見出し画像

大切だけど恐ろしいタイミング          【エッセイ】よもやま子育て話13

生まれたばかりの赤ん坊を
一人前の人間に育てるために
お父さんやお母さんは 日々奮闘しています

社会で生きていくためのルール
社会を生き抜く力
思い遣りの心や 感謝の心
個々の違いや 自分の本質
自分も含め『人』を大切にすること

子どもに伝えたいことや身につけて欲しいことは山ほどあって 
思うように伝わらないもどかしさに
≪なんで分かってくれないの≫
と苛立ったり
感情的になって声を荒げた自分を責めてしまったり

子育てって本当に大変だなぁと思います


二人の子供が大きくなった今だから
当時のことを面白おかしく思い出せるけれど
子育て真っ最中の時は
私も 日々 戦いでした


そんな子育ての中で痛切に感じたのは
伝えるためには タイミングが大切だ
ということと
唐突にやってくるタイミングは恐ろしい
ということです

特に 我が家の二人の子供のように
かなり手強い子どもの場合
ここぞというタイミングを逃さないことが
何よりも大切でした
そのタイミングを上手くつかめば
こちらの言葉をスーッと聞き入れてくれるのです


朝起きた瞬間から 夜寝るまで
突っ込みどころ満載の二人には
油断すると のべつ幕なしに小言を言ってしまいます

これでは 全く効き目なし
これっぽっちも 聞いていない子供に腹が立つし
一日中怒っている自分が嫌で悲しくなるし
良いことは全くありませんでした

なので 時折やってくる
『今だ』というタイミングを逃さないようにして
それ以外の時は 
怒りたくなる気持ちをぐっと抑え
表情で伝えるようにしていました
(なかなか理想通りにはいきませんが、、、)


子どもの気持ちがこちらに向いているような
こちらに答えを求めているような
今なら言葉をスーッと聞き入れてくれるような
そんな瞬間が来たら

「話すなら 今でしょ」

とこちらの伝えたいことを目を見て話すようにしていたのですが


それはいつも
唐突にやってくるし
その時間は長く続かないから

その瞬間を逃さず 
端的に的確に伝えなければなりません

それはもうかなりのプレッシャーです

大抵の場合は
上手く言えなかったなぁ
と後悔してしまうのです


息子が小学五年生の時のことです
突然その時が来ました

「同じことをしても 怒られる時と怒られへん時がある」
「何がやっていいことで 何があかんことなんかわからへんわ」

と言ってきたのです

吐き捨てるような言い方ではなく
そっぽを向いてはいるものの
こちらに答えを求めるような聞き方でした

反抗期の始まった 小憎たらしい時期とはいえ
まだまだ 親の言葉を真に受けてしまう年頃です
適当には答えられません

息子の人間力を育てる絶好のチャンスに
恐ろしいほどのプレッシャーを感じます

一気に流れる 脇汗、背汗、ケツ汗
(私、緊張すると背中からお尻にかけて汗が噴き出すんです(;^ω^))
半端ないです


「えっ どういうこと?」

と具体的に状況を聞きました

その時息子が話した状況を
今はすっかり忘れてしまいましたが(;^ω^)

息子に自分の思いを伝えた後
上手く言えなかった、、、
あー失敗したぁ、、、
とかなり後悔し
何度も自分の発した言葉を反復しては
悔やんでいたので
自分の言った内容を今でも鮮明に覚えています


母: 「例えば 雨上がりに大きな水たまりで遊んでいるとするやろ」

   「お母さんはドロドロになって遊ぶの好きやから
    ゆうとが 水たまりの中に座り込んで 
    ぐちょぐちょに遊んでも何も言わへんやろ」

息子:「うん」

母: 「そこに ヒロ君とお母さんが来て 
    一緒に遊びだしても 止めへんやん」

息子:「うん」

母: 「そこに 小さな子供を連れた親子が来て 
    小さな子が ゆうとたちを見て 同じように
    遊びたがるとするやん」

   「そこで その子のお母さんが 
    『ダメ』って困ってはったら
    ゆうとに『そこで遊ぶのやめとこ』って
    ゆうとのお母さんは言うわ」

   「何がやっていいことで 
    何があかんことかの基準は
    人に迷惑をかけるか かけへんかやと思うし
    状況によって変わってくると思うで」

息子:「どういうこと?」

母: 「ヒロ君もヒロ君のお母さんも
    ドロドロになることを嫌がってなかったやん
    その状況ではドロドロになって遊ぶことは
    やってもいいこと」

   「で 小さな子が真似したがったときは
    その子のお母さんが困ってはったやろ
    困っている人がいる状況では
    ドロドロになって遊ぶことは
    やめた方がいいことやと思う」 

息子:「ふーん」

ここまで話して
息子の反応もいまいちだし
私の中でも
なんか 言い足りないようで
焦った私は
ダラダラと要点のつかめないことを話し出してしまいました

母: 「でも 例えば 友達何人かで遊んでいるときに
    他のお友達が 水たまりで遊ぶことを
    嫌がったとするやん」

息子:「うん」

母: 「その時は なにもゆうとがやりたいことを
    我慢する必要はないと思うで」

息子:「なんで? 他の友達は困ってるんやろ?」

母: 「うん でもさっきの子供と違って、、、、」

、、、、ダラダラ ダラダラ、、、
   
この頃になると 
もう私の中でも言いたいことがうまく言えてない焦りで
支離滅裂 ぐちゃぐちゃです


何が言いたいのか 
要領を得ない母の話に
息子の気持ちも半分離れています

≪待って 待って まとめるから 待ってー≫
と心の中で叫びながら
考えをまとめようと焦れば焦るほど
脇汗 背汗 ケツ汗、、、噴き出します(笑)

「ふーん」
この一言を残して
息子の気持ちは違う方へと向いてしまいました

「、、、、」

あーチャンスを逃してしまった、、、

やっていいこと悪いことは
状況で変わってくるよ

ただ どんな状況でも 話し合って
アイデアを出したり お互いに少しずつ譲り合って
上手くいく方法を見つけることは大切だよ

それでも 折り合いがつかないときは
最後は ゆうとの優しさで 譲ってあげるのも
素晴らしいことかもね

そんな感じのことを伝えたかっただけなのに
もうグチャグチャ
またまた後悔の残る出来事でした( ;∀;)

ハァー


子育ては育児書通りにはいかないし
ましてや子どもの発達段階なるものの通りに
成長したためしがない
発達の速度も順番もそれぞれだし
それも理解したうえで言葉を選ばなければならない

自分の子供とはいえ 
私とは全く違う個性を持った人間二人に
それぞれに伝えるのは
本当に難しいです
同じ言葉でも発する側と受け取る側では全然違うし
今でもどうい言えばよかったのか正解は分かりません

子育て真っただ中のことを思い返せば
反省と後悔ばかりでため息が出るけれど

何とか 二人とも立派に独立しているし
友達もたくさんいるみたいだから
素敵な人間に育ってくれたと信じて

親として立派ではなかったかもしれないけれど
頑張ったよと
自分に言ってあげてもいいのかなぁ(笑)



今でも
息子や娘が相談してきたときに
ちゃんと答えなければと考えるあまりに
妙な間ができるらしく
「この妙な間は何?」
「お母さん 何考えているかよく分からへんわ」
と二人から攻め笑われています(;^ω^)









いいなと思ったら応援しよう!