闘機を遠隔操縦させて、中東の人々を見境なく射撃して、直後に食卓でご飯食べる、みたいな戦い方ができてしまう現代ですからね。
それでいうと、皮肉にもウクライナとロシアの戦争で皮肉にもアメリカの武器産業が大儲けできている、、、とかもありそうですね。。。
これ面白い、最後のフレーズに関しては本当にその通りで、人口が多すぎるってのは1つ問題としてある。戦争自体は人口が少なくても歴史上起き続けてきたものだから、他にも原因はあると思うけど、地球温暖化とかは人口増加が割と原因そう。
チンギスハンが人を○しすぎて、人口が減って、地球の気温が減ったんだって。
クラウセヴィッツは最近読んでる本の1つなので、面白く読めました。クラウセヴィッツの本は網羅的に戦争について述べてるので色々学べることがありますよ。
シンドラーのリストしか見たことないので他のも見てみます!みんなもこの4作品、もしくはシンドラーのリスト、みてみてね!
これだいぶ面白いのでみてみてください。『アメリカのデモクラシー』は超名著だと思う。
僕も『戦争は女の顔をしていない』はおすすめです。100分de名著も読みました、読書苦手な人は100分の方から🙆♀️
プロパガンダはロシアもウクライナもやってると思うし、戦争とプロパガンダは切り離せないよねぇ。このマックスフォンシュラーさんの本は面白いからおすすめです。歴史動画作るときにお世話になった。参考文献もおせわになりました!!!!!
僕の学校には日本嫌い感がある先生、そこまで見受けられなかったけど、全体としてみたらやっぱり多いのかなぁ😇それでいうと、もっと深刻なのは反日的な要素が強い教科書が麻布とか筑駒とか開成とかエリート層に進む割合が高い高校での教科書に採用されていることの方がヤバそう。
一個目の事例、初めて知りました。プロパガンダ事例収集とかしてみたいなぁ。
これすごい!昭和史を振り返りたい人は絶対読んだ方がいい!!!
これ知りたかったジャストな記事です、、こういうのも網羅的にまとめてみたい。笑
Twitter見てると、ロシアの人への差別的?な表現がいっぱい見られた時期があったから、マイノリティに限らず、戦争時は感情がむき出しになる時期なのかもなぁ、、、怖し。
こういう情報は非常に助かります。いろんな国の愛国事情を知りたい。
こないだマスコミ業界の人と、しゃべったんですが、マスコミってのも難しい立場ですねぇ、、、ただマスコミが「自発的な愛国心の芽生え」を抑圧したって側面はありえる。
いろんな見方があってこの世って面白いですねぇ、高校生はこういういろんな意見に触れてきましょう。
僕もアメリカ留学中に似たような経験をしたので共感した。日本国内にいるだけで留学しない人も、こういう記事に触れてほしい!!!!
アルゼンチンの愛国心、普通に助かる。(助かります)
デンマークの話、普通に助かる。(助かります)
インドの愛国心、普通に助かる。(助かります)
ルーマニアの愛国心、普通に助かる。(助かります)
エストニアの事情、普通に助かる。(助かります)
ネトウヨについては知っておくか、若いうちにワクチンくらいのつもりでハマっておくと良い。ってゆる言語学ラジオの水野さんが言ってた。
以上、色々紹介してしまいましたが、どれも興味深いものですし、幅広く情報を取るのは大事なので、皆様、ぜひ各記事読んでみてください。
紹介させていただいた皆様、ありがとうございました。
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