数学の暗記ってなに?
数学の暗記事項を聞かれたとき、大体の学生は、公式と解法パターンと答えるかと思います。
ただ、この解法は、抽象的な解法を暗記の対象とすべきという話をします。ここで、「抽象的な」の意味が理解できるかが、1年で数学の実力が伸びるか伸び悩むかの境目になるということを心に留めておいてください。
この記事は、暗記量を絞りたい理系の皆さん、なんかよくわからんからとりあえず何でもかんでも覚えちゃおうとしている文系の皆さんにはとても有用なものなので、最後まで我慢して読んでみてください。
では、抽象的な解法とはなにか、見ていきましょう。
普通の学生の数学の勉強スタイルは、チャートの例題や、教科書の例題をパターンとみなし、その解き方を覚える。新しい問題を解く時は似たような問題を覚えているパターンから探しだし、同じ解き方をする。こんな感じだと思います。
このやり方、暗記量が多すぎるんです。このやり方だと、チャートみたいな厚い参考書の例題を全部覚えなきゃいけないし、覚えていたとしても、同じパターンの問題が入試で出ない限り、本番で解けないんですよね。
一方抽象的な解き方だけ覚えると、暗記量も減るし、本番もきちんと考えて解ききれるんですね。
この覚えるべき抽象的な解法を探るためには、本番で数学を解けている人が、どのように考えているかを辿っていく必要があります。
数学ができる人は、
①問題文から何を問われているかを考える。
②問われていることを計算で求めるためには、どんな情報、条件を揃えなければならないか。を逆算する。
③②で必要と考えた情報、条件を揃えるために計算をする。
というステップを辿っている人が多いと思います。(もちろんこれ以外の思考過程を辿っても良い成績を残している人もいますが。)
もしこのステップを辿っておらず数学の成績が伸びないと考えている人はこれをまず真似してみてください。本年度、一橋を受験した教え子たちは、4月時点で数弱と呼ばれるレベルながらも、私のこの思考過程による指導で2月の入試で結果を残せています。
それで、暗記の話に戻るんですが、暗記が活きてくるのは③の段階だけなんですね。①②は過去問演習で培うものです。
そこで、どのように暗記を活かすかというと、こーいう条件や情報を得たい時は、この解法を使えばよかったな、ということを思い出して、実際に適用するんです。
これができるために、チャートや教科書の例題をどのように暗記すれば良いかというと、
①この問題は、これを求めたい時に使う解法を学ぶための問題なんだなということを理解する。
②そして、①とセットで解法を暗記する。
この手順で学んでいくべきです。
このやり方で勉強する時のコツは、「ここでこのような計算をするのは、今まで習わなかったな。何をしたくてこのやり方を使っているんだろうか。」と、考えて、この「何をしたくて」の部分と合わせて解法を暗記することです。
そして、「何をしたくて」が上で私が「抽象的な解法」と呼んでいる部分です。
「何をしたい計算なのか」を覚えておけば、問題文を読んで「これを求めたい!」「こうしたい!」「この情報があったら先に進めるのに!」といった壁が現れた時に、暗記しているものの中から適切な解法をピックアップし、最後まで解ききれることと思います。
同時に、最大公約数的な解法を覚えるという意識を持たなければなりません。例えば、チャートの1つの例題でのみ有効な考え方を覚えるのではなく、複数の例題に共通する考え方を抽出しなければならないといった具合に考えてみてください。複数の共通する問題をやり込むことにより、これらに共通する最大公約数的な解法を抽出できるとともに、その解法が定着するようになります。
最後に、問題文を読んで「これがしたい!」とか、「この情報があったらいいのに!」が思いつかなくて数学ができないという方もいるかと思います。
これについては、文章化するのは難しく、実際に個別指導しながら体験してもらい身につけてもらう方が何倍も簡単なので、なかなか書けないですが、頑張ってまた後日書こうと思っています。
参考にして頂けましたら幸いです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?